乳児の「発表会」を考える

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皆さんの園では「発表会」はもう終わりましたか?

コロナ禍での開催はいろいろな工夫が必要だったことと思います。

多くの反省点も出たのではないでしょうか。

 

発表会が近づいてくると、ネットに「発表会で何をしたらいいでしょうか」という相談が増えてきます。

その中に「1・2歳児に合う題材はありますか」というものを多く見かけました。

今回は乳児クラスの「発表会」について考えてみましょう。

 

◯発表会の「ねらい」とは

発表会は、保護者を園に招き劇や合奏などを見てもらい楽しむ会です。

保護者たちは子供の成長を「こんなことができる様になったのね」と喜びます。

子供たちは「僕たちこんなことができるんだよ」と誇らしげに舞台に立っているでしょう。

 

では指導計画ではどの様なねらいを持たせているでしょうか。

 

・幼児クラス

領域から考えると【ことば・表現・人間関係】が関わってくるでしょう。

セリフを言ったり、歌ったり、踊ったりすることと同時に、仲間たちと力を合わせて練習しようという意識が芽生えることも大切なねらいになります。

「普段の保育で成長してきた姿を、一つの形にして保護者に見てもらい共に喜びたい」そんな大きなねらいとしても捉えることができます。

 

・乳児クラス(1才以上児)

幼児クラスと違い、クラスで一致団結して取り組むというねらいは通用しません。

乳児クラスは「個」一人一人の成長に共感し寄り添っていく時期であり、みんなで同じことを成し遂げる必要はないからです。

私は20数年の保育士生活の中で、乳児で「発表会」といったものを行ったことはありません。

しかしもしも「乳児の発表会」を取り入れるとしたら、「表現」を楽しむことに重きを置くと思います。保育士との関わりを楽しむごっこ遊びを通じて、体を動かしたり歌ったり踊ったりすることを中心に考えます。

クラスで成し遂げるのではなく、みんなで楽しむことが何より大切なことです。

 

◯発表会への取り組み方

ネットで「発表会で何をしたらいいでしょうか」と質問をしていた保育士たちは、その多くが「時間があまりない」と言っていました。

もうすぐ本番なのに何をしたらいいかが決まっていないのですね。

 

これはあまり良くないパターンだと思います。

発表会への取り組み方が最初から間違っていると考えます。

 

・「演目」から決めてはいけない

何をしたらいいか迷っている保育士に「〇〇をするといいよ」とアドバイスした場合、おそらく「さあみんな〇〇を練習しましょう」となってしまうと思います。

短い期間で「見せる」形にするためにはどこかで無理をしなければならないからです。

 

これは乳児クラスの子供たちにとっては苦痛になってしまいかねません。

やること「出し物の演目」から決めるのは間違いです。

ではどうしたらいいのでしょうか。

 

・普段の遊びをよく観察しよう

普段の遊びはどんなことを楽しんでいますか?

どんなごっこ遊びが好きで、どんな歌を歌い、どんなダンスをしていますか?

(これは私たち保育士がどんな遊びを提供しているかということでもあります)

 

4月のまだ幼かったあの頃からどんなふうに成長してきているでしょうか。

そこに必ず「保護者に見てほしい姿」があるはずです。

 

「演目」から考えるのではなく、「オオカミごっこが好きだから三匹のこぶたは楽しめるかな
?」と想像してみてください。

普段から楽しんでいることこそが、発表会で見せたい姿になるはずです。

 

・練習ではなく遊びを膨らませよう

普段の姿を見せると決めたとしても、本番を成功させるためにはどうしても「練習」させたくなってくると思います。

保育士が工夫して練習とわからないように遊びを膨らませていきましょう。

 

同じことばかりさせず、いろいろな楽しみ方をしましょう。

衣装などを着るのであれば、本番だけでなく普段からつけて慣れておきましょう。

役がある様なお話であったら、いろいろな役を楽しんでいきましょう。

 

保護者に見せたい姿は「普段の伸び伸びと遊ぶ姿」ということをいつも頭の片隅に置いておきましょう。

 

◯来年度に活かしましょう

今年度はもう終わってしまった方も、来年度にこの話を是非活かしてみてください。

ずっとこどものそばにいる私たちだからこそ、普段の生き生した姿を発表会にもってくることができるはずです。

 

楽しい発表会にしましょう。

 

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