子どものことばの土台となるのが「聞く」力です。
0・1・2歳児の保護者や新人保育士は、子どもの発語の早さや語彙力を気にすることが多いですね。
しかし、まずは聞く力を育てることが重要です。
大人が英語を習得するときと似ているかもしれませんね。
言葉をまず聞きとれるようになることがスタートです。
聞く力が土台となり、話せるようになるのです。
この記事では、子どもたちが「心地よく聞く経験」について考えてみます。
「聞いてもらう経験」については、後日ご紹介したいと思います。
心地よく「聞く」経験とは?
聴力の発達は、お母さんのお腹の中にいるときから始まります。
新生児は、小さな音でもちゃんと聞こえているんです。
3~4か月頃になると、いつもいっしょにいるお母さんやお父さん、保育士など周りの大人の声を聞き分けて反応するようになります。
この頃に、自分の面倒を見てくれる大人たちの声をたくさん聞いて、ことばが心地よいものだと体験することが大切なんです。
乳児には聞き取りやすく、聞いていて心地よいことばで語りかけてあげましょう。
ことばを聞く楽しみ、喜びが大きくなることが、ことばの習得の第一歩です。
まだ赤ちゃんだから、わかっていないだろうというのは間違いです。
汚い言葉、怒っている言葉ばかりが溢れていると、心地いい言葉ではないということくらい、赤ちゃんだってわかります。
0歳児の保育室で、先生同士おしゃべりしてしまい、ちょっとした愚痴や苛々したきつい声を出していませんか?
十分に気を付けましょう。
親密な大人がことばをたくさんかけよう
お母さんやお父さん、担当保育士など、特定の大人がお世話をしながら語りかけるというところもポイントです。
自分と親密にかかわる、特定の人の声が心地よく聞こえるということは、どういうことだと思いますか?
そうです。
子どもは「愛されている」と感じ、お世話をしてくれる安心感、信頼感を抱くのです。
そうすると、「お母さんお父さんの声をもっと聞きたい」「先生の声が聞きたい」という気持ちに繋がり、コミュニケーションを取りたいという欲求につながります。
聞きやすい静かな環境をつくろう
子どもは身近な大人の肉声を聞いて、安心します。
最近では、スマホを使って子どもをあやすお母さんもいますが、必要以上に頼らないようにすることが大切です。
乳児期の子どもは、機械の音にまじってお母さんお父さんの声や、保育士の肉声が聞こえていても、聞き分けることができません。
テレビやスマホの動画は、「自分を愛して語りかけてくれる声」ではないのです。
一方的に、流れてくる機械の音。
これでは、子どもがコミュニケーションをとりたいという意欲は生まれませんね。
まとめ
いかがでしたか?
子どもは周りの大人の声をしっかり聞いています。
子どもが心地いい言葉をたくさん語りかけてあげましょう。
はじめに英語習得の例を出しましたが、ここまでのお話を踏まえて想像してみてください。
ある日、外国人のお友達が出来ました。
言葉の意味はまだわかりませんが、毎日にこにこ話しかけてくれます。
だんだんと、「君と友達になれて嬉しいよ。仲良くしようね。」
なんとなくそんな気持ちで話してくれているのが伝わってきます。
そうです。
その時初めて、「わたしも友達になれて嬉しいよ。こちらこそ、仲良くしてね。」と伝えたくなるのです。
その気持ちが、ことばを習得する大きな一歩です。
保育士の皆さん、子どもたちに愛情を伝えましょう。
子どもたちに、笑顔でたくさん語りかけてあげてくださいね。