【0歳児クラス】保育7つのポイントに引き続き、0歳児クラスの中でも6か月~1歳2か月頃の保育についてご紹介します。
この時期は、お座り、はいはい、つかまり立ちから伝い歩きが出来るようになる時期です。
また、周りの人や物に興味を持つようになります。
絆が深まり、あやしてもらうと喜ぶなど、やりとりが盛んになる時期ですね。
目次
1.ずりばいから四つばいへ
「はいはい」と一言で言っても、その中にも発達の過程があります。
7か月頃は、おなかを付けた「ずりばい」。
9か月頃には、手を使った「四つばい」。
そして、さらに「高ばい」へと、はいはいの姿勢も変化していきます。
その子の発達に合わせた、運動を取り入れていくようにしましょう。
1-1.おいでおいで
保育士は、子どもの姿勢に入るところに、その子が好きなおもちゃや音のするものを見せてあげましょう。
「こっちにおいで~」と声を掛けてあげます。
子どもがはいはいをして、取ろうとする気持ちを引き出すことが大切です。
このとき、つい「もっとはいはいさせてあげよう!」と、目標となる人や物を移動させていませんか?
ドキッとした保育士さん、お父さんお母さん、多いのではないでしょうか?
「もう少しだよ~ほらもっと来られるかな~」と言ってしまいがちですよね。
しかし、ズバリ保育のポイントは「目標となる人や物の位置は移動しない」ことです。
興味・好奇心をもってはいはいをしたときに、「目標に手が届いた」という達成感を味わうことが重要だからです。
この繰り返しが、自分で動こうという意欲を育てるのです。
なかなか目標の位置に届かない子は、保育士がサポートするのもOKです。
はいはいは、ひざの屈伸と上肢の力を使って前へ進みます。
保育士が、足の裏をてのひらで支えてあげると、子どもは足の屈伸がしやすくなります。
サポートしながらも、子どもが前進して達成感を味わう経験を重ねましょう。
1-2.腹ばいを嫌がる子ども
お座りを覚えると、腹ばいより視線が高くなる座る姿勢を好み、腹ばいを嫌がる子どもがいます。
しかし、支えられて座っている段階では、背筋力もしっかりついていないため、腰に負担がかかります。
また、腹ばい姿勢をしっかり経験しないと、背筋力がつかず、上肢を起こす力も育ちません。
そうなると、腹ばいの次の段階である「四つばい」がしっかりできず、発達に影響が出ることもあります。
この時期は、腹ばいで両手を使ったあそびや、傾斜のある場所でのはいはいなどをたくさん経験させ、背筋力をつけていきましょう。
2.お座りの頃のあそび
9か月頃から、両手を床から離して自分の力でお座りできるようになります。
はいはいの姿勢から視界が大きく変わるので、子どもはお座りを喜びます。
両手を使った遊びなどを積極的に取り入れていきましょう。
2-1.両手を使って遊ぼう
ボールを転がして、それをキャッチするような遊びをしてみましょう。
座っている姿勢でボールを取りに行こうとすると、転倒する危険もあります。
クッションや布団を用意したり、保育士が後ろから支えたりできる環境で行いましょう。
2-2.自分の力で立ち直る動きを遊びに取り入れよう
ロールクッションにまたがる、あるいは保育士が足を伸ばした膝の上に座るなど、少し不安定な場所でも自分でバランスをとり体勢を立て直す動きを体験させましょう。
ボールプールなども良いですね。
3.つかまり立ちから伝い歩きへ
10か月頃になると、さらに大脳の発達が進み、立ってバランスをとる力が増します。
つかまり立ちから、伝い歩きを始める時期ですね。
自分で目標となるものを見つけて、それに向かって移動するようになります。
そういった姿に合わせ、あそびの中で体を動かすことを考えていきましょう。
3-1.つかまる物を置こう
つかまり立ちのできる高さの台や箱車を用意しましょう。
保育室には、ちょうどつかまり立ちができる高さの台を置くことで、つかまり立ちができる環境を作りましょう。
また、押して歩ける箱車を用意するのもいいですね。
楽しみながらつかまり立ちできます。
あるいは、大きめの箱の反対側から保育士が顔を出したり隠れたりして見せるというのもおすすめです。
子どもは好奇心をもって、箱につかまり立ちしようとします。
4.発語を促すかかわり
6か月頃から、手さし、指さしが見られるようになります。
これは、話し言葉に繋がる重要な特徴です。
また、これと同じ時期になん語の発達も盛んになります。
無意味な発声から意味をもつ音声になっていきます。
この時期に保育士や保護者が、その手さし・指さし、声・言葉に丁寧に対応していくことが、子どもの言葉への関心を高めます。
4-1.指さしと言葉の発達
指さしには、どのような発達段階があるのでしょうか?
