保育士のみなさん、毎日の連絡帳に何を書いたらいいのか、事務作業が多くて大変とお悩みではないですか?
しかし実は、連絡帳は毎日の保育に役立てられるとても大切なツールです。
連絡帳には大きく2つの役割があります。
1つは、お子さんの体調管理の役割、そしてもう一つはお子さんの成長記録の役割です。
連絡帳は、お子さんの成長を保育士と保護者が共有し、ともに成長を見守ることができる大切なツールなのです。保育士が預かっている子どもの園での様子や今日の成長を連絡帳でお母さんやお父さんに知らせることによって、保護者は安心して保育園へ預けることができます。保育士が記入してくれた連絡帳を見て、保護者からは家での様子、自宅での子供の成長、ときには家族でお出かけしたときのエピソードを書いてくれます。
子どもや保護者との会話のきっかけにもなりますし、その子どもが保育園では見せない面を持っているなど、気付くことがたくさんあるはずです。
この記事では、連絡帳で伝える3つの主な内容と0歳~2歳まで年齢別の連絡帳の書き方をご紹介します。
目次
1. 保育園の連絡帳に書く3つのこと
ここでは、連絡帳に書く主な3つの内容について、具体的にどのような内容を書いていくと良いかご紹介します。
連絡帳の3つの内容とは、保育園での子どもの様子、子どもの体調管理について、そして保護者からのメッセージに対する返事です。
一つひとつどのようなことを書くと良いか見てみましょう。
1-1.保育園での子どもの様子
日中子どもと過ごすことの出来ない保護者の方は、保育園で子どもがどのような遊びをして過ごしたのか、どんな子と遊んだのかなど連絡帳に書いてもらうと保育園での様子がわかって嬉しいものです。
- 出来るようになったことを書く
昨日まで怖がって滑れなかった滑り台を今日初めて滑ることが出来た、初めてジャングルジムの一番上まで登ることが出来たといった「新しく出来るようになったこと」は子どもの大きな成長であり、親としてはとても嬉しい報告ですね。 - 好きな遊びについて書く
最近はおままごとが好き、ブロックで形を作って遊ぶのがお気に入り、この絵本が好きといったその子の「好きな遊び、好きなもの」についても保護者に伝えましょう。
そのときは、よく笑っていることや喜んだときの子どもの表情などより具体的に書くことで、子どもの様子が保護者に伝わります。
例えば、パズルがお気に入りという保護者も気付かなかった「好きなもの」を知る事が出来れば、家庭でもパズルを購入していっしょに遊ぶことが出来、保護者の子育てにも役立ててもらうことが出来ます。 - 誰と遊んだのか書く
何をしたかという出来事だけではなく、誰と遊んだのかを書くことで保護者は保育園で子どもが他の子と仲良く遊べているとわかり安心できます。
また、特に仲の良い子がいると連絡帳からわかれば、保護者同士の交流のきっかけにもなるかもしれませんね。
1-2.子どもの体調管理
- 体調・風邪の状況
朝家で測った体温を保護者にも書いてもらいます。
保育園でも体温を測り、毎日の体調の変化をしっかりと記録することで、体調を崩した際に病院に行くべきかどうかの指標にもなります。
また、咳や鼻水が出ていたときはそのことを連絡帳で伝えるようにしましょう。
もともと風邪気味だった場合も、保育園にいる間どの程度風邪の症状があったのかを保育士が伝えることで保護者も子どもの体調管理が出来るようになります。 - 食事の記録
食事の記録は保育士、保護者両方が書く内容ですね。
保育園でのメニューは「〇月の献立」として月の初めにお知らせとして出している園が多いです。保育園でその日食べたものを毎日連絡帳に書くかどうかは保育園ごとに異なると思いますので、園の方針に合わせて記入しましょう。
特にアレルギーをもっているお子さんの食事記録は注意して細かく記入することが重要です。また、食べられなかったものについては連絡帳に書いておきましょう。
嫌いだったのに食べられたものは必ず連絡帳でお伝えしたいですね。0歳児のミルクの場合は、何mlのミルクを飲んだのかを記録します。
食事も子どもの大切な成長記録です。 - 排せつ
何回うんちをしたのか、硬さはどうだったかを記録しましょう。
便の硬さは体調チェックの重要な指標になります。
固いときは便秘気味だとわかりますし、お尻が痛かったり、軟便の場合には感染症などの病気で体調を崩していることもあります。
