子どもに
「大きくなったら何になりたい?」
と尋ねると、時々
「消防車になりたい」
ということがありますよね。
消防士に憧れるのを通り越して、カッコイイ車になりたいと思う微笑ましい話ですよね。
では、今回のタイトル「僕はスマホになりたい」もそのように微笑ましい話でしょうか?
実は、全然違う話なのです。
僕はスマホになりたい
「僕はスマホになりたい」という言葉は偶然にも、ネットで2回目にしました。
ひとつは、電車の中で偶然聞いた言葉という書き込みです。
年長くらいの男の子がお母さんと電車の座席に座っていたそうです。
「僕、お母さんのスマホになりたい。だっていつもお母さんといっしょにいられるでしょ?」
そういう子どもの横で、母親は一生懸命スマホをいじっていたとか。
聞いていた人は苦笑いだったそうです。
もうひとつは、お母さん自身の書き込みです。
やはり年長くらいの息子に「大きくなったら何になりたいの?」と聞いたところ、
「んーとねーぼくねー、スマホになりたい」
と答えたそうです。
最初は笑ってきいていたお母さん。でもその理由を聞いて愕然としたそうです。
「だってさー、スマホになったらさー、お母さんずっと見ててくれるでしょ?」
どちらのエピソードも、「消防車になりたい」のように夢のある話ではありませんでした。
いつもお母さんのそばにいて、いつも見てもらえるスマホになりたいと思う気持ち。
それは笑ってすまされるものではありません。
お母さんの視線
自分の子供の頃を思い出してみると、いつもお母さんの視線を求めていたことを思い出します。
「おかーさーん、みててー」
「おかーさーん、できたー」
「おかーさーん、すごいでしょー」
「おかーさーん、この服可愛い?」
嬉しいことも、ビックリしたことも、困ったことも、いたずらしている時だって、いつもお母さんの眼差しがそこにありましたし、それを求めていました。
「おかーさーん」と呼んではいましたが、呼ぶまでもなくいつもそこにいてくれました。
お母さんは自分の側にいる時は、いつも自分を見ていてくれるという「安心感」があったのですね。
でも、「スマホになりたい」と言った子供達は、その視線を感じることができなかったのでしょう。
お母さんに視線を向けても、視線が絡むこともなく、見つめ合うこともできないなんて、まるで片思いです。
スマホの世界
では、なぜお母さんたちはスマホから目が離せないのでしょうか?
そこには様々な事情があるはずです。
ママ友との付き合い
グループラインなどでママ友とつながっていたとしたら、その会話を途切れさせないために、目が離せないのかもしれません。
ママ友に嫌われたら一大事です。
自分の人間関係をつなぎ止めるのに必死で、子供に目が向かないとしたら……
それは本末転倒です。
SNSにしがみつく
もしかしたら電車の中のお母さんはSNSに投稿中だったかもしれません。
「今日は息子とお出かけです」
私はいいお母さんよー、みんな見てー!という気持ちが強く、ネット中の人々の反応は気になるものの、
目の前の子供の気持ちは見えていないのかもしれません。
ゲームがやめられない
はまっているゲームがやめられないケースもありますね。
これはお父さんにも多いようです。
ゲームは中毒性があり、スマホだと空いた時間に手軽にできるので、ますますやめられなくなってしまうのでしょう。
これは自分で自分を律しないと止めるのは難しいと思います。
スマホは悪なのか?
私もスマホを使っています。
この記事をスマホで見ている方も多いことでしょう。
私は、遠くの友人とはスマホで連絡を取り合っています。
好きなゲームもあります。
そんな私ですが、スマホに頼りすぎる人たちには堂々と提言ができます。
それは、私自身がスマホにルールを作っているからです。
それは、家族団欒の時はスマホに触らないことです。
食事の時だけでなく、一緒にテレビを見ている時もそのようにしています。
私の場合一緒に暮らしているのは高齢の両親ですが、テレビの番組を一緒に見ている時に、
面白い場面があると必ず私の顔を見て(わざわざ振り返ってでも)一緒に笑うからです。
一緒に笑うと面白さも倍増……という気持ちなのでしょうか?
必ず私を振り返って大笑いしています。
そんな時に私がスマホに視線を落としていたら?
テレビの内容もわからないし、こちらを見ていることにも気がつかないかもしれません。
父もがっかりしてしまうでしょう。
だから私は団欒の時はスマホを触りません。
そしていつしか、私も父や母の顔を見ては大笑いするようになっています。
顔を見合わせて笑うと、笑い声も大きくなるんですよ?
家族の基本って一緒に笑えることじゃないでしょうか?
私はそう考えています。
まずは考えてみましょう
あなたのクラスのお母さんたちにいきなり「さあ、スマホは置いて!」とは伝えられないですよね。
それぞれの事情があるからです。
では、まずあなたの家庭から始めてみましょう。
自分はどうですか?
ご両親は?
パートナーは?
お子さんは?
顔を見合わせて笑えていますか?
まずあなたが考えて、そしてお母さんたちに投げかけてみてください。世の中を変えるのは、そういう小さな一歩からだと思います。
スマホになりたい子供がいなくなりますように願います。