先日友人が出産をしました。
「保育士さんだったよね?色々教えてね」
という友人。
私は「もちろん」と返事をしました。
質問から見えること
友人と私は住む場所が離れていますので、LINEでやり取りをしています。
私は質問されることが嬉しくて、友人も素直に質問してきてくれて、たくさんの会話が続いています。
その中で見えてきたことがあります。
「新人お母さんは、全てを不安に感じてしまう」ということです。
友人は「赤ちゃんが泣きやまない」という質問をしてきました。
私は色々な問題を想像しては、解決方法を答えます。
でもなんだか話がうまく噛み合わない。
毎回ことばは違えど、「今日も泣いている」という内容が書かれているのです。
そこではたと気がつきました。
「赤ちゃんは泣くもの。泣いて当たり前。泣くのは元気な証拠」
病的な原因がなければ、「泣く」ということは問題のない当たり前の行動ですよね。
でも、新人お母さんは「泣くのは自分が未熟なせいかも……」と思い悩んでいたのです。
そこに追い打ちをかけるように「〇〇してない?」「~~はちゃんとできてる?」と返してしまっていたので、なかなかその不安が解消しなかったのですね。
「赤ちゃんは泣いて当たり前だよ」と返信してあげることが大事でした。
これは、保育の世界でも多々ある出来事ではないでしょうか。
質問の裏にあるもの
よく保護者から「うちの子〇〇で困ってるんです」のような話をされることはないですか?
時にはその内容を保育士も困っていて、一緒に考えて行かなければならないことがあると思います。
でも保護者は、本当の、心の奥では「否定してほしい、大丈夫って言ってほしい」と思っているはずです。
さあ、その思いをどうやって受け止めていけばいいでしょうか。
まずは「悩んでいるんですね」ということを受け止める
悩みの形で言ってきてくれているのに、「大丈夫、大丈夫」なんて笑い飛ばしていると、その一瞬は良くても後々「あの先生には、ちゃんと話を聞いてもらえない」という思いが出てきてしまいます。
まずは、「何を伝えたがっているのか」をよく聞いて答えます。
この時はカウンセリングのテクニックである「おうむ返し」がいいでしょう。
ほめ言葉をかける
そして、その子供をほめる言葉をかけてあげます。
言葉を裏返してあげるといいですよ。
(乱暴→元気がいい)
(臆病→慎重)
のように気持ちのいい言葉に一度変換します。
この時注意することは、最後に「大丈夫」とつけないことです。
「すごく元気がいいから、お母さん家で大変なんですね」
のように言葉をかけ、困っていることを消してしまわないようにします。
具体例を話してもらう
次はどんな風な姿なのかを具体的に話してもらいます。
この後の返事はこの姿によって変わってきます。
保育士からみて問題ないと思う場合
「園では、~~な姿だから今は大きな問題はないですよ。大丈夫。でももし何かあったらすぐお母さんにお話しますね。家では〇〇〇のように接してみたらどうでしょうか」
大丈夫という言葉はここで初めて使います。
そして、
「お母さんとてもよくお子さんのことを見ているんですね。」
のように、お母さんの努力を認めてあげてください。
問題を相談してきているということは、この言葉を待っているはずです。
「あなたは悪くない」という言葉とともに解決の糸口を教えてもらえたら、こんな嬉しいことはありませんね。
保育士も同じようなことを問題だと思っていた場合
「お母さんよーくお子さんのことを見てるんですね」
と先にほめてあげてください。
この後もしかしたら、その日のうちに答えが出ない問題にぶち当たるかもしれないからです。
「園でもそうなんですよー」と言った瞬間に、
「やっぱりそうなんだ……先生もそう思って私を責めていたんだ……」
などと悪い方悪い方に考えが巡って行ってしまいます。
それにブレーキをかけるためにも、
「お母さんはよく子供の姿を捉えている。ダメな親なんかじゃない」
ということを先に伝えてあげてください。
内容よりも心のケアを最優先に
私の友人が
「新米ママだからうまくできなくてこの子がかわいそう」
と思っていた時に、
「あれした?これもした?」
と追い打ちをかけてしまった私ですが、本来は
「ものすごく赤ちゃんのこと考えている素敵なお母さんだね」
と伝えるべきでした。
実際、本当にそうなのですから。
まずは相手の心が落ち着いて安心してから、初めてアドバイスをするべきだと思います。
皆さんも、何か問いかけられた時の答え方を、今一度見直して見てくださいね。