保育園の生活の中で、絵本はとても身近にあるものです。
お昼寝の前にみんなで、保育士の膝で、自分でページをめくって。
様々な場面で絵本は子どもの側にありますね。
保育士はもちろん絵本の与え方を勉強し理解していると思います。
私は保護者にも大切さを知ってほしくて、
保護者会やクラスだよりなどで折に触れて「絵本」について取り上げてきました。
私たち保育士ももう一度「絵本」について考えてみませんか?
どんな絵本を選んだらいいの?
絵本を読みましょうと言われても、さてどの絵本がいいのか迷うところです。
書店でも図書館でもたくさんの種類の絵本が並んでいて、そこから良い絵本を選ぶのは難しいと感じてしまいます。
とくに保護者の方はその気持ちが強いと思います。
・年齢に合わせて
本によっては何歳からと明記されているものもあります。それも参考になりますね。
0歳~は色や輪郭がはっきりわかる絵を選びます。
ストーリーがなくても色や形を目で追って楽しめます。
大人は優しいトーンで語りかけましょう。
発達とともに、絵を指差したり声を出したりページを自分でめくるような姿もでてきます。
乳児期~は、繰り返しの言葉を楽しめます。
ゴロゴロ、パタパタ、ピョンピョンなどいつのまにかリズムのある言葉を一緒にしゃべるようになるでしょう。
同じ本を「もいっかい」と何度も読んでとせがむようにもなります。
時間の許す限り何度も楽しみましょう。
幼児期~はストーリーを楽しめるようになります。
ドキドキの冒険、ちょっぴり怖いお化け、優しいお母さん、面白い笑える本、心がジーンとする感動の本も子どもたちは大好きです。
色々な種類の本に触れさせてあげたい時期です。
・読み継がれている本には良さがある
自分が子どもの頃に読んでいた本が、まだ本屋に並んでいたりしませんか?
長く読み継がれている本はそれだけの良さがあるということです。
本の裏の「第( )版」というところを見てください。
(出版社によって違いがあります)
( )の中の数字が大きいほど古くから親しまれているという印です。
何回も増刷されているのですね。
選ぶ時の参考になります。
読み方にはコツがある
紙芝居と絵本の違いわかりますか?
紙芝居はその名の通りお芝居です。
ですので声色を使ったり画面を揺らしたりさっとめくって見たりと、色々な技法で楽しませます。
絵本はその逆です。
最初から最後まで穏やかな同じ声のトーンで読み進めます。
オオカミの声、可愛い女の子の声、色々な声は子どもたちの心の中の想像力で作られます。
草原をふく風も、美味しそうなパンケーキの匂いも全部心の中で想像力で感じられるようになるのです。
読み手はその邪魔をしてはいけません。
穏やかな声で読み進め、ゆっくりとページをめくり次への期待と想像を高めていきます。
ですので、本来は少人数で読むのがベストだと理解してください。
また読み終わった後に、どうだった?だれが出てきた?などの質問はやめましょう。
どんなに短いお話の後でも、子どもの心の中はお話の世界で満たされているはずです。
余韻の時間を邪魔しないようにしましょう。
大人だって映画の直後に「さー登場人物は何人だったでしょうか」なんて聞かれたら興ざめですよね。
子供から自然に出てきた気持ちや感想にそっと共感しましょう。
自分で読めるのはまた違った楽しみ方
文字が読めるようになると自分で絵本を読むのを楽しむ子もいます。
「自分で読んでくれて楽だわー」と思う親は多いはずです。
しかし時としてそれは、文字を一文字ずつ追っているだけで内容に没頭できてはいないかもしれません。
私は大人に読んでもらって楽しむことが絵本の本質だと思っています。
絵本は温もりも伝わります
少人数がベストだと前述しましたが、家庭ではぜひ膝に乗せて読んで欲しいと思います。
(あるいは横に座り体をくっつけて)
お父さんお母さんの温もりが伝わり、優しい呼吸も感じられる。
読んでいる大人もまた、子供の体温や呼吸を存分に感じられます。
これは最高のスキンシップです。
年長くらいで下に弟や妹がいると、抱っこしてとなかなか言い出せない子もいます。
絵本の時間は堂々とお父さんお母さんとくっついていられますね。
絵本で伝わる温もりはきっと、忘れられない温かな心の支えになります。
保護者に伝えていこう
ゲームやDVDなど手軽に楽しむ手段がたくさんある現在。
私たち保育士が絵本の良さをどんどん伝えていくべきだと思います。
絵本にたくさん触れた子は、大きくなっても本が好きな子になれると思います。
本は心を育て、言葉を育てます。
ぜひ保護者とともに絵本の良さを子どもに伝えていってくださいね。