あなたが決めてはいけない


長く保育士をしていると、様々な保護者との出会いがあります。
保護者の家庭の事情も把握しているため、しばしば「他人にはできない相談」を持ちかけられることもあります。

 

今日はそんな話です。

 

先生になら話せる

保育士は保護者とは友達ではありませんが、信頼関係ができてくるとフランクな関係になってきて、
「悩み事」「心配ごと」様々な胸の内も見せてくれるようになってきます。

「先生になら話せる」そう言われると正直嬉しい気持ちがしますね。
信頼されているんだと、張り切ってアドバイスもしたくなります。

そんな状況に私がなった時の話です。

 

シングルマザーの恋愛

シングルマザーで毎日頑張って仕事をしていたお母さん。
ある日「先生ちょっといい?」と私を呼び止めました。

 

「今おつきあいしてる人がいるんだけどー」

なんと恋愛相談が始まってしまいました。
しかも、その内容は「このまま彼と付き合っていてもいいのか、結婚してもいいのか」というものでした。

これが親友からの相談ならば「話聞くよー」と軽く言えるのですが、保育士と保護者という関係はそんな簡単にはいきません。

 

皆さんならどうしますか?

 

気をつけるべきこと

悩みを持ちかけられた以上、それを拒否してはいけません。
信頼して話してくれているその気持ちを大切にしたいからです。

でも、調子に乗ってアドバイスするのは危険です。

 

この私のケースの場合は、「お付き合いしている彼と結婚するべきかどうか」という質問でした。

この質問には続きがあり、「相手の宗教に入るように言われて困っている」という大きな問題がありました。
話の流れから、お母さんは「頑張れ」と背中を押して欲しいのかな?と感じました。

「頑張れ」ということも「やめた方がいいね」ということも簡単です。
でも、その一言がそのお母さんと子供の人生を左右してしまうこともあるのです。
「先生が頑張れと言ったから結婚したけど、ひどい目にあった。先生のせいだ」
「別れろと先生が言ったから別れたけど、気持ちが辛すぎて病気になってしまった」
大げさですがこのように言われてしまう可能性があります。

 

私はどちらのアドバイスもしませんでした。

 

自分で決めることの大切さを知ろう

ここまでの話を聞くと「責任のがれ」のように聞こえるかもしれませんね。

ある意味ではそうです。でも、それだけではありません。

私は、保護者でも親友でも身内でも「こうした方がいい」とはアドバイスはしません。

ひたすら、
「今はそう思うんだね」
「そう感じているんだね」
「そういうやり方もあるね」
と相手の言葉を拾い集めて私自身の言葉にして返していきます。

そして身内や親友の近い間柄ならば、
「どんな答えが出ても近くで応援する、支える」という気持ちを伝えます。

大切なのは「あなたの、考えて考えて出した答えが正解になるんだ」ということを伝えることです。

話を聞くということは、(気がつかないうちに)相手の考えを整理してあげる行為です。
例えるなら、鏡のように相手の前に立ち相手の心を写してあげるのです。
自分で発した言葉が、知らず知らずまた自分に返ってきて
「私こんな気持ちなんだ…」と気がつくことができるわけです。
そして「自分で決めて自分で答えを出す」ことにつながるのです。

 

自分で答えを出した人は強くなる

人は何かつまずいた時、失敗した時には誰かのせいにしたくなります。
その方が楽だからです。

でも、そこで「私が決めたことだから」と思えると、たとえ辛い失敗でも踏ん張ることができたり、うまく方向転換ができたりします。

子供でも、押されて転んだら「悔しさ」が先に立ちますが、自分で転んだ時は案外平気で立ち上がったりしますよね。

 

だから私はいつも「答え」のないアドバイスをするのです。

 

例外もある

もちろん例外もあります。

DVなどの暴力や何か差し迫った危険なことなどの時には、しっかりとしたアドバイスが必要になります。
そこは読み間違えないようにしましょう。

 

お母さんの決断

前出のお母さんは、自分で答えを出して生き生きとした生活を続けることとなりました。

私は話を聞いていただけです。

お母さんも「話を聞いてもらえて嬉しかった」と言っていました。

 

お母さんは自分で決断をして幸せになりました。

 

あなたのアドバイスの仕方はどうですか?

一度見直してみてください。

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