皆さんは好き嫌いはありますか?
私は小さい頃から偏食で、小学校の時は昼休みまで残されて給食を食べている事も多くありました。
今の小学校ではそのような対応は少なくなったようですが、出来れば様々な食材を偏り無く食べて欲しいというのは子どもと関わる者としての願いですよね。
美味しいのに、どうして食べてくれないんだろうと悩む保育士さんも少なくないでしょう。
理由は様々ですが、今日は大人と子どもの味覚について考えていきたいと思います。
また、かわいらしい食事中のエピソードも幾つかご紹介します。
◎味覚とは
味覚とは舌で感じる感覚のことで人間には5つの味覚があります。
甘味、塩味、旨味、酸味、苦味です。
辛味は?と思う方もいるでしょうが、辛いというのは味ではなく、痛覚で感じる刺激のことです。
味覚は人間が生きるために必要な栄養を取り入れるための本能です。
例えば、エネルギーに必要な糖分を得るために、大多数の人は甘味が大好きなのです。
では苦味はなんの為にあるのでしょう。これは誤って毒を体内に入れないためです。
人間は本能的に苦い物は吐き出すように出来ているのです。
しかし、大人になると苦い物も美味しく感じる人も多いですよね。これは経験によって、「毒ではない」と認識するからです。
また、大人と子どもでは味を感じる味蕾の数にも違いがあります。
◎チョコレートの実験
ある時、色々な人にカカオ成分70%のチョコレートを食べて感想を言ってもらう実験をしました。
大多数の大人は「美味しい」「ちょうど良い甘さ」と答えたのに対して、子どもは「苦い」と顔をしかめました。
口にする前は見た目で「チョコレートだ!」と喜んでいたにも関わらずです。
それだけ子どもの苦味に対する感覚は敏感なんですね。
余談ですがソムリエさんは苦い・甘いだけでなく「ちょっと酸味があるね」という解答でした。
味蕾は食生活のなかで鍛える事もできるのです。
◎楽しい食事を!
食育というとバランスの良い食事、偏食を無くそう、姿勢やマナー等など、気にする点がたくさんあります。
しかし、それで食事嫌いになっては本末転倒です。
年齢によって関わり方は様々ですが、出来ない・食べない・時間がない、と眉間に皺が寄っていませんか?
先程「経験によって苦味を受け入れるようになる」と書きました。
つまり、信頼する大人が一緒に「美味しいね」と食べる姿を見て子どもも食べてみようと思うのです。
◎かわいい食事中のエピソード
①トマト嫌いな3歳女児
いつもトマトとにらめっこなAちゃん。「トマトって、食べるとお肌スベスベになるんだって!」と言うと、思いきってパクり!
すかさず頬っぺたを触って「うわー!スベスベ!」と誉めるとニッコリ。その後はトマト大好きになりました。
小さくても立派な「女性」ですね。
②食欲旺盛な2歳男児
「今日の給食は肉団子のケチャップ煮です。」と伝えるとスプーンの上の1つの肉団子を見つめた後で
「先生、じゃあこれはケチャップいち?」と。
「ケチャップ煮」を「ケチャップ2」だと思ったようです。
③揚げ物嫌いな2歳男児
食べず嫌いが多く、決まった食材しか食べないO君。
焼き魚は食べられるので魚のフライをこっそり衣を少なくしてゴハンに隠して食べさせてみると…。
あれ?美味しい‼それからは衣がついていても食べるようになりました。
(※苦手なものを隠して食べさせるのは騙し討ちのようで、逆に不信感を抱く子もいます。O君は魚は好きだったのでやってみて成功しましたが個人差がありますので注意して試してみてください。)
④レストラン演出
午前中の散歩で拾ってきた草花を小瓶に入れてリボンで飾り、テーブルの上に置いてみました。
すると「レストランみたいだね!」といつもより楽しそうに食事が進んでいました。
◎最後に
食育は1日にして為らずです。こんな簡単に食べてくれない、という子も多いでしょう。
しかし、まずは食事は楽しいという雰囲気作りを心掛けてください。
そして「美味しいね」という言葉をたくさん掛けてください。