3つ子の魂100まで、という言葉があります。
乳幼児期の教育が子どもの脳を育てるためにとても重要だということは古くから言われてきました。
最近では、保護者の知育への関心も高く、塾や幼児教室に通う子も多いですね。
しかし、知育と聞くと
「難しそう」
「うちの園の方針には無いし」
「特別な教具やドリルが必要なのでは?」
等と苦手意識を持ってしまう方はいませんか?
今回は、知育とは何か、保育園でもすぐ出来る知育について考えて行きます。
知育とは
知育とは、「知能を育てる」事です。
最近では、小中学校で行う勉強の前倒しではなく、「考える力を育てる」事に着目されています。
巷には様々な知育教材や、幼児教室が溢れています。
早期英語教育や右脳を使う等、特色や教育方針はそれぞれ違いますが、根本的に大事にしていることは次の2点です。
この2点を伸ばすことが、考える力を育て、脳の発達を促すのです。
知育に大切なもの①
1つ目は「五感を鍛える」ことです。
子どもは大人よりも鋭い五感を持っています。
それは、言語を習得したり、物の違いを覚える等、乳幼児が成長するために必要なことだからです。
後ほど保育園でもすぐに実践できる五感の鍛え方を紹介します。
知育に大切なもの②
2つ目は「指先を使う」ことです。
指は第2の脳とも呼ばれ、使う事で思考力や記憶力が活性化するとも言われています。
物を握る事から始まり、つまむ、スプーンやはさみなどの道具を使う等と進んでいきます。
また、指で触れながら五感をフル活用しています。
触覚はもちろん、目でよく見て、大きさや形を比較したり、同じ物に分類して遊びます。
本来、子どもはこのような遊びが大好きです。
この遊びが、自分の脳を発達させる事を、本能で知っているからかもしれませんね。
明日から実践できる、生活や遊びの中の知育
「五感を鍛える」
「指先を使う」
この2点を意識して子どもと接するだけで、普段の保育にも、知育を取り入れることが出来ます。
視る
例えば赤い花が咲いています。
花を見て「これは赤い花。椿だよ。赤いね」と色の名前や花の名前を教える事が重要なのではありません。
同じ木に咲く花は、全て同じ色でしょうか?
同じ種類の花、同じ「赤い花」でも、濃さや明るさ、咲き始めや散り際で色が違いますね。
この微妙な色の違いを見分ける力、そしてなぜ違うのか考える事が、知育なのです。
子どもは違いを見つけるのが上手です。
その気付きを大切にする声掛けで良いのです。
大人が、あれもこれも「赤い花」と括るのではなく、細部まで視る力を伸ばす事が大切です。
聴く
普段は元気いっぱい遊ぶことが多い子どもたちですが、少し耳をすまして、色々な音を探すゲームをしてみてはいかがでしょうか。
遠くの電車の音、工事の音、今の時期ならば、風で葉が落ちる音、その葉を踏んだときの音等が聞こえそうですね。
もう少し寒くなると、雪が降る「無音の世界」も体験できるかも知れません。
音探しをするときは、保育士さんも声の大きさを意識してみてください。
みんなに聞こえるように大きな声で、ではなく、何か秘密の宝物を探しに行くような、小さい声で伝えましょう。
その段階から、子どもたちも集中して聞こうという準備が出来ますよ。
嗅ぐ
大人は花などのわかりやすい匂いに反応しがちですね。
でも私達の周りには、匂いが溢れています。
晴れてる日の匂いと、雨の日の匂いも違います。
葉の匂い、木の匂い、どこかでお料理している匂い等々、匂い探しの散歩も楽しそうです。
味わう
子どもの味覚は、大人の3倍とも言われています。
それは本能的に必要な栄養や、不必要な毒を関知するためです。
味覚を育てるために現場で出来ることは少ないですが、楽しい食事体験は偏食を無くす事にも繋がりますので、様々な味を食べられるようにもなります。
また、赤ちゃんは何でも口に入れますね。
これは舌で物を確かめているのです。
危ないものはともかく、玩具等は「拭けば良い」の精神で赤ちゃんの探究心を見守ってあげましょう。
触覚
砂や土、布、床など様々な感触の違いを感じたり、指でつまめる玩具があれば良いですね。
また、着脱は子どもが指先を使うチャンスです。
布の素材の違いを感じることも出来ますし、ボタンを留める、ファスナーを上げるなど、様々な指の使い方をします。1人で着替えが出来るように援助しましょう。
簡単に作れる知育玩具としては、ペットボトルの蓋を2つ繋げて中に鈴を入れてマラカスにしたり、穴に落とす玩具等があります。
布を引っ張りだしたり、袋の中の物を手触りで当てるゲーム等も喜ばれるでしょう。
保護者との関わり
「知育っていつから必要ですか?」
「何をさせたら良いの?」
等と相談を受ける場面もありますね。
上記の2点を踏まえた上で、毎日の生活の中に知育があることを伝えてください。
塾に通いつつ、着脱は保護者が全部やってあげるようでは、本末転倒ですね。
また、知育だけではなく、様々な習い事も子どもの発達にあったものを選ぶようにアドバイスしてください。
どんなに素晴らしい教育法でも、保護者が良いなと感じた物でも、子どもたちが自ら「やりたい!」と思って始めた事でしか、真に吸収はされません。