保育園における「コードブルー」

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先日医大受診をした時に「ハリーコール」に遭遇しました。

外来で急に具合が悪くなった患者がいたのですが、近くの処置室に連れていかれた後に、全館の放送で「ハリーコール。外来処置室にてハリーコール」と流れました。

その放送が流れると同時にどこからともなく医師や看護師が走ってやってきます。

それは驚くほどの人数でした。軽い地響きが起こっていました。

そして処置室に集まり、ものの3分ほどで多くの医師たちが去っていき、「ハリーコールは解除されました」とアナウンスされました。

これはいわゆる院内で通じる「隠語」のようなものです。

私が聞いたのは「ハリーコール」でしたが「コードブルー」と言えば皆さんにも耳馴染みがありますね。

ハリーコール、またはコードブルーは「緊急の患者がいるので科を問わず、手の空いている医師・看護師が集合しなさい」という意味があり、とにかく集まった中から治療できる医師を見つけだし即座に対応します。

(ドラマのコードブルーは空を飛んでいましたね)

また緊急患者だけでなく、何かトラブルがあったりした時にも「コード◯◯」「〇〇コール」と隠語を使っているはずです。(例えば、幼児の連れ去りがあったので全てのドアをクローズするなど)

全て、緊急時にいちいち説明しなくても全員が決まった行動をとれるための準備です。

今回はこの「コードブルー」を保育園に当てはめてみましょう。

 

◯保育園の「コードブルー」

園内での緊急事態で思いつくのものに「不審者の侵入」があります。

皆さんの園ではどのような手順を話し合っていますか?

不審者が侵入してきた場合3つの行動を同時に行わなければなりません。

一つは子供を安全な場所に避難させること。

もう一つは不審者と対峙すること。

そして警察に通報することです。

突然不審者が目の前に現れたとしたら、おそらく頭の中はパニックに陥ります。

いきなり暴れ出したらとにかく逃げる、(あるいは防御する)しか選択肢はありませんが、まだ相手がどう出るのかがわからない状況でしたらできることはたくさんあります。

 

◯相手を刺激しない

不審者初めから暴力を振るうとは限りません。

普通に玄関から入ってきて保育士が対応しているうちに言動がおかしいことに気が付くこともあるでしょう。

何かおかしいと気がついた時に、「この人変な人です」とは絶対に言ってはいけません。

それがきっかけで豹変する可能性があります。

この時の役立つのが「隠語」コードブルーです。

私がいた園では不審者が来た時には「ウサギを見に行こう」を隠語にしていました。

(裏庭でウサギを飼っていました)

玄関で不審者に気がついた保育士は他の保育士に「ウサギを見に行く時間ですね」などのように伝えます。

「ウサギ」と言う言葉を聞いた保育士は園長に報告、園長は様子を伺いながら避難の指示を出します。

伝言でも放送でも「さあ、ウサギを見に行く時間ですよ」と話しても不審者を刺激することはありません。

保育士も子供達に「ウサギを見に行くから出発するよ」と声をかけます。

不審者がいる場所によって避難する場所は変わってきます。

不審者から遠い場所はもちろんですが、不審者から見えないルートを取ることも大切です。

「ウサギ」と聞いてからの動きは何度でもシミュレーションしておきましょう。

警察への通報の方法も必ず練習しておきます。

避難はしたけれど誰も通報していなかったということがないように、電話を携帯したり、通報ボタンを押すなどの役割を決めておいてください。

 

◯子供を守る、自分も守る

避難する子供につく保育士はもちろん子供を守りますし、不審者と対峙する保育士も子供から遠ざけようと努力をします。

しかし私たちは警察のように訓練を受けた者ではありませんので相手が武器を持っている時は立ち向かうことはできません。

まずは相手を遠ざけながら戦える術を考えましょう。

さすまたのような武器は一番有効と言われています。

さすまたがある園はほとんどないと思いますが、検討してみてもいいと思います。

または傘やほうきなど長い物で防御するのも効果的です。

相手が向かってきたら、とにかく物を投げるのもいいそうです。

間違っても組み合おうとしてはいけません。

もしも立ち向かうなら、必ず複数人で。

子供が逃げる時間を稼いだら、対峙していた保育士も自分の身を守る体制に入りましょう。

 

◯慌てる場面でこそ「マニュアル」が生きてくる

いつもと異なる緊急事態の時こそ、「マニュアル」が生きてきます。

頭の中はパニックで思考能力も落ちてしまいます。

「ウサギを見に行こう」のコードブルーが耳に入ったら、考えるより前に行動ができるようにマニュアルを叩き込んでおいてください。

指示する立場の人はその伝え方を何度でもシミュレーションしてください。

病院でのコードブルーでは医師や看護師たちは考えるよりも先に走り出しています。

「お前いける?誰が行く?」などと相談する隙もないと思います。

全員行く。必要ないなら帰る。このマニュアルが徹底しているのですね。

 

この記事を読んだら今すぐにでも考えてみてください。

あなたの園の「コードブルー」はなんですか?

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