リーダーシップに「カリスマ性」は必須ではない
リーダーシップを高めていくうえで、まず考えたいのは「何のためのリーダーシップか」ということです。
リーダーシップとは、組織全体の成果を高めるために必要とされるものです。
園の場合、優れたリーダーシップとは、保育の質を高めるためのものと考えられるでしょう。
すなわちそれは、子どもの育ちを保障するものであるのです。
リーダーシップというと、カリスマ性で人を引っ張るイメージを抱く方もいるでしょう。
リーダーシップを「生まれつきの才能」と捉える方もいるかもしれません。
また、「園の誰よりも素晴らしい人物であらねばならない」と思い悩む園長先生も少なくないと思います。
確かに、人間性を高めていく努力は大切ですが、園長として求められるリーダーシップのあり方はひとつではありません。
リーダーとしての大切な考え方を踏まえつつ、個性に合ったリーダーシップを追求していけばよいと、私は考えています。
そのうえで非常に参考になるのが、「サーバント・リーダーシップ(側面から支えるリーダーシップ)」という考え方です。
サーバントとは「奉仕者」などの意味をもち、サーバント・リーダーシップとはスタッフを側面から支援して目標の達成に導くリーダーシップのことです。
私は園においては、従来の管理・指示型のリーダーシップよりも、サーバント・リーダーシップの方が向いていると考えています。
これは保育が創造的な行為であることと関係があります。
保育者の思いや状況を「受信」する
保育者に非があってもまずは受け止めることが大切
リーダーとしての思いを伝えることよりも、まずは一人ひとりがどのような保育をしているかを把握することがリーダーシップの基本となります。
保育者と日常的に会話をして、思いや状況などを受け止めるようにします。
全員と話すのが難しければ、主任にお願いをして報告を受けるという方法でもよいと思います。
1対1の面接では堅苦しい雰囲気になるため、廊下などで何気なく話しかけるとよいでしょう。
話を聞く際に注意したいのが、はじめから問い詰めたり叱ったりしないことです。
たとえ保育者に非があったとしても、いきなり叱られたら、次から「これは叱られるから話さないようにしよう」という心理が働いてしまいます。
最悪の場合、大きな問題を隠すという事態にもなりかねません。
保育者の行動の指針も「叱られないかどうか」になり、自ら考えようとしなくなります。
保育者の言動を正したいときでも、まずは「そんなことがあったのね」などと穏やかに受け止め、「こういう考え方もあるかもしれないよ」といった問いかけによって、一緒に正しい方向を考えていくという姿勢をとるとよいでしょう。