毎朝、窓の外から子供の泣き叫ぶ声と母親の怒鳴り声が聞こえてきます。
私の家の近所に住む小学生ですが、どうやら学校に行きたくないとぐずっているようです。
低学年ですが一人で通える道のりを、毎朝自転車の後ろに無理やり乗せられて泣きながら去っていきます。
夕方会うと友達と仲良く飛び回って遊んでいるので、学校でいじめがあっていきたくないというわけではないようです。
おそらく、夜遅くまで起きていて朝が辛いのかな?と推察します。
なぜなら、その下にいる兄弟達も大泣きしながら幼稚園バスに乗せられているからです。
その家庭の本当の事情はわかりませんが、私が保育してきた中には「生活リズム」が乱れて朝に激しくぐずり、登園がとても大変な子供達が多くいました。
今回は「生活リズム」について考えてみましょう。
「生活」の「リズム」ってなんだろう
リズムとは音楽でよく使われる言葉ですが、強弱や速い遅いなどがひとかたまりで続いていくことをさします。
ワルツなど「ブンチャッチャッ」と表現しますが、「ブン」のところにアクセントがついて強弱が続いていきます。
生活の中の「ブン」にあたるアクセントは、食事・お風呂・着替え・遊び・睡眠などの活動が切り替わる部分にあたると考えてみてください。
「生活リズムが乱れる」という時は、この「ブン」にあたるアクセントがうまく活動できていないことになります。
逆にリズムが整っているという時には、ワルツの音楽が最後までゆったりと演奏されるように、流れるように一日を過ごせているということになります。
生活リズムが整っている家庭は、寝る時間も起きる時間も決まっていて体の機能もそれにうまく呼応しているのでしょう。ですから、「朝起きれない」「夜眠くならない」などの乱れは、そうそう起こらないのです。
「リズム」は家庭で違う
強弱のついた活動がひとかたまりで続いていくことを「リズム」と言いましたが、そのリズムは家庭によって全く違うものです。
ゆったり3拍子で生活できる家もあれば、ものすごいスピードで駆け抜けるような曲を演奏するような家もあるでしょう。逆に行進曲のように厳格に同じリズムを繰り返している場合もあるでしょうか。
ここで大切なのは、すべての家庭に同じリズムを押し付けてはいけないということです。
「子供は9時までに寝ましょう」というのは定番のアドバイスで、実際に早く寝かせることは子供の成長にとても大切なことです。しかし、8時まで保育園に預けている家庭で、子供を9時に寝かせようとしたら、夕食も、お風呂もゆっくりしている時間はなくなってしまいます。
きっと親たちは目を釣り上げて「早くして」「遊ばないで」「いい加減にして」と繰り返すことにるでしょう。
それが子供の成長にとって本当にいいこととは思えません。
その家庭がどんなリズムを刻んでいるのかをよく見極めて、的確なアドバイスをしていく必要があります。
早く寝てほしい家庭には
冒頭で述べた、朝にぐずって登校を渋っているような場合にはやはり「早寝早起き」が必要になってきます。
朝にぐずっているということは睡眠時間が足りずに、身体も頭もしっかりと目覚めていないのです。
(注・思春期の時期には病的に朝起きれない場合もあります。今回はそのような場合は除外して話しています)
睡眠時間が足りないということは寝る時間が遅いということです。
親の仕事の都合で睡眠時間がずれ込んでいるのとは別に、寝なければいけない時間なのに布団に入らない場合が問題です。
遅くまでテレビを見ている・スマホでゲームをしたり動画を見たりしている・お菓子を食べたりジュースを飲んだりしている・・・
親からの規制がない場合もあるかもしれません。
やりたいことをやりたいままに行っていて、寝るのは後回しです。
しかし、朝は親が仕事に行かなければならないので無理やり起こされます。
リズムが乱れているとはまさにこの状態を指します。
保護者への伝え方
まずは、生活リズムとは毎日の強弱の繰り返しであることを理解してもらいましょう。
強であるアクセントになる場面を、毎日同じ時間に持ってくることでリズムが整うことを伝え、自分の家庭にあったリズムを探してもらいます。
特に寝る時間などは子供主体にせず、大人がその時間までに何をすればいいかを誘導してあげましょう。
毎日規則正しくリズムを刻むことで、心も身体も安定して暮らすことができるはずです。
あなたのクラスの子供達は、どんなリズムで生活していますか?
一度保護者と話してみてくださいね。