6~7か月頃
保育士が言っていることや行動につられるようにして、手が出るようになります。
8~9か月頃
指さしの理解(ジョイントアテンション)ができるようになります。
保育士に抱かれるなど、相手と一体になっているときに相手が指さすものを見ることができるようになります。
また、「志向の手さし・指さし」と言い、同じ状況で興味のあるものを見つけ、その方向へ手や指を出すようになります。
「あっあっ」というように、手や指といっしょに声を出すこともあります。
10~11か月頃
指さしで要求をするようになります。
欲しいもの、行きたい方向を指さして訴えるのです。
指さしとともに声を出したり、そばにいる保育士を見たりします。
また、好きな動物、乗り物、食べ物などを見つけると、嬉しくなりそれに向かって指をさすようになります。
5.人見知りへの対応
6か月頃から、見知らぬ人を避けたり嫌がる「人見知り」をするようになります。
この時期に、特定の大人と信頼関係をしっかりと築くことが、その後の社会性の発達に繋がるので、しっかり対応するようにしましょう。
5-1.安心できる大人との関係づくり
人見知りの時期は、特定の大人との安心できる関係づくりが大切になります。
一番はお父さんやお母さんですが、保育園ではその役割を保育士が担うことになるわけですね。
なるべく一定の保育士がかかわるようにしましょう。
その子が好きなもの、興味のあるものを介して関わるのもいいです。
「この人といると安心」と思えるようになってくるはずです。
5-2.安全基地と外界を行き来しよう
人見知りが見られる時期は、興味や関心が広がる時期でもあります。
安心できる人や場所のいる安全基地を作ったうえで、そこから出ていこうとする気持ちも大切にしましょう。
保育士が抱いた状態で他の人や物に関わることから始め、外との繋がりを作っていきます。
離れても、すぐに戻れるという安心感がポイントです。
この繰り返しで、子どもは徐々に世界を広げていくことができます。
6.離乳食の進め方
離乳は、家庭と連携し、子どもの様子を確認しながら進めていきましょう。
一人ひとりの様子や発達に合わせて、この時期に丁寧にかかわることが、摂食機能の発達、食への意欲を促します。
食べる様子と支援のポイント
離乳開始の発達的な目安は次のようなことが挙げられます。
- 首がすわる
- 支えられて座ることができる
- 食べ物に興味を示す
- ほ乳反射の減弱(スプーンを口に入れても下で押し出すことが減る)
子どもの様子を見ながら、家庭と相談して開始時期を決めるようにしましょう。
支援する際、保育士は子どもと向かい合い、表情や口の動き、口に入れた食べ物の状態をしっかり見て、確認しながら進めます。
5~6か月頃の離乳食(開始時期)
口を閉じて食べ物を飲み込む反射が出る位置まで送り、飲み込むことを覚えます。
姿勢を少し後ろに傾けて、口を開けた時に、下の上面と床が並行になるくらいのイメージです。
下唇をスプーンで刺激し、出てきた舌先に乗せましょう。
子どもの顔に対して、スプーンが直角に入ると、飲み込みやすくなります。
7~8か月頃の離乳食
上下の唇を使って食べ物を取り込み、舌と上顎でつぶしてから飲み込むことを覚えます。
食べ物をつぶしているとき、左右の口角が伸び縮みするので、確認しましょう。
この時期は、下唇をスプーンで刺激して、上唇が閉じるのを待ちます。
上下の唇で食べ物を挟み取るように促しましょう。
慣れてきたら、子どもが自分からスプーンに口をもってくるまで待ってみます。
9~11か月頃の離乳食
奥の歯茎でつぶすことを覚えます。
少し丸みのあるスプーンを使いましょう。
食べ物を唇で挟み取り、舌で奥の歯茎に送っているか、確認しましょう。
また、しっかり嚙んでつぶしているか、口の動きを見て確認しましょう。
噛んでつぶしているときは、上下の唇がねじれたり、噛んでいる側の顎がしゃくれます。
12~18か月頃の離乳食(完了時期)
唇や口角を自由に動かし、奥歯で嚙めるようになります。
口へ詰め込みすぎたり、食べこぼしたりしながら、一口の量を自分で覚えていきます。
手づかみ食べを中心に自分で食べることも大切にしましょう。
様子をみて介助するようにします。
家庭では、毎回食卓には子ども用のスプーンを用意し、食具への興味も促しましょう。
この時期は、無理に食事を勧めて、食事が嫌にならないように注意します。
7.まとめ
いかがでしたか?
はいはいから遊び、離乳食まで発達に合わせた保育のポイントを見てきました。
保育知識を活かし、子どもの発達を見守り促す保育をしていきましょう。
みなさんの保育が子どもの発達、成長を支えます。
保護者は、色々な雑誌などで勉強しているとは言え、保育士のみなさんのような専門的知識は持っていない方が多いでしょう。
子どもの発達段階に応じた、家庭での対応もアドバイスできるといいですね。