特にノロウィルスが流行る時期などは下痢をしていないかなどしっかりチェックすることが大切ですね。 - 睡眠時間
睡眠については、保育士、保護者両方が記録する項目ですね。
保育園で何時間お昼寝をしたのか、家庭で十分な睡眠が取れているかを把握しましょう。
0歳児は1日の半分以上の時間眠ります。
成長にともない、必要な睡眠時間は短くなりますが、子どもによってその時間は様々です。夜の睡眠が一番大切と言われていますから、保育園でのお昼寝が長く夜寝る時間が遅いといった場合にはお昼寝の時間を調整する必要があるでしょう。
睡眠は、幼い子どもにとって非常に大切な時間です。
身体は寝ているときに身体の回復や脳細胞が増えるようになっています。
赤ちゃんは寝ることによって脳が発達します。
子どもは、起きているときに見たもの聞いたこと、全てが新しい体験です。
そういった体験を寝ている時間に脳が整理します。
保育士のみなさんは、睡眠の大切さをしっかり理解し、家庭での睡眠時間が極端に短い場合などは保護者へ改善するべきだとアドバイスしてあげましょう。
1-3.保護者からのメッセージへの返事
保護者の中には、毎日連絡帳を見るのを楽しみにしている方も多くいます。
今日の子どもの様子、先生からどんなコメントがあるだろうかとワクワクして連絡帳を開きます。
そして、家庭での子どもの成長や家族で出かけた話を先生に伝えたい、聞いて欲しいという思いで連絡帳に丁寧に記入してくださいます。
ですから、保護者からのメッセージにはきちんと書いてあることへコメントを返すようにしましょう。
そうすることで、保護者はさらに嬉しい気持ちになりますし、保育士であるあなたへの信頼感も増します。連絡帳は保護者とのコミュニケーションツールの一つですから、こちらも丁寧にコメントを返すことを心がけましょう。
2. 年齢別 プロの連絡帳の書き方例
連絡帳は0歳児~2歳児のクラスでのみ使っている場合がほとんどです。
0歳児~2歳児は自分の言葉で体調の変化や今日保育園であったこと、出来るようになったことを保護者へ伝えられないためです。
ここでは、それぞれの年齢に分けて連絡帳の書き方例を参考に、連絡帳を書く際のポイントをご紹介します。
2-1.0歳児の連絡帳
- ◆この連絡帳のポイント
-
- 保育園での園児の様子は具体的に書く
手遊びが大好きな様子が伝わってきますね。
保育士の真似をする様子から、先生のことが好きで良い関係を築けていることも伝わってきます。 - 保護者メッセージへの返事
第一子を育てる保護者は「子育ては大変、子どもに振り回されている」と言う方もいます。それは、生活の世話も遊び相手もすべて保護者が一人の状態だからでしょう。
兄弟の存在の利点を書くことで、保護者にも子育ての喜びが伝わります。 - 保育士としての見方で成長を伝える
手づかみで食べる前段階の様子を、食べ物を握って「感触を確かめ」ていると表現しています。汚して困った行為と捉えがちですが、この一文を読んで保護者はつい笑ってしまい、子どもの見方が変わる可能性が感じられます。
- 保育園での園児の様子は具体的に書く
2-2.1歳児の連絡帳
- ◆この連絡帳のポイント
-
- 具体的に書くとより良い
例えば、「園ではパジャマに着替えると寝るという流れが出来ていて、自分から布団に入りに行きます」など、子ども自身が1歳児なりに見通しをもって生活していることを知らせていくと、保護者も我が子が園のリズムに溶け込んでいることを感じて安心できることでしょう。 - 子どもへの言葉掛けは保護者にも参考になる
子どもは今が幸せなら、将来もきっと幸せだと未来に希望を持つことができます。
しかし、今我慢したらいつか幸せが来るよというのは通用しません。
ですから、「目が覚めたら、何かいいことがある」と期待の持てる、このようなポジティブな言葉がけはとても大切です。保護者にとっても参考になるでしょう。
- 具体的に書くとより良い
保護者支援のメッセージ
子どもを寝かせるために、色々と工夫しているお母さんへの応援の書き方になっています。保護者に子育てへの意欲や自信を膨らませることができる働きかけは、保護者支援の基本です。
2-3.2歳児
- ◆この連絡帳の書き方ポイント
-
- お父さんの手元をじっとみつめている子どもの様子を想像した保育士から自然に出てきたコメントでいいですね。
