今回は0歳児の保育室の環境について考えてみましょう。
◯児童福祉施設の設備及び運営に関する基準
基準から乳児に関する部分を抜粋すると
一 乳児又は満二歳に満たない幼児を入所させる保育所には、乳児室又はほふく室、医務室、調理室及び便所を設けること。
二 乳児室の面積は、乳児又は前号の幼児一人につき一・六五平方メートル以上であること。
三 ほふく室の面積は、乳児又は第一号の幼児一人につき三・三平方メートル以上であること。
(一部抜粋)
となっています。
あなたの園は基準を満たしていますか。
認可園であれば問題ありませんが、認可されていない園ではこの基準が守られず、それが事故につながることもあります。今一度確認するべき事項でありますね。
まずは一人当たりの面積が決められている点に注目してください。
狭い部屋に何人もの子供を預かることはできないようになっています。
保育室に十分な広さが求められている上で、さらにほふく室が必要になります。
◯ほふく室とは
ほふくとは「ハイハイ」のことです。つまりほふく室はハイハイをし始めた子供が過ごす部屋を意味します。
乳児室はハイハイをしない子供達が過ごす部屋ですので、動きの違う子供たちを一緒にしないために部屋を分けています。
月齢の幅が広く、動きに差がある場合には、乳児室とほふく室のどちらも必要になりますね。
私が勤めてきた園では、ハイハイ前の子の部屋(低月齢の部屋と呼んでいました)活動する部屋(高月齢の部屋)そして、細長いほふく室がありました。
定員が19人でしたので、部屋も広めに設計されていました。
ほふく室は畳の部屋でした。
皆さんの園では床の材質はなんでしょうか。
ハイハイをする部屋ですので、まずは体が摩擦なく動く部屋が望ましいですね。
床がカーペットですと、着ている服が引っ掛かりうまく前に進めないことが考えられます。
一部がカーペットでも良いかもしれませんが、ハイハイのしやすさを第一に考えましょう。
またハイハイから立ち上がり、伝い歩き、歩行へと発達していく中では、つかまる場所も必要になってきます。
前述の私の園のほふく室の壁には、丈夫な手すりがついていました。また大人の腰くらいの高さで大きな鏡が埋め込まれていたので、手すりにつかまり立ちをすると鏡に子供が映るようになっていて、自分や保育士が映るのをとても喜んでいました。
ほふく室と一言で言っても、発達に合わせて安全と機能を見直していく必要がありますね。
◯保育室の動線
乳児室、ほふく室、医務室、調理室等保育士が動くことの多い0歳児室です。
その動線はスムーズにいっていますか?
・医務室
医務室と書いてありますが、いわゆる事務室がそれを兼ねることになると思います。
その為0歳児室は事務室の隣に配置されることが多くなります。
内扉で繋がっている園もあるかと思います。
緊急な事態が起きた時に秒で駆けつけられる距離が望ましいと思います。
・調理室
調理室は「調乳室」とも言われます。ミルクを調乳しすぐに授乳できる場所に配置されていますか。
また、離乳食が始まると食事スペースも必要になってきます。
月齢が違うと生活のリズムも変わってきます。
一日中食事スペースを使う時期もあると思いますので、遊びのスペースから独立した場所を確保しましょう。
スプーンなど必要なものがすぐに取れるようなワゴンの配置も考えましょう。
19人がいたクラスでは、ワゴンも何台も用意していました。
食事が始まったら保育士が立ち上がらなくとも必要な物が取れるようにしましょう。
・おむつ交換台
それぞれの部屋(高月齢・低月齢)におむつを交換するスペースが必要です。
おむつ交換中に他児が寄ってきて触ってしまうことがないように独立したスペース、または高い台が望ましいです。
替える新しいおむつ、衣服、お尻拭きなど一つにまとめてあるととても楽です。
交換したおむつも一まとめにするなど効率よくできるように工夫しましょう。
・遊びの部屋、睡眠の部屋
遊んでいる間に食事を準備、食べている間に布団の準備、寝ている間に食事の片付けなどタイムテーブルに合わせて保育士は次の動きの準備をしなければなりません。
子供たちの動きが重ならないように、時間も動きも調整しましょう。
そのために「動線」を意識して部屋の配置を考えましょう。
部屋の構造は変えられませんが、棚の配置など変えられることもあります。
また、使用する場所を考えることで動きが格段によくなることもあります。
「いつもそうやっているから」ではなく「こうやったらどうだろう」という考え方でやってみましょう。
◯まとめ
0歳児クラスは発達が目に見えて速いので、その環境もこまめに見直していく必要があります。
保育士が動きやすく、子供たちが安心して過ごせる環境作りを頑張ってしていきましょう。