「おおらか」保育士と「繊細」保育士  

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あなたの性格は「おおらか」ですか?
それとも「繊細」ですか?

「おおらか」は別名「おおざっぱ」ともいいますね。
「繊細」は「神経質」でしょうか。
この二人が同じクラスの担任として組むと、時として考え方のすれ違いが起きてしまうことがあります。

靴の砂

散歩から帰った時にテラスで靴を脱ぎ、靴箱に収めますね。
その時、「おおらか保育士」と「繊細保育士」では対応が違ったりします(以下「おおらか」はO先生・「繊細」はS先生とします)。

O先生は、
「はーい靴をしまったら足を洗ってねー」
と声をかけます。
S先生は、
「はーい、靴をパンパンしてから靴箱にしまってねー」
と声をかけます。
同じ「靴を靴箱にしまう」という行動でも、保育士が一声かけるかかけないかで全然違ってしまうのです。

実はO先生とは私のことでした。
とにかく「靴をしまってー」というだけで他の指導はしていませんでした。
ところが同じ担任のS先生は毎日靴の砂を落とすことを指導していたのです。
たかがそれくらい?と思いましたか?
話には続きがあります。

靴の砂を落とすことを指導するという事は、靴箱の中に落ちる砂を気にしているということになりますよね。
S先生は時間があると靴箱の砂を綺麗に掃除していました。
私は、といえば、そもそも靴に砂がついてることなんか気にもしていないので、靴箱の砂にも気がつきませんでした。

つまり私がさっさと休憩に入っているその時に、S先生はひたすら掃除をしていたわけです。
これは大問題です。

もう「おおらか」とか「繊細」の問題ではないですね。

どっちが悪い?

このすれ違い、どちらが悪いかと尋ねれば、ほとんどの人がO先生と答えますね。
保育の大事な一場面に気がつかず、指導を怠っていたわけですから。
もちろんO先生こと私の大失態です。

でも、S先生はその行動(自分で毎回掃除する)でよかったのでしょうか。

おそらく「O先生は何もかもおおざっぱだから、私が綺麗にしなくっちゃ」と思っていたのでしょう。
その場限りならばそれで構わないのですが、クラス担任は一年間組むパートナーです。
パートナーが何か抜けている、間違っている時に、片方がそれを被ってしまっていては、良い関係など作れません。
どっちが悪いかと聞かれたら、どっちも悪いとなるはずです。

伝えにくいことの伝え方

私がO先生だとお話ししましたが、この時のS先生は実は後輩でした。
この話ができるということは、私はこの事実に気がついたということです。
さて、どうやって気がついたでしょうか。

答えは「S先生から言われた」です。

後輩が先輩に?と思いましたか?
S先生は、多分相当悩んだのだと思います。

2人で行うクラス打ち合わせの時に切り出してくれました。
「最近靴箱の砂が増えてきましたよね」
の一言からです。続けて、
「靴を出す時にテラスに砂が落ちてザラザラになりますよね」
と状況を伝えてくれました。
その時の私は心の中で「え!そんなこと気にもしていなかった!」と焦りまくりです。
焦る一方で、S先生が陰で掃除をしてくれていたことも知り、とにかく平謝りでした。

この時もしも「O先生、私ばっかり掃除してるんですけど」なんて言われていたら、どう感じていたでしょうか?

おそらく表面では謝っても心の中にしこりが残っていたことと思います。
S先生は「状況」を話しながら、今私がすべきことに気がつかせてくれました。
そして「靴を入れる前にパンパンとすると随分と違いますよ」と付け加えてくれました。

見事な解決方法だったと思います。

私のプライドも傷つけず、しこりも残さず、今後の保育の方向性も整いました。
しかも、この出来事をきっかけに、私は自分の保育を一から見直すことになりました。
きっと「靴のことだけではないはずだ」と思ったからです。
ズバリS先生に聞きました。
「他にも直すところあるかな?」
S先生は言いにくそうにしながらも、「こいう場面のこのような部分」と具体的に話してくれました。
私は穴があったら入りたい気分でしたが、反面、S先生がパートナーでよかったなと思えました。

打ち合わせの生かし方

S先生は打ち合わせの特性をうまく利用して、話をしてくれました。

  • 今こういう状況がある
  • それをよくするためにはどうしたらいいか
  • 自分はこういうことを実践している

この流れは打ち合わせならば普通に出てくるものなので、聞いている方もなんの抵抗もありません。
もちろん「あっ、自分はできていないことだ」と気がつくとそこからはパニックですが、「これからどうしていくか」という話であれば冷静に考えることもできます。

打ち合わせは「ミスを責める場」ではなく「これからどう保育していくかを話す場」だからですね。

 

一見水と油の「おおらか」と「繊細」ですが、うまくかみ合うとお互いの欠点を補い合うことができます。
担任のパートナーは、そうやって支え合う関係でいたいですよね、

恥ずかしいけれど、とても大切な経験談でした。

 

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