保育士のやりがいは子どもがくれる”小さな感動”

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保育士としてやりがいを感じる時、というのは人それぞれ違いはあれど、園の生活の中の大きなくくりで言えば卒園式だと思います。
子どもたちが大きく成長し、巣立っていく時、保育士は皆「ああ、保育士になって良かった!」と思うのではないでしょうか 。
これこそ「やりがい」です。

しかし、卒園式でそう思うのは、小さな感動や達成感というものを子どもたちとの日々の生活の中で、沢山感じているからだと思うのです。
その小さな積み重ねが、園生活の最後、卒園式に溢れてくるのだと思います。
卒園式は本当に感動で涙が出ますよね。私は必ずハンカチを持って行きます。

さて、では小さな感動や達成感を感じるのはどんな時なのかと言えば、それはとてもささやかな事です。

子どもが初めて名前を呼んでくれた時、
泣かずに保育園へ来れた時、
初めてトイレでおしっこが出来た時、
「せんせいだいすき!」と言ってくれた時、
ぎゅっと抱きしめられた時

あげたらキリがありませんが、
今日は私がある保育園で1歳児クラスの担任をしていた頃、とても思い出に残っている子どもSちゃんの話をしたいと思います。

Sちゃんは、クラスの子どもたちより23ヵ月遅れて入園していました。
4月の入園当初に比べたらクラスもだいぶ落ち着いてきた頃だったと思います。
初めてクラスにきたSちゃんの顔は今でも忘れません。
眉間にシワを寄せて眉は下がりお母さんにしっかりとしがみついていました。
こちらもお預かりしなければならないので、ここは心を鬼にして嫌がるSちゃんをお母さんから離そうとしますが、お母さんの服を掴み離しません。
服を掴んだ小さな手をなんとか広げお母さんから離しました。
その瞬間、Sちゃんはわーー!!っと泣き出しました。

その姿を見たお母さんも不安を隠せない様でなかなかその場から離れませんでした。
Sちゃんはその日は1日中泣いていました。勿論、ずっと抱っこかおんぶです。
保育士たちがあらゆる手を尽くしていたので、すぐに慣れると思っていたのですが、1週間経っても慣れず丸一日泣いていました。
声は枯れ、目は腫れてしまい、Sちゃんやお母さんの気持ちを考えると本当に辛かったです。
それでも徐々に泣かずに過ごせるようになっていきますが、結局ずっと付きっきりの保育をしても全く泣かなくなるまで1ヶ月くらい掛かりました。
そんなSちゃんの1日の保育の中で一番大変だった事が食事です。
私は、毎食Sちゃんの介助をしていました。
最初は一斉受け付けず、ただただご飯の前で泣くだけでした。時間が経ち、食事が冷えていくのは悲しい気持ちになりました。

1週間程経ってようやくご飯を口にしてくれました。
この時は本当に嬉しかった。
私しか分からない小さな達成感でした。
しかし、すぐにぱくぱく食べてくれた訳ではなく途中で泣いたり、嫌がって茶碗をひっくり返したり、口に入れたものを出して、嫌だと投げつけたり。
私は食事の度にご飯まみれになりました。
そうして根気強くSちゃんと向き合う事で信頼関係が生まれていき、1ヶ月経つ頃には普通に食べられるようになりました。

Sちゃんが保育園で笑顔で過ごせるようになり、ご飯も食べられるようになった時、お母さんも本当に安心したようでした。
お母さんから何度も「ありがとうございます」という言葉を頂きました。
ようやくSちゃんは保育園で楽しく過ごす事が出来、お母さんは安心して仕事に行けるのだと思うと、ホッとすると同時に喜びが込み上げてきました。

でもこれは特別な事でも何でもなく普通の生活の一部です。
日々の生活の中にドラマがあり、そこに小さな感動や達成感がついてきます。

保育士としてやりがいを感じる時は?と聞かれたら、
私にとっては子どもたちの成長を日々一番間近で見られる事だと思っています。

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