たくさんの子ども達に囲まれ、一緒に遊んだり成長をしたり。
保育士という仕事は人の成長にかかわることができる、やりがいと責任ある仕事として、いつの時代も人気があります。
そんな保育士というお仕事。
いったいどのくらいのお給料をもらうことが出来るかご存知ですか?
実際にはこの年収は他の職業と比べて低い水準にあり、保育士不足の要因の一つと考えられています。
ですが、年収が低いからと言って保育士になることを断念するのは早いですよ。
保育士の魅力は他に充分ありますから。
こちらの記事では、保育士の平均年収や給料をご紹介するとともに、年収だけでは捉えきれない保育士のやりがいについてご説明していきます。
目次
1 保育士の平均年収
1-1 保育士の平均年収
平成26年全国の保育士平均年収は317万円です。
女性平均年収は314万円、男性平均年収は351万円という統計になっております。
(平均勤続年数は7.6年、平均年齢は34.8歳)
保育士の年収と他業種の年収を比較すると、第1位である和歌山の年収は91.3%とほとんど変わりません。
第2位の愛知は70.7%、第3位の東京は60.2%です。
都心部では他業種含め多くの求人があり、他業種と年収に大きな差がでていると考られます。
一方地方では求人数が少なく選択肢が限られる分、他業種と年収の差が少なくなる傾向があります。
1-2 公立保育士の平均年収
「公立保育士」の平均年収は537万、平均年齢は44歳です。
保育士全体で比較すると公立保育士の平均年収は高いようです。
そして、公立保育士は公務員ですので、勤続年数及び各自治体により条件は異なります。
平成26年全国の地方公共団体職員の平均年収ランキング(総務省発表の地方公務員の年収データ)を見ると、やはり第1位は東京(杉並区)の736万1020円、愛知(豊田市)が第53位686万1588円でランクイン、
和歌山(紀の川市)が第410位614万128円でランクイン、全国の自治体は1742地域に分かれています。
このことから公立保育士の年収も都心部が高いようです。
そして、公立の正社員は育児休暇制度が整っているため、出産後も継続して働く傾向が高く、必然的に勤続年数が長くなります。
私立は育児休暇制度がまだまだ未整備なところがほとんどで、平均勤続年数が公立より少なくなる傾向があり、結果的に平均年収に差が出ます。
将来的には、国・自治体の施策で保育園の民営化が加速する予定ですので、今後、公立保育士の正社員になるには現状よりも狭き門となるでしょう。
1-3 年収の差が少ない理由
保育士の年収は差が少ないです。
その理由は各保育園の収入力の差が、ほとんど変わらないからです。
そして、年収の差は個人の能力により大きく変わらない、変えることができない構造になっています。
それは一体どんな理由からでしょうか。
そこは保育園の収入の構造から考えていくと明確になります。
ここで保育園の収入について考えてみましょう。
保育園の収入は、
①利用者からの保育料
②国からの補助金・負担金
③自治体からの補助金・負担金
となっております。
②、③については「文部科学省」が決めているので、各保育園による収入力の差は①利用者からの保育料のみになります。
運営費においては、
約8割が人件費です、経費削減の余地は少ないです。
しかも保育士1人当たりが管理できる人数も国により定められていますので人件費削減ができません。
保育園の運営に効率化を考えては人災が起きます!
