今年の運動会は、全員が縄跳びを飛べるようになることに挑戦。
はじめは縄跳びで引っかかっていた子どもたちも、一生懸命お外やおうちで練習しているようでした。
そのなかでも、特にR君は縄跳びが得意。
すぐに、前飛び、後飛びをクリアしました。
R君に刺激されて、ほかの子どもたちも頑張って練習するように。
なかなか飛べないお友達にR君は
「僕のパワーをあげるからね!一緒に頑張ろう!」
そういって励まします。
ひとり、ふたり、子どもたちは成功を重ね、ほぼ全員が飛べるようになりました。
「やったー!先生!今度は大縄跳びに挑戦してみない?」
R君が言いました。
「よし、いいね!みんなで挑戦してみようか!」
次の日から、大縄跳びに挑戦!
はじめは、大縄跳びを連続してくぐる練習。
次に、大繩飛びを一回飛んでくぐっていく練習。
縄跳びが得意なR君は、1番に飛べるようになりました。
そして、ほかの子どもたちもR君に続き、意欲満々。
初めは大縄跳びに引っかかっていたお友達も、少しずつ出来るようになってきました。
私は、子ども達と話しあい、今年の運動会は全員で大縄跳びを飛んで抜けるというパフォーマンスを披露することにしました。
「みんなで頑張れば大丈夫!最後まであきらめずに頑張ろう!」
子供たちは励ましあい、最後まで頑張って練習を続けました。
そして迎えた運動会当日。
いよいよ大縄跳びの種目です。
15人大縄跳びをとんで、次のお友達からお友達へ…。
果たして成功するのでしょうか。
ところが、意外なことが起こったのです。
縄跳びが得意で1番にクリアできたR君がひっかかってしまったのです。
私は放送席に向かって、もう一度やらせてほしいと頼みました。
再度挑戦することになりましたが、本人は焦っているためか、どうしても飛べないのです。
もう1度!!
出来ないことはないはず!!
R君を信じて3回チャンスを頂きましたが、どうしてもR君で引っかかってしまいます。
R君は失敗するたび、何度も首を振り、悔しさを隠しきれないようでした。
「頑張れ!R君!」
そういって励ますクラスのお友達。
たくさんの保護者の前で何度も挑戦しようとするR君をみて会場からたくさんの応援の拍手がわきました。
みんなでR君のために何度も挑戦する子供たちを会場の拍手が包み込みます。
中にはハンカチで涙をぬぐう保護者のかたも。
お友達を思う力、最後までみんなで頑張ろうとする力に、私たちは胸を打たれました。
結局、その日は全員で大縄跳びに挑戦!という大きな目標を達成することはできませんでした。
子供たちはきっと、悔しかったことでしょう。
でも運動会が終わって、もう一度、保育室で再挑戦。
見事、達成!
子供たちは、R君を囲んで抱き合い、涙ぐむ子も…。
みんなでひとつのことをやり遂げた達成感や充実感に満ち溢れた子供たちの表情を私は忘れることができません。
保育園での大きな行事、運動会を通して、子供たちは大きな成長を見せてくれました。
運動が得意な子、苦手な子、それぞれ、歩みは違います。
それでもみんなで力を合わせて最後まで頑張ること、その過程があるからこそ、この大縄跳びは子供たちに大きな成長を見せてくれました。
子どもたちの育ちを最後まで信じる事、それは私たち保育士にとってはとても大切なことです。
行事は、ただ、子供たちに“やらせる”ものではなく、主体的に子供たちが自分たちで考え、自分たちでクリアしていく力を身につけていく事。
きっと、これから先、くじけそうになることがあっても、この大縄跳びの経験が子ども達を支えていってくれることでしょう。
保育園の行事は子どもたちからたくさんの感動のドラマを見ることができます。