「根回し」と聞いてどんな印象を持ちますか?
なんだか裏でコソコソしているイメージでしょうか?
それとも、物事をうまく進めるには必要なことだと思うでしょうか?
今回は私が思う「根回し」の大切さのお話です。
政治の世界では当たり前
オリンピックの話題の中で、「ロビー活動」という言葉を聞いたことがありませんか?
オリンピックの招致の時、あるいは新しい競技を何にするか決める時、この「ロビー活動」という言葉がとてもよく聞かれました。
「ロビー活動」とは政治の世界の言葉で、公的ではない場所で意見を伝えることを指し、いわゆる「根回し」になるわけです(元々はホテルのロビーでくつろいでいる大統領に陳情を行なったことが由来のようです)。
海外では認知されている活動で、専門の団体もあり「ロビー活動」をする人を「ロビイスト」と呼びます。
つまり「根回し」はして当然、やらないことで様々な競争に負けてしまうという常識があるということですね。
ではなぜ、日本では「根回し」に嫌なイメージがあるのでしょうか?
「根回し」はずるい?
おそらく、「根回し」と聞くと、「賄賂」「袖の下」のように、金銭を渡して自分を優遇してもらうという贈収賄のイメージがあるのでしょう。
これは誤解です。
「根回し」にそんなものは必要ありません。
そもそも日本語の「根回し」とは植木の根が定着しやすいようにする作業のことで、転じて「物事がうまくいくようにするための準備」という意味になったわけです。
ずるくないですよね?
どんどん「根回し」しましょう
仕事をする場所では「根回し」がとても有効だと思います。
会議などそこで結論が出てしまう場所に話を持っていく前に、周りに自分の考えや思いを伝えます。
もちろん賛成の意見を集めたいのが本音ですが、話していくうちに「どんなところが反対されるのか」、「別の考え方があるのか」ということが見えてくるのです。
会議の場でいきなり反対意見を受けてオロオロしないために、事前に調査をするようなものですね。
保育園ではそのように何かを提案して意見を通したいと思うことは少ないでしょうか?
実は結構多いんです。
例えば、保護者対応で困ったことがありませんか?
自分で対応する前に周りの保育士に「どう対応していくか」を伝えましょう。
そして、
「話が行き詰まったら、助け舟を出してください」
とか
「お母さんが落ち込んでしまうかもしれないのでフォローをお願いします」
などと頼んでおきます。
保護者の前では「説明」などは難しいので、事前に行っておくわけです。
また、園長に自分の失敗を伝えなくてはならない……でも伝え辛い……そんなこともありますよね。
まず主任に伝えておき、その場にさりげなくいてもらい、フォローをしてもらうという手もあります。
これだって根回しです。
クラスの打ち合わせ、いつも時間が足りなくて議題が残ってしまう……。
そんな時、簡単な内容のものはあらかじめ声をかけておくのがいいでしょう。
打ち合わせという場になると、なかなか意見をすり合わせるのが難しくなりますが、数人で立ち話をしていると簡単に決められることがあります。
きっと気持ちが楽になっているので、自分の意見を言いやすく、相手の意見を聞きやすいのでしょう。
もちろんそこで決定するのではなく、打ち合わせの時の方向性を確認する程度です。
でも、打ち合わせの場でいきなり聞くよりも、話が進めやすいのではないのでしょうか。
とても有効な根回しです。
根回しをずるい行為にしないために
根回しが仕事に効果的な話をしてきましたが、やり方によってはずるい行為と思われてしまうことも、もちろんあります。
- あちらとこちらで違う話をする
- 嘘をつく
- 自分だけに都合よく物事を進めようとする
- 誰かの悪口を言う
- 物や金銭で相手を動かそうとする
- 必要以上に口止めをする
このようなやり方は「根回し」ではありません。
自分だけが得をしようとする「ずるい行為」です。
根回しは、物事をうまく進めるための準備だと覚えておくといいですね。
ぜひ上手に「根回し」をして仕事を円滑に進めてくださいね。