毎日たくさんの子ども達の笑顔に囲まれながら、子ども達の成長をサポートしていく幼稚園教諭と保育士のお仕事。
どちらも子どもが好きな方にとっては、とても魅力的な職業ですよね。
小学校入学前の大切な時期を過ごす子ども達の成長を見届けられるというのは他の職業には無い魅力と言えるでしょう。
そんな幼稚園教諭と保育士の職業ですが、両者の違いをご存知でしょうか。
それぞれの免許・資格の取り方、働く場所、仕事内容、お給料の違いとは…?
この記事では、幼稚園教諭と保育士を目指す方にぜひ知ってもらいたい両者の違い4項目をご紹介していきます。
違いを把握することで、どちらの方がご自身の思い描く職業により近いのかを具体的にイメージして頂きやすくなるかと思いますので、ご紹介する内容が将来のお仕事を決める際の一助となれば幸いです。
それでは、幼稚園教諭と保育士の違いについて詳しく見ていきましょう。
目次
1.比較表で見る幼稚園教諭と保育士の違い
まず初めに、大まかな違いを表で確認していきましょう。
次の章から、各項目について詳しくご紹介していきます。
2.必要な免許・資格の違い
幼稚園教諭と保育士の仕事をするにあたり、欠かすことが出来ないのが免許・資格です。順番に見ていきましょう。
2-1.幼稚園教諭に必要な免許
まず、幼稚園教諭になる為に必要な免許、「幼稚園教諭免許」についてご紹介していきます。
幼稚園教諭免許には下記の3種類があります。
①幼稚園教諭一種免許
②幼稚園教諭二種免許
③幼稚園教諭専修免許
3つの違いをご紹介していきましょう。
①幼稚園教諭一種免許
4年制大学で所定の単位を修得することにより取得出来る免許です。
幼稚園の園長先生になるためには、この一種免許が必要となります。
②幼稚園教諭二種免許
短大・専門学校で所定の単位を修得することにより取得出来る免許です。
また二種免許取得後に、幼稚園教員経験5年+大学等で所定45科目単位以上を修得することで、一種免許にバージョンアップさせることもできます。
③幼稚園教諭専修免許
大学院修士課程または専攻科で学ぶことで取得出来る免許です。
①~③の免許は、それぞれの学校で学んだ内容が異なるため種類が変わっています。免許の種類によって職務に制限があるわけではありませんが、私立幼稚園によっては、給与等の待遇に差が出る場合もあります。
ちなみに、現職幼稚園教諭の①~③の免許別保有割合は、全国で見ると下記の通りの数値が出ています。
①幼稚園教諭一種免許 22.5%
②幼稚園教諭二種免許 71.8%
③幼稚園教諭専修免許 0.5%
※平成22年文部科学省による学校教員統計調査報告書より
2-2.保育士に必要な資格
次に、保育士になる為に必要な「保育士資格」についてご紹介していきます。
保育士資格を取得方法は大きく分けて2つあります。
①保育士養成校を卒業する
養成校には4年制大学・短期大学・専門学校・通信制学校の4種類があります。
養成校の保育士養成課程で所定の課程を修了することで、保育士資格を取得することが出来ます。
②保育士試験に合格する
保育士養成校を卒業しなくても、保育士試験に合格することで保育士資格を取得することが出来ます。
通信講座などで学びながら自分のペースで勉強が出来るため、社会人や主婦の方にお勧めの方法です。
しかし保育士試験の難易度は高く、合格率は10%前後と簡単な試験ではありません。
現在高校生で保育士を目指しているのであれば、保育士養成校へ入学する方が確実に保育士資格を取得することができるでしょう。
2-3.幼稚園教諭免許保有者が保育士になるには
既に幼稚園教諭免許を持っている方が保育士になるためには、「特例制度」というものを利用することが出来ます。
特例制度とは、幼稚園免許取得後に「3 年以上かつ4,320 時間以上」の実務経験がある場合、保育士試験の「保育の心理学」、「教育原理」、「実技試験」の3科目が受験免除となる制度です。
また、上記以外の科目についても厚生労働省が指定する保育士養成施設で4科目8単位を修得することで、保育士試験を受験する必要なく保育士資格が取得出来ます。
幼稚園教諭免許をお持ちの方には便利な制度ですが、平成32年3月末までの期間限定の制度なので、保育士資格の取得を考えている場合は早めに行動するべきかもしれません。
2-4.保育士資格保有者が幼稚園教諭になるには
2-3のケースと同様に、既に保育士資格を持っている方が幼稚園教諭になる際にも、「特例制度」が利用出来ます。
この場合は、保育士資格取得後に「3 年以上かつ4,320 時間以上」の実務経験がある場合、大学において修得することが必要とされる8単位を修得し、各都道府県教育委員会の教育職員検定に合格することで幼稚園教諭の免許が取得できるという制度です。
