安心感を持って過ごすこと
乳児期(特に0~2歳)にとって必要な「養護」の面になります。
4月は、初めての集団生活を経験する子どもたちの緊張や不安をどのように受け止めるかが大切になります。
1人ひとりの保育はそれぞれ異なりますが、クラスとして、どのようなねらいを持って関わっていくかを決めることは大切なことなので、どの保育士との関わりの中でも安心できるよう、温かく愛情のある雰囲気の中で気持ちを十分に受け止めましょう。
信頼関係が築かれるにつれて、子どもは安心して様々な気持ちを表現するようになります。
そして、保育士は、子どもの様々な表情の変化や健康状態の変化に気付くことが出来るようになってきます。
その時期が子どもにとって大きな成長に繋がるため、子どものサインを見逃さず、「気付いているよ」というサインをしっかり送り、関わることで「見てもらえている」という安心感から、保育士と離れている場所でも様々なことに挑戦することができるようになります。
生活リズムを整えること
食事、排せつ、睡眠、遊びの時間を子どもと一緒に過ごしながら、生活リズムを整えることは、生きる基礎を培う上でとても大切なことです。
毎日の生活を共にしていると、一人ひとりの個性や家庭での習慣が見えてきます。
一人ひとりに合う援助をすることはもちろん大切なことですが、保育園、幼稚園は集団生活をしている場であることを忘れてはいけません。
そのため、連携を密に図り、家庭での生活リズムを見直してもらうことがこの時期だからこそ欠かせません。
気持ちに寄り添いながら、「味わうこと」「不快・心地よさを感じること」「安心して眠ること」「人と関わることの楽しさ」を同じ目線で経験しながら、リズムとして形成することで、子どもが園の生活や活動に取り組むことが楽しいという気持ちの中で過ごしていけるような保育をしていきましょう。
遊びを見つけること
遊びは一人ひとりが見つけ出すものです。
同じ玩具を使っていても、同じ環境の中にいても、そこにある遊びを見つけ出せなければ、いつまでも遊べない子どもに育ってしまいます。
子どもたちは、一人でも遊ぶ力を持っています。
1人で歩いているだけだから、遊びを見つけられていないと決めつけることは特に未満児の保育において、その子の成長を見つける範囲を狭める視点となります。
「見て遊ぶ」ということが1人遊びに繋がっていきます。
0~1歳児の子どもたちは、全てを言葉にして相手に表現することはできませんが、一つの情景からたくさんのイメージを膨らませています。
そこで必要なのが保育士の環境構成になります。
子どもの「視線の先にあるもの」をしっかり見つめ、「何を感じ取っているのか」「何をイメージしているのか」を見守ります。
この時も、保育士は人的環境として欠かせない存在になっています。
それから起こす行動も見守り、その子どもと目線を同じにすることで「子どもを見る目」が育っていき、気持ちの方向性が見えてきます。
子どもにとって、保育士と一緒に遊びを見たり感じることそのものが遊びです。
感じたことを表現した時には、受け止め、さらに楽しめるように工夫していくことで、その子自身の中で友だちとイメージを共有して遊ぶ楽しさや、自分だけの遊びが見つかるきっかけになるでしょう。
発達に即した遊びをすること
怪我をせずに、朝と同じ健康状態で保護者の元へ子どもを届けることが保育士の必要不可欠な仕事の一つになります。
つまり、遊びを提供するときには、その子どもの年齢や発達に合った遊びを楽しめるよう工夫する必要があります。
子どもは、日々、保育士の見ていない場所でも成長し続けています。
従って、安全を守るだけでなく、成長を促すように保育士が働きかける必要があります。
0歳児では、月齢によって、体の使い方が異なり、はいはい、つかまり立ちなど、運動の範囲も異なります。
はいはいでもつかまり立ちでもどちらでも楽しめる遊びがあれば、すべての子どもにとって成長に即したものになりますが、子どもが集中して集まるような遊びには危険もあるので、保育士がしっかりと見て手を伸ばすことができる距離に居るよう配慮が必要です。
手先の運動になるもの、バランス感覚を感じられるもの、手や足で踏ん張る力を養うことができる遊びが0歳児の成長に大きく関わります。
1~2歳児の子どもたちには、友だちと関わることや遊びのルールを覚えることで楽しめるような遊びが成長の刺激に繋がっていきます。
0歳児とは異なる危険があり、出来ることが増えてきた分、体の使い方や遊び方を保育士が伝えなければ容易に怪我をしてしまいます。
新しい遊具の使い方や遊びを伝える際には、段階を踏み、基本となる体の使い方を遊びに取り入れていきましょう。
年齢別遊びの例
0歳児
指先を使った遊び
- ひもとおし(ひもを引っ張ることも好きです)
- ホース落とし
- 小麦粉粘土(口に入れることが少なくなってからでもかまいません)
- シール貼り
- 指スタンプ(絵具など)
- ボール遊び(握って、投げることができる大きさのものから)
- 楽器遊び(カスタネット、ペットボトルにビーズを入れたもの等)
- (絵本も、ページをめくる感触から親しみを覚えていきます)
バランス感覚が養われる遊び
- でこぼこマット(マットの下に大型積み木を置きます)
- ボール遊び(袋を室内の様々な場所に設置すると、ボールを入れようとしてバランスを取って楽しんでいます)
手足で踏ん張る力を身につける遊び
- 巧技台(高さを調整し、2パターンつくります)
- 大きなボール(転がす)
1、2歳児
友だちと関わる遊び
- なべなべそこぬけ
- バルーン遊び
- お買いものごっこ
ルールを覚えて楽しむ遊び
- だるまさんがころんだ
- しっぽ取り鬼ごっこ
- 引っ越しゲーム(茣蓙やマットを敷いて家に見立て、曲が止まったら家に入る)
- 大根抜き(マットに子どもがつかまり、保育士が引っ張る。その逆もある。)
- ストップゲーム(音楽が止まったら、動きを止める)
保育士として見せる姿
ここまで、具体的な乳児との関わり方、保育の仕方について大切なポイントを紹介してきました。
乳幼児期は、信頼できる大人との関係があるからこそ安心して成長することができる時間です。
つまり、保育士の温かい愛情のある見守りや声掛け、スキンシップが何よりの成長の基です。
乳児は特に目を合わせることもスキンシップの一つになるため、いつでも保育士のことを目で追っています。
そのため、保育士の表情や仕草から感じる情報にはとても敏感です。
温かく愛情のある保育をするために、一人の保育士として、一人の人間として子どもに見せる姿を常に意識し、心に余裕を持った保育を心がけてください。