放課後の小学生を預かる民間の学童保育大手が新施設の開設を広げている。M&Sコミュニケーションパートナーズは今年度に新設ペースを倍増させる。東急グループも新設数を増やす。働く女性の増加に伴い首都圏を中心に学童の待機児童は増えている。公立や地域社会による運営に比べ、機動的に拠点を設けられる民間の利点を生かして新設ペースを引き上げ、高まる重要を取り込む。
未就学児を預かる保育所の不足が女性の社会進出を阻む一方、学童保育も「待機児童」が増えている。厚生労働省によると学童に入れない待機児童は2011年から増え続けており、15年は14年比1.7倍の約1万7000人にのぼった。
全国に2万2000か所ある学童の拠点は効率や地域社会が運営するケースが大半だが民間の動きが活発になってきた。東京23区内で民間学堂「リックキッズ」を15ヶ所で運営するM&Sは今年度に6~7ヶ所を新設する。12,15年度はともに3か所ずつ開設したがペースを倍増させる。
江東区などマンションの新設で新住民の増加が見込まれる地域を中心に拠点を増やす。森本潤社長は「既存の施設がいっぱいになりつつあり、地域を広げていく」と話す。
東急グループのキッズペースキャンプも17年度に川崎市で直営を1か所設けるほか、自治体が運営する学童4ヶ所以上の受託を見込む。東京都と神奈川県を中心に直営で約20施設を運営しており、16年度の計4ヶ所に続く高水準の開設を設ける。
教室内で英語のみを使う学童保育「kids duo」を展開する拓人こども未来は首都圏と関西中心に85拠点前後を持つ。昨年度に17ヶ所を開設しており、今年度も「同水準かそれ以上」の新卒を見込んでいる。
厚生労働省によると学童の拠点数は11年から15年の間に1割増えたが、登録児童数は2割増え、100万人を超えた。15年4月から学童保育の対象が「おおむね10歳未満」が「小学生」全体に拡大しており、需要は今後も高まりそうだ。
学童保育は認可保育所などに比べて人材や施設面の基準が緩い面もあり、民間の動きは活発だ。イオンは昨年春、東京都と千葉県で運営する2つのショッピングセンターで学童保育を開設した。学習塾やフィットネスクラブが参入する動きも相次いでいる。