昨今のニュースでも人件費の削減により、あってはならない事故が発生しています。
想像がつくと思いますが似たようなサービスなら、保育料が高い保育園に預ける利用者はいません。
つまり、必然的に保育園の収入力の差、競争力の違いが少なくなり、保育士の収入が変わりにくい構造になっております。
以上の理由から、保育園の今後のあり方として、サービスを差別化し、利用者のニーズを満たす努力が必要になると思われます。
2 保育士の給料について
2-1 初任給
民間、公立ともに保育士の初任給は約16万円です。正社員は社会保険料や所得税などが引かれますので、手取りは14万くらいになります。
他の職種をみてみましょう。ちなみに「教育、学習支援業」、「医療、福祉」、「生活関連サービス業、娯楽事業」の初任給は下図の通りです。
「教育、学習支援業」に保育園が入ると仮定した場合、
保育士の初任給は、高専・短大卒、大卒共に他業種と差はありません。
高専・短大卒の保育士か、大学卒の保育士かにより、約2万円から3万円の差があります。
また、平成24年から平成27にかけて、高専・短大卒の「医療、福祉」初任給は、5.6%も上昇しています。
「教育、学習支援事業」、「生活関連サービス業、娯楽事業」はほとんど変わっていないです。
「医療、福祉」の伸びの背景には、日本が抱えている少子・高齢化社会があります。
高齢化社会に属するサービス分野については、これからも給与の安定は続くと思われます。
一方、政府が掲げている出生率1.8や、都心を中心とした共稼ぎ世帯の増加により、保育園の重要は、今後高まることが予想できるため、保育士の待遇改善は望めると思われます。
2-2 定期昇給について
-
公立の保育園について
正社員として働く方は地方公務員ですので、各自治体により差はありますが、安定しています。
一般的に1年の定期昇給額は数千円からになります。
最近は人事考課があり、成果評価、能力評価、情意・態度評価が取り入れられ、新入社員は特に勤務態度を重視されます。
欠勤や情意・態度評価が極端に悪くなければ定期昇給は見込めます。
2 私立の保育園について
運営母体が社会福祉法人もしくは一般事業会社、学校法人、NPOになりますので各保育園により違いはあります。
公立に比べ定期昇給額・率は低いところが多いようです。
公立同様、一般的に1年の定期昇給額は数千円からになります。
最近では公立と差別化するためにキリスト教をはじめとした宗教保育園、また食育を特徴にしている保育園が増えており、園児集めに工夫を凝らしています。
運営がうまく行っている保育園は、利用者から高い保育料をもらえるため、保育士の定期昇給が公立より高いところもあります。
このことから、私立の保育園を選ぶ際には、運営母体の方針、方向性、成長性、独自性を見極め、かつ働く環境も大事になりますので園長、先輩保育士の意見を詳しく聞いたうえで選定することが肝要でしょう。
2-3 パートの給与
パートの給与体系は1,000円から1,200円、交通費別途支給が大半です。
勤務時間は4時間から6時間が多いので、
例えば 時給1,100円、1日5時間、月20日勤務ですと、
1,100×5時間×20日=110,000円 交通費別途支給になります。
一般的な仕事内容は保育士の補助業務が中心で、正社員が苦労する事務作業は少なく時間に余裕があるため、生活リズムを保ちやすいメリットがあります。
ですから正社員が出産を機に退職し復帰する場合、パートから再開する方も多くいます。
勤務時間は短いですが、各保育園により仕事の役割は異なりますので、業務内容の確認は必ずしましょう。
3 保育士のやりがいは子供の成長
保育士の平均年収は、1章、2章でお話させて頂いたとおり、同世代、業界別に比較すると決して高い水準とは言えません。
しかも仕事内容はかなりハードです。
具体的には個人記録、保育日誌、連絡帳、月案(保育内容計画、指導計画)などの事務作業や、排泄、清潔、衣類、睡眠、食事の基本的習慣を就学前に学ばせることです。
実際の仕事としては、オムツ交換やトイレの補助、お漏らしをした子供のお着替え、また親御さんからのクレーム、同僚との人間関係があり、精神的にも体力的にも辛さを感じる方もいます。
しかし、「やりがい」はあります。
挙げたら限がありませんが、代表的なことは子供の成長ではないでしょうか。
お遊戯会、運動会、お泊り保育、遠足などを通じて、準備期間から練習、本番と子供の成長がはっきりとわかります。
飲み込みも早いし、世の中の視野が狭い分広がりが速く、普段大人が気にしないようなことに関心を示し、毎日が気付きでいっぱいです。
また、小さい子は、素直な感性だからこそ喜怒哀楽がはっきりしているので、無邪気な笑いや涙が自然とでます。
卒園式では何枚ハンカチがあっても足りません。
でも、たくさんの充実感、感動、寂しさ、満足感を感じることができ、
卒園していく子どもたちの顔を見れば、充実感はいっぱいに、なることでしょう。
まとめ
保育士の平均年収いかがだったでしょうか。
保育士の平均年収は317万円で、他業界と比べると相対的に低くなっているようです。
しかし、たくさんの子ども達に囲まれ、一緒に遊んだり成長をしたりする保育士という仕事は、人の成長にかかわることができるやりがいと責任ある仕事です。
ぜひ保育士の仕事をまっとうしていただきたいと思います。