ケンカは【心を育てる】レッスンだ


保育をしていてケンカが勃発すると、とても困るし焦るしはっきり言ってイヤですよね?
小さい子ならば、噛みつきなどもあるし、手が出て顔にひっかき傷などができたら本当に大変です。

幼児クラスでも興奮して押したり叩いたり、怪我に繋がることがもちろんあります。
ケンカがなく無事に終わった1日はとてもホッとしますね。

でもちょっと待って!
ケンカってそんなに悪いことですか?
子供にとっての「ケンカ」ってなんでしょうか?
ちょっと考えてみませんか?

 

乳児のケンカ

赤ちゃんから幼児に向かう途中はイヤイヤ期がありますね。
これは「自我の芽生え」であり「自分」という存在を強く意識する時期であります。
対大人との戦いの時期のように見えますが、子どもの世界でもまた戦いが起きています。

何しろ「世界の中心はワタシデゴザイマス」な人たちが肩を並べて生活しているのですから、何も起こらない方がおかしいですよね。
そしてこの時期「言葉」という使い勝手の良い道具をまだ使いこなせないときたものです。
だから、自由に使える爪の生えた手や、足や時に鋭き歯というものを使ってお互いが自己主張を繰り広げるわけですね。

でも実はこの時期のケンカは、
「ナニ?ワタシ中心のコノセカイでアナタも中心だとイウワケ?」
と、他人を意識できるチャンスでもあるのです。

おもちゃの取り合いで噛みつきそうになった時、保育士が「貸してって言うんだよ」と知らせると、
【「世界の中心はワタシデゴザイマス」な人は「カシテ」を覚えた】となり、うまくいくとレベルアップできるんです。

「貸して」といわれた方も、保育士に「〇〇ちゃんずっと待ってたんだって貸してあげられる?」と言われ、
【「世界の中心はワタシデゴザイマス」は「イイヨ」を覚えた】となるわけです。

ただ、「カシテ」や「イイヨ」は時に使い方を間違える時もあり、
「カシテ」と言いながら奪いとってみたり、
「イイヨ」と言いながら泣いてみたりと、まだまだ冒険のたびは続くわけですね。

でも、戦い(ケンカ)を恐れて冒険の前の町(自分だけの世界)をうろうろしているだけでは、レベルアップ(成長)ができないだけでなく武器を買うお金(生きていく力)もたまりません。
どこかでぶつかり合って、「相手にも気持ちがあってそれが時に自分と同じこともある」と肌で感じていかなければなりませんね。
それが第2章「広い世界へ」とつながるわけです。

なぜかすっかりRPGの世界の話になってしまいました。
もし乳児クラスがRPGのような世界なら毎日毎日レベルアップの音がなり響くでしょうね。
寝ると元気満タンになるのもなんだかそっくりです。
保育士はさしずめセーブポイントでしょうか。いや、教会かな?

 

幼児のケンカ

友達の存在に気がつきながらも自分を主張してきた乳児期を過ぎるといよいよ本格的な「ケンカ」が始まりますね。
乳児期に得てきた、「カシテ」「イイヨ」「ゴメンネ」などは時として重要な役割を果たします。

でも、この使い勝手のいい言葉は、時として「伝家の宝刀」のように使われて、
「貸してっていったもん」のように言えばなんでも思い通りになると言う勘違いも起こりがちです。
また、それぞれの思い込みが強くなってケンカになることも多くなります。

ちょっと具体的に見ていきましょう。
保育士の関わりに注目してくださいね。

 

ブロックのタイヤは誰のもの?

男児が集まってブロックをしています。
車作りが流行っているので、みんなタイヤを探すのに必死です。
たくさん抱えている子もいれば、3つしかない子や一つも手にできない子もいます。
しばらくするとざわざわし始め、トラブル発生です。

保育士が駆け寄ってざっと観察したところ
Aくんが貯めておいたタイヤを、Aくんがトイレに行っている間に
Bくんが黙って持って行ったようです。

トイレから戻ったAくんはタイヤがないと大騒ぎ。
CくんがAくんに「Bくんがとった」と報告したようです。
そしてにらみ合いどころか掴み合い寸前。

 

☆保育士はストーリーを作らない

見ただけで状況がわかる時ってありますよね。
でも保育士は「~だから~なったんでしょ?」とは言わないようにしましょう。

必ず「どうしたの?」とみんなに尋ねます。
おそらく周りの子が説明をすると思います。
この時は、おうむ返しをしながら話を聞きます。
すると、、本人がそれを聞いて「違う!!」と反論してり「だって」と言い訳を始めると思います。

では、Aくんたちのケンカに戻りましょう。
やはり周りの子が「Bくんが黙って持って行った」といいます。

「Bくんが黙って持って行ったのね」
保育士が繰り返すとBくんは
「だって。Aくんいなかったもん」と言います。

「Aくんがいなかったから持って行ったんだね」と繰り返すと、
「トイレに行ってたからおいといたんだもん」とAくん。

保育士はこのように子供の言葉を忠実に拾っていきます。
わかりづらいかもしれませんが、ケンカを止めているのではなくお互いの主張を整理しているのです。
また、どちらの言葉もおうむ返しすることで、どちらの子も「僕の話を聞いてもらえてる」と言う安心感が生まれます。
そうやってまず心を鎮めることでケンカの次の段階に進めるわけです。

 

☆保育士は勝敗を決めてはいけない

ケンカの仲裁に入るとつい「それはAくんが悪い」と保育士が結論をだしてしまうことありませんか?
もちろんそうする方が良い時もあります。
しかし、私はできるだけ子どもたちで解決方法に気づいて欲しいと考えます。

では、またケンカの場面に戻りましょう。
お互いが自分の主張を終えたら、保育士が問いかけます。

「Aくんはトイレに行ってたんだって言ってるよ。Bくんはどう思う?」
先ほどの状況確認から、今度は気持ちを言葉にさせていきます。

「「トイレ行ったなんて知らなかった」
とBくんが言った言葉を今度はAくんに考えさせます。

「知らなかったんだって。Aくん誰かに言って、タイヤをとっといてもらった?」
Bくの気持ちを伝え、自分はどんなことをしたかな?と言う振り返りも促します。

逆にBくんにも、「これ誰の?」って聞いた?などと問いかけていきます。
そして周りの「見ていた」子たちにも、「それはAくんのだよ」って教えてあげた?などと考えさせます。

それぞれがそれぞれの立場から、
どうしてケンカになったのか【原因】
どうすればケンカにならずに気持ちを伝えられたのか【対処】
今後はどうすればいいのか【改善点】
今このケンカをどう収めればいいのか【解決策】
を探っていくのです。

この途中で先に述べた「伝家の宝刀」が出てくる時があります。
(もうめんどくさいし怒られたくないから)
「ごめんね!!」
この一言で終わらせてしまうのは一番好ましくないパターンだと思います。

ケンカの【改善点】【解決策】はよく考えてでた答えでなければ、また同じことが繰り返されるからです。
謝ってその場が丸く収まることよりも、たとえ長引いても自分の力で考えて、
「どうすればよかったのか」を導きだす方が大切なのです。

気持ちの表現の仕方や、相手の気持ちを受け止めること(いいなりになることとは違います)を学べるケンカは、どんどん経験して欲しいのですが、やはり怪我にも繋がりますし、何より心が傷つくのは避けたいことですね。

私たち保育士は必ずそばにいて気持ちを代弁したり、解決の方法を示したりと見守っていきましょう。
たくさん考えて、ケンカして、仲直りした経験は素晴らしい宝物になるはずです。

 

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