保育士の”スゴイ”は禁断の言葉?


保育士になって数年。
もう新人とは呼ばれなくなった頃の話です。

出来ることも多くなりましたが、やらなければならない仕事も一気に増えました。
毎日の事務、保育の準備、保護者の対応、行事の司会。次から次へとやってくるものをひたすら片付けていく日々。

「忙しい。疲れた」が口癖でした。

そんな中、勉強会へ行くことになりました。
正直、「面倒臭い。家で事務を片付けたい」と思いながら会場に向かいました。

ある話の流れで講師が言いました。
「保育の中で、スゴイという言葉を使いすぎていませんか?」
「スゴイ?よく使うな。え?いけないの?」と思いました。

講師は続けます。
「スゴイって言葉は、保育士が楽する言葉です。子供が見て見てって持ってきた物に対してスゴイ以外の言葉を返せますか?」
「スゴイ以外?カッコイイ?上手?」その時考えてもいくつもは浮かびませんでした。

講師は「明日からスゴイを使わないで保育してみてください」と結びました。

 

次の日、早速子どもがブロックを持って「見て見てー」とやってきました。

(スゴイは使わない使わない)と思いながら声をかけます。
「うわー・・・」言葉が出てきません。

「飛行機だねー」(見たまま言っただけだよ)
そのあとも困惑が続きます。

折り紙を持ってきた子に「うわー」
逆上がりができた子に「うわー」

私なんでもスゴイでごまかしてたんだ。
スゴイをやめると言葉が出てこないんだ。

そう気付いた時、保育士としてちょっとは出来るようになったという自信が音を立てて崩れていきました。
事務、行事、保育準備で大変と言い訳をして子供の姿が全然目に入っていなかったのです。

そこから試行錯誤の始まりです。
まず子どもをよく見ようと決めました。

ブロックを作る時どんな表情をしてる?どんなふうに組み立ててる?
逆上がりができた時どんな気持ち?出来るまでどんな様子?
子どもは何を見てって言ってきている?

それを始めてから、少しずつ子どもの気持ちが見えてくるようになってきました。

「この飛行機羽根のところが大きいね。つけるの難しかった?」
「あのね、すぐ落ちちゃうからここにたくさんブロックをつけて強くしたんだよ」
なんどもなんども壊れては付け直す姿を見ていたからかけられた言葉です。

「せんせー、逆上がり見てー」
「足がすごく高くあがってた。いっぱい練習したもんね。手見せて。
ほらここがこんなに硬くなってる。頑張った印だね」
その子は周りの子のうれしそうに手のひらを見せていました。

「スゴーイ。でごまかしていた日々がとても悔やまれました。
子どもの成長を見られるたくさんのチャンスをのがしてきたんだとも思いました。

 

事務も行事も大事。
でも、それより子どもを見ることの方がもっと大切なんだと思うようになってからは、逆に事務もはかどるようになりました。

当然です。子どもの姿あっての日誌であり計画表であり行事なんですよね。
保育の根本に気づけた大きな出来事でした。

 

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