【虐待】私たちがすべきこと


以前児童相談所の方とお話する機会がありました。

「児童相談所は虐待に対する最前線のように言われるけど、
僕は最後の砦(とりで)だと思っています。
この相談所をすり抜けてしまったらもうあとがないからです。
そして、この相談所に繋がったことがスタートになるんです」

 そう言われて私は、ハッとしました。

保育士時代、虐待を疑われる事例は
児童相談所に通報(相談)をして「あーよかった」と思っていました。
「私たちで虐待を発見できたね」くらいな気持ちでいたかもしれません。

実際、児童相談所につながる事例ではそのまま退園するケースが多く、
私たちはその後を知るすべがなかったということもありますが、
あまりに安易に考えていた自分をひどく反省しました。

 

児童相談所につながれば、
確かに物理的な虐待はそこで一旦ストップします。

しかし、心が傷ついた子どもたちを預かる施設の保育士、
親の対応に奔走する職員、事実を知らされて戸惑う身内。

様々な立場の人々が昼夜問わず動き続けているのです。
本当の意味で虐待がなくなるその日まで、終わりは来ないのです。 

私たち保育士は、保育のプロです。
その立場で虐待を食い止めるためには何ができますか?

通報することは最重要なことです。
でもそのもっと前。

虐待になってしまう前の小さなサインをキャッチすることが
何より大切ではないでしょうか。
そしてキャッチしたら、絶対に何かができるはずです。 

今回、一緒に虐待について考えていきましょう。

虐待の傾向

体への暴力・言葉の暴力・性的暴力・ネグレクト・精神的な無視・兄弟姉妹間の差別・・・

虐待といってもその形は様々で、
またその背景もひとつとして同じものはありません。

ニュースで虐待という言葉を聞くと、「あーまたか」と思いますが
またかではなく、その一つ一つに「何か」があったと思うのです。
ニュースの中の「何か」には私たちは働きかけることはできませんが
私たちの保育園で起こる「何か」にはできることがあるはずです。 

虐待に気がつくために

虐待に気がつくタイミングはたくさんありますよね。
わかりやすく、
誰の前でも怒鳴ったり叩いたりする親もたくさんいます。

体に痣がある場合もあります。
人の手を怖がる子もいます。
でもそれを語る前に、
私は親の様子からも気がついて欲しいと思うのです。

 そしてその為には、
保護者との信頼関係がしっかり結ばれているかが重要です。 

先ほど、虐待のサインをキャッチする
と書きましたが、そのサインとは
子どもからだけではなく、保護者からのサインでもあるのです。

虐待をする親はもちろんそれを隠します。
そんなそぶりすら見せないことがほとんどです。
その隠された姿からどのようにキャッチすればいいのでしょうか。

そこに「信頼関係」が重要な役割を果たすのです。

 安心感を与え続けよう

皆さんはどのように信頼関係を築いていますか?
様々な方法があり、保育士それぞれの色があると思います。

その中で特に大切にしたいのは
「安心して話ができる」ということです。

そのために私が大切にしていたことは
「うそをつかないこと」です。

 何か話を聞くときにあなたは「誰にも言いませんから」って言いますか?

「内緒にするから、話してください」
といっても保育の現場で一人の胸に収めることなどできませんよね。
(もちろん軽い楽しい話は別ですよ)

大切で深刻な話であればあるほど私は
「内容によっては園長にだけは報告させてね」と伝えます。

「でも私からは他の保育士には絶対に話さないね」とも言葉を添えます。

「うそ」がないことでひとつの安心感が生まれると思います。

 親の気持ちを察知しよう

顔をあわせると、子どもの様子は必ず話しますよね。
その時に親の気持ちに寄り添った話をしていますか?

 事務系のお仕事だったら、「月末とっても忙しいですよね?」
外回りだったら「寒いですよねー。寒さ対策はどうしてるんですか?」
介護をされている方だったら「お母さんは夜睡眠とれてますか?」

など、その人に合わせた話をすることで
気持ちがぐっっと近くなります。

そこから話が広がったり、
なかなか聞けない家での様子が見えてきたりします。

 それを続けていくことで初めて、
「あれ?なんか様子がおかしいかな?」と気がつくことができます。

虐待に走ってしまい、それを隠そうとしている場合、
親も胸の中に辛さを抱えていると思います。

または、虐待してしまいそう!!と悩み、
誰かに聞いて欲しいと思っているのかもしれません。

 普段のコミュニケーションがとれていればいるほど、
小さな変化に気がつけるのです。

顔色は?ため息は?言葉の使い方は?歩き方は? 

何か違うと感じたらそれがサインです。

 そして私たちが動くとき

サインをキャッチしたら、すぐに行動です。
それは話を聞くことで解決の糸口が見えそうですか?
もう抜き差しならない状況まできてしまっていますか?

 ここで判断を間違ってはいけません。

必ず園長に報告してください。
(この時先に話した「うそをつかないこと」が生きてきます。)

 もし話をすることが最善となった場合、
決してしてはいけないことがあります。

それは、親を責めることです。 

「子供を叩きたいって思ってしまうんです」という告白に
「なんですって!!叩くなんて絶対だめ!!」というのは逆効果です。

 まず、「叩きたい気持ちになってしまうのね」と受け止めることが大切。
そこから親の気持ちを一つずつ聞き出していきます。

絡まった糸をほどくように・・・。

 叩いてしまうその手を

話を聞けるまでになったら、全てを受け止めて聞いていきます。
それが、どんな内容でも。 

ここまで親がさらけ出してくれているときは
それを批判したり、叱ったりするのは逆効果です。

人間は、自分が「批判された、叱られた、軽蔑された」
と思うと途端に心を閉じてしまいます。

閉じた心は、もう開きません。
開かない心が、また悲惨な虐待を生み出してしまうかもしれません。 

叩いてしまう、叩いてしまいそうになるという
その手を握ってあげてください。

これは例えではありません。
実際に握ってあげてください。 
私は、人を叩いてしまう手は、とても寂しい手なのだと思っています。
寂しい心がその手に現れて
「叩きたくない!叩いちゃいけない!」と思う気持ちを振りきってしまうのです。
握った手は人を叩くことはできませんよね。

叩きそうになった時、その手の温かさを思い出して欲しいと思うのです。

 まとめ

ここまで書きましたが、本来は虐待はこのように簡単に語れるものではありません。
それは一つ頭の隅に入れておいてください。

 でも、ほんの少し意識することで
キャッチできる何かがあるのならば、して欲しいのです。

 児童相談所が最後の砦であるならば、
保育園は最初に気が付ける場所になりましょう。

 そして子どもがのびのびと育てる環境を
全ての子供が持てる世の中を作っていきましょう。 

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