幼保無償化を考える

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政府が今制度設計を進めている【幼保無償化】について、皆さんはどんな考えをお持ちですか?

今話題になっているのは、幼保無償化を半年前倒しして、2019年10月から始めるということです。

喜んでいる保護者は大勢いると思います。

 

では、私たち保育士はこのニュースをどう受け止めるべきでしょうか。

 

制度が変わる時

国は度々大きな進路変更をしながら、国政の舵をとっていきます。
それは結果的には国民にとって良い結果になるのですが、それが世間に浸透し波に乗るまでは必ずどこかに歪みができるのです。

私が保育士として働き出した頃は、まだ「週休1日」が普通の時代でした。
日曜日だけがお休みだったのです(学校や官公庁基準)。
そしてだんだんと、第2第4土曜日が休みになるような流れになってきました。

保育園は現在のように、毎土曜日開園で、保育士が交代で出勤です。
しばらくは「4週7休」の体制でシフトが組まれました。

ここで問題が。

私が勤務していたのは区立園でしたので、他の企業よりも一歩先にそのようなシステムが取り入れられます。
ところが保護者の職場はほとんどが一般の企業、または自営業です。
土曜日に保育士の数は減りましたが、子供の人数はそう簡単には減らないのです。

まだ新人だった私。

どう大変だったのかは実は覚えていないのですが、私と土曜日に組んでいた先輩は相当大変な思いをしていたのでは……と、容易に想像がつきます。

制度を変えるのは、誰かが「スタート」といえば簡単に始まるのですが、それに現状が追いついて行くのには困難がつきまとうものなのです。

 

無料が呼ぶのは幸せか

子供たちを受け入れる保育士目線でこのニュースを聞いていると、
「根本の問題はどこに行ってしまったのだろう」
と疑問に感じます。

保育園不足・保育士不足の問題です。

さらに認可外の園も無料の対象になるという話を聞いて、安全面の確保はどうなっているのだろうかと、さらに首をひねることになりました。

今まで「保育料が高いから預けられない」と思っていた親たちも、「預けて働きたい」と思うのは当然のことです。

では、その時に保育園に空きがあるのでしょうか?

新しく保育園を作ろうと思っても近隣からの反対を受けてしまうような現状で、どうやって保育園が増えて行くのでしょうか。
保育士の不足も未だ叫ばれています。

入れなかった親たちは
「あの家はあんなに稼いでいるのに、さらに無料で子供を預けている」
という不公平感を抱くことになるでしょう。

「無料で子供を預けられる」という幸せな図式を描くのであれば、「子供を預けられる保育園が十分にある」という形から作っていかなければなりません。

そのためには保育士を増やす。
保育士を増やすためには働く環境を良いものにする。

芋づる式に、解決すべき問題が出てくるのは目に見えていますね。

 

歪み

問題が残ったまま制度が始まると、必ずどこかに歪みができて来ます。

一番怖いのは「事故」だと考えています。

もしかしたら、狭い保育室に定員以上の子供を押し込めるような劣悪な保育園も出てくるかもしれません。

とにかく園の中に子供を詰め込もう。
預かれるという人はみんな保育士にしてしまおう。
どんな場所でも子供がいられるなら、保育園にしてしまおう。

そんな考えが1ミリでも出てこないことを願っています。

 

保育士にできること

無償化はもうすぐそこまで来ています。
園にはどんどん希望者が押し寄せて来ます。

 

子供たちを守れるのは私たち「保育士」です。

まずは正確な知識を身につけましょう。
ニュースを聞き流すだけでなく、自分から調べてみましょう。
正しい方法で子供たちが幸せに暮らせる環境を増やせるように、私たちの目を活用していきましょう。

時代の流れに押し流されないようにしましょう!!

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