- 保育士が援助してあげることで、子どもの遊びが広がっていく様子がわかります。
- 2歳児になりに凧揚げを通して発見したことを記入しています。
- 簡潔に答えることで保護者の心配は吹き飛びますね。
- 「優しくしてあげて」と言ってもわからないのが2歳児です。子どもが、自分も愛されているという実感がわくような言葉崖を例に挙げています。2歳児なりに理解できることもあります。言葉で言い聞かせることの大切さを知らせましょう。
- 子育てに奮闘している保護者にとっては嬉しい一言ですね。
3. 連絡帳を書く際のポイント
- 保護者が知りたいことを書く
保育士さんの中には、連絡帳を見て保護者に嫌な思いをさせないことに注意を払いすぎてその点だけに意識が向いてしまっている方もいるのではないでしょうか。
とにかく当たり障りなく書いておけば、トラブルにならず安心という考えになりがちですが、保護者からすると離れている間の我が子の様子や保育園に馴染めているかどうかなど連絡帳はとても大切な連絡ツールなのです。
保育園でどんな遊びをしたのか、何ができるようになったのか、他の子と仲良く出来ているか知りたいのです。
特に月齢が小さいときは、子どもがお母さんやお父さんに言葉で伝えられることは多くありません。
連絡帳を使って、しっかりと保護者が知りたいことを伝えられるようにしましょう。
保育士から「保育園ではこのおもちゃやこんな絵本がお気に入りですよ」と伝えてみるだけでも、保護者は育児を楽しく頑張れるようになるはずです。 - 子どものよいところを書く
保育士が感じたその子の良いところを伝えることで、家では見えない成長が見えることもあるので具体的に伝えるようにしましょう。
その子の良いところを知ることで、保育士と保護者が子どもの良いところを伸ばしてあげることも大切です。
泣いているお友達を慰めるなど優しくできた、これまでは他の子が使っているおもちゃを自分が使いたいときに泣いたり噛んだりしてしまっていた子が言葉で「貸して」と
言えた、あるいはお遊戯会の前などは練習を一生懸命がんばっている、大きな声で台詞を言えたなど何でも良いです。
子どもの良いところは、保護者にも積極的に伝えるようにしましょう。活動の目的を書く
一日の行動を箇条書きやタイムスケジュールのように書く保育士さんが多いですが、何をしたかだけでなく、どういう目的でこの活動をしたのかということも書くようにしましょう。
もちろん毎日でなくていいですが、その子にとって新しいことを始めたタイミングには目的を書き添えられると保護者にとっても、わかりやすく安心できるでしょう。 - 悪いことは書かない
子どもが他の子に意地悪をした、言葉遣いが汚いときがあるなど、その子の悪いところについてはあえて連絡帳に書くことは控えましょう。
保護者にとっては可愛い我が子です。連絡帳に悪いことが書かれていると、一生懸命子どもと向き合って子育てを頑張るお母さんお父さんはショックを受けてしまいます。
また、自分の子どもが先生たちに悪く思われているのだと感じると、保護者は子どもを預けることも不安に感じてしまうかもしれません。
その子の良いところを伸ばせるように保護者とコミュニケーションをとり、アドバイスしていくといいでしょう。
もちろん、子どもには「自分がされて嫌なことを他の子にしてはいけない」「おもちゃはみんなのものだからみんなで使おう」などということは保育士がしっかりと根気強く伝えましょう。あくまでも連絡帳には書かないということですよ。 - トラブルは口頭で伝える
他の子に大きなけがをさせた際など、保護者に伝えるべきトラブルが発生した際には、連絡帳で伝えるのではなく必ずお迎えに来てくれた際に口頭で伝えましょう。
相手の保護者との間に入り、状況を伝えることになるので連絡帳に書くだけでは誤解が生じかねません。どのような経緯でけがをさせてしまったのか、相手のけがの程度や状況など直接伝えることが大切です。
4. まとめ
いかがでしたでしょうか。
保育園の連絡帳は思っていたより奥が深く、保育士と保護者がコミュニケーションをとり共に子どもを見守っていくうえで欠かせないものですね。
毎日の事務作業に疲れてしまう保育士さんも多いと思いますが、みなさんの努力はお母さんやお父さんにとっては子どもの大切な成長記録にもなります。
連絡帳を上手く活用して、毎日の保育に役立て、保護者とも良好な関係が築けるように工夫してみてください。