年度初めには多くの園で保護者会が開かれることと思います。
新クラスになり、複数担任だと保育士同士もまだ慣れない状態で色々準備をしなければなりませんね。
保護者会を成功させて、この一年をより良い年にするために色々と考えていきましょう。
目次
保護者会は誰のため?
「あなたの保育園では、保護者会は何の為、誰の為に開いていますか?」
意外と答えに詰まる方も多いのではないでしょうか。
- どのクラスもやっているから
- 行事予定表にあるから
- 毎年やっているから
そんな気持ちでなんとなく保護者会を捉えている人はいませんか?
なんとなくで保護者会を捉えている場合、おそらくその内容は「毎年同じ」になっているかもしれません。
仕事を調整して園に集まってきてくださる保護者が「来てよかった」と思える会にするためには、保護者会を「誰」のために開くのかから考えなくてはなりません。
保育士のための保護者会
「保育士」が今後保育をしやすくする為に保護者会を開くとしたら……。
- 今後の予定を伝えて保護者参加の行事などを周知してもらう
- 年齢なりの子供の発達を伝え、家庭でして欲しいことを伝える
- 園生活に必要なきまりを細かく伝えて守ってもらえるようにお願いする(持ち物に名前を書いてください、お休みの連絡は何時までにしてください……など)
- 園長からの話を聞いてもらい園の保育方針を伝える
などが考えられますね。
普段、お便りなどでお願いしてもなかなか伝わらないような細かいルールなどは、実際に言葉で伝えることで理解してもらえることがあります。
また、何歳児はこういう発達をしていくのだという目安を伝え、家でしてみて欲しいことなどを交えて話すと、「もっとこうした方がいいんだ」と気がついてもらえることもあります。
保育士からたくさんのことを伝えるのが、この保護者会の特徴です。
保護者は「聞く」ことが多くなりますね。
2時間近くも話を聞いているうちに眠くなってしまった……なんてことがないように、多くの工夫が必要です。
保育士が動いてみよう
私はよく寸劇を取り入れていました。
子供の特徴をプリントを配ってつらつらと説明するのではなく、「お母さんと子供」の、日常の一コマを切り取って保育士が演じます。
イヤイヤ期の説明などでこの寸劇を使うととてもよくわかってもらえました。
「こうするとイヤイヤはひどくなる」
「こんなきっかけでイヤイヤが収まる」
など、様々なシチュエーションで演じていくと、
「あーうちもあるある」
「あーこうすればいいのかもねー」
などの声が聞かれます。
この寸劇は保護者にとても好評ですが、保育士の練習と演技力が必要です!!
大きな紙に書いてみよう
保護者会というとプリントを配ってそれを読みあわせするようなイメージがありませんか?
人間下を向いているとぼんやりしてきて、話が頭に入りません。
プリントは、持って帰ってもう一度読んでもらいたいという意味もありますので必要ですが、話をするときは大きな紙・あるいはプロジェクターなどを使って説明するというやり方もあります。
大きな紙を使って説明する場合、最初から出来上がったものを貼るのではなく、あらかじめ用意しておいたキーワードを、話ながらペタペタ貼り付けていくのがおすすめです。
プリントにしろ貼った紙にしろ、どうしても書いてあることを先に読んでしまい、「わかったつもり」になってしまいがちです。
よくテレビ番組でキーワードを隠してある紙をはがしながら説明する場面がありますよね。
あのように次に来る言葉が隠れていると、そこに集中しますし、頭の中で予想もします。
それが気持ちを引きつけるテクニックなんですね。
保護者会にも十分使えるものだと思います。
保護者のための保護者会
保護者会を通して保護者に何かを得てもらう……と考えたときどんなことが浮かびますか?
保護者同士仲良くなってもらおう
クラスの年齢が低ければ低いほど、「初めまして」の保護者が多くなります。
特にお迎えの時間がバラバラになる保育園の保護者は、顔を合わせる機会すらない場合もあります。
そこで顔を合わせる貴重な機会として考えてみます。
そう考えると自己紹介から工夫ができるはずです。
お子さんの名前は名札などを置いて、会の間いつでも見られるようにしておきます。
そして「お子さんの名前の由来」などもいいのですが、ズバリ保護者自自身のことを話してもらったりします。
そのときは少し配慮が必要です。
それぞれの家庭の事情が見えてくるような話題にしないことです。
例えば「休みの日の過ごし方」のように聞くと、お父さんがいる家といない家、休みがたっぷりある家とほとんど休めない家、ではだいぶ事情が変わってきてしまいます。
ですからそのような話題ではなく、
「あなたの好きな音楽」「あなたが昔(今)得意だったスポーツ」「子供の頃から大好きなもの」など現在の家庭事情など関係なく楽しく話せることを聞いていきましょう。
大人しそうなお母さんがバレーボールが得意なスポーツマンだったり、いつも元気で飛び回るイメージのお母さんがフルートが得意だったり……。
聞いている私たちも驚いたりする話が飛び出してきますよ。
そのことをきっかけに、顔をあわせた時に声がかけやすくなったり、変な先入観を持つことなく接することができるようになるといいですね。
「いいこと聞いたー!」と思ってもらおう
とかく保護者会は「成長」「発達」「決まり」「お願い」など硬い話になりがちです。
そんな中、一つでもいいので、「わ、いいこと聞いた」ということがあるといい気持ちで会を終えることができます。
手遊びやよく歌う歌を保護者と楽しんだことはありますか?
「いつも子どもがごにょごにょ歌ってくれてたの、これなんですねー」
「これから一緒に子供と歌えますー」
と喜びの声がたくさん聞かれますよ。
絵本の紹介も、実際に子供に聞かせるように読み聞かせをすると、
「絵本久しぶりに読んでもらってなんか嬉しかったです」
などという感想も聞かれました。
よく使っているおもちゃを会のテーブルに置いておくなどすると、全員が揃うまでの間に、手に取ってみることができます。そうすることで、
「こういうおもちゃがいいんですね」
などと興味を持ってもらえたりします。
普段のお迎えではできないことをこの機会にやってみるといいですね。
さて、保護者会は誰のため?
最初の質問に戻りますよ。
あなたが今準備している保護者会は「誰のため」ですか?
実はこの答えは、突き詰めていけば「子供達のため」です。
でも、そのための「やり方」「方法」「伝えること」などを考える時に、ただ前年度のプログラムをなぞるのではなく、自分たちなりの伝え方を考えて欲しいのです。
その時に「今回は誰のためにどんな内容を」ということから始めると、とても考えやすくなるということです。
限られた時間の「保護者会」。
さあ、どんなやり方で何を伝えますか?
ぜひ考える手がかりにしてくださいね。