また、この制度は、「就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律の一部を改正する法律」の施行日(平成27年4月)から5年間が終了するまで適用となりますので、平成32年3月末までの期間限定の制度となります。
3.働く場所の違い
次に、幼稚園教諭と保育士それぞれの働く場所の違いについてご紹介します。
幼稚園教諭は幼稚園、保育士は保育園で働くことが出来ます。
どちらも保護者
に代わって子ど
もを預かり面倒を見るということはお分かりかと思いますが、幼稚園と保育園にはどの様な違いがあるのでしょうか。
下記の表で詳しく見ていきましょう。
管轄省庁・対象となる子どもの年齢・預かる時間など、大きく違いがあることが分かりますね。では、幼稚園教諭・保育士の「仕事内容」にはどの様な違いが出てくるのでしょうか。
次の章でご説明していきます。
4.仕事内容の違い
幼稚園教諭と保育士の具体的な仕事内容の違いについて見ていきましょう。
4-1.幼稚園教諭
幼稚園はその役割を「幼児を保育し、適当な環境を与えてその心身の発達を助長すること」(学校教育法第77条)とされており、学習面を中心とした指導がメインとなります。
幼稚園は文部科学省管轄で、小学校や中学校などと同じ「学校」なので、幼稚園教諭の仕事は小学校入学前の子どもの「教育」をすることであると言えます。
幼稚園教育要領に基づき、「健康、人間関係、環境、言葉、表現」それぞれについて、運動や音楽、遊びなどを通じて子ども達に教えていく必要があるのです。
4-2.保育士
次に、保育士の仕事内容について見ていきましょう。
保育園ではその役割を「日々保護者の委託を受けて、保育に欠けるその乳児又は幼児を保育すること」(児童福祉法第39条)と定めてあり、幼稚園でメインに行う「教育」とは違い、基本的に「生活面」を中心とした指導が行われます。
つまり、保護者に代わって身の回りのお世話をし、基本的な生活習慣を身に着けさせることがメインのお仕事となります
5.給与の違い
次に、給与の違いについてご紹介していきます。
同じ子どもを預かるお仕事でも、給与に大きな違いは出るのでしょうか。
5-1.幼稚園教諭の平均年収
1章でもご紹介した通り、幼稚園教諭の平均年収は347万円です。
保育士免許・幼稚園教諭免許の両方を持っている場合と、幼稚園教諭免許のみ持っている場合の給料の差はありません。
しかし、短期大学卒業と四年制大学卒業では給料に差が出てきます。短大では幼稚園教諭2種が、四年制大学では幼稚園教諭1種を取得できます。両者には学歴の差・年齢の差が出てくることから、給料の面で差が出てきます。
5-2.保育士の平均年収
保育士の平均年収は317万円です。
詳しくはこちらの記事でご紹介させて頂いておりますので、ご参照下さい。
【2016年度版】保育士の年収についてとことん考えてみよう
6.(参考)保育教諭という資格について
幼保連携型認定こども園の勤務の際に必要な、保育士資格と幼稚園教諭免許の両方をもつ職員のことを保育教諭といいます。
2012年(平成24)に成立した「改正認定こども園法」(就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律の一部を改正する法律、平成24年法律第66号)により、「幼保連携型認定こども園」が創設されました。
幼稚園は文部科学省、保育園は厚生労働省の管轄でしたが、幼保連携型認定こども園は内閣府の管轄となります。
この施設は学校教育(幼稚園)と保育(児童福祉施設)を一体的に提供する施設なので、勤務する保育教諭は、原則として保育士資格と幼稚園教諭免許を併有する必要があります。
従来の保育園・幼稚園に幼保連携型認定こども園を加えることにより、保護者の就労形態に関わらず子どもが保育・教育の機会を等しく得ることができるよう、保護者の選択肢の拡大が図れると考えられています。
保育園の定員オーバーは長らくの問題となっていますので、幼保連携型認定こども園の需要の増加に伴い、「保育教諭」の資格も今後ニーズが増えていくといえるでしょう。
7.まとめ
幼稚園教諭と保育士の違いについてご紹介してきましたが、いかがでしたか。
同じ子どもを預かるお仕事とはいえ、必要な資格・働く場所・仕事内容・給与面で
違いがあることが分かりました。
幼稚園教諭と保育士のどちらの職業に就こうか迷っている方は、今回ご紹介した違いについて十分に理解して頂き、ご自身がお仕事をするにあたり何を大切にしたいのか、またどの様なことを叶えたいのかという軸を元に将来の選択をして頂ければと思います。
ご自身の希望により近い職業でご活躍出来ることをお祈りしております。