ある日何気なくネットの書き込みを見ていたら、保育士として働くお子さんを持つ母親の悩みを見つけました。
働き始めたばかりの娘さんは、毎日上司に注意されているようなのです。
母親が見る限りでは、LINEで毎日友達にぐちを言い、上司の悪口が他の園の保育士にまで伝わっているようです。
また、不満ばかりで向上心が見られないとも。
これを読んで、私の中に2つの感情が芽生えました。
「あーわかる。ベテランの先生ってすぐ自分の考え押し付けてくるし、意地悪な人もいる」
「あーわかる。新人の先生って注意しても返事ばかりで全然直す気なんてないんだから」
矛盾しているようですが、誰しもが新人の時期があり、やがてベテランへとなっていくのですから、2つの考えがあって当然です。
おそらくですが、新人が愚痴を言っているように、ベテランもまたどこかで愚痴を言っていることと思います。
そもそも愚痴ってなあに
愚痴という言葉を調べると【言っても仕方ないことを言って嘆くこと】とあります。
あれ?言っても仕方ないことなんですって。
私の経験上ですが、愚痴っていると最後は悪口のようになりませんか?
聞いてくれる友達に「言っても仕方ないこと」をエンドレスに話し、悪口がプラスされていくのが愚痴なんですね。
愚痴るのは悪いこと?
愚痴るのは悪いことかと考えると、答えはNOです。
人間の心はそれぞれ容量が決まっているのだと思います。
心が広いとか狭いって言いますよね?
その心には嬉しいことや楽しいことだけでなく、辛いこと悲しいこと頑張ることなど様々な感情が混ざり合って入っています。
その中にはストレスも・・・
心の中のいらないものを、外に出す作業が「愚痴」だと思うのです。
失恋した時を例にとります。
もう今更仕方ないから、さっ次へ行こう!!なんてなかなかできませんよね。
友達を呼び出して、泣きながら「彼のどこが好きだった」とか「本当はこうなりたかった」とか「振られるなら好きになんかなりたくなかった」など「言っても仕方ないこと」を延々と語ります。
でも「言っても仕方ないこと」を言うことで心の中の悲しみやストレスなどを、少しずつ外に排出しているわけです。
その空いた隙間に、次の恋がやってくるわけです。(キャッ)
「心にぽっかり穴が空いちゃった」と言いますが、その穴がないと新しいことは入ってこられないわけですから、愚痴るのも必要な作業なんですね。
スマホだって容量がいっぱいだと新しいアプリが入りませんよね?それと一緒です。
仕事の愚痴はどうだろう
失恋の時は「新しい恋」がやってくると言いましたが、仕事で愚痴った時はどうでしょうか?
ストレスを心から追い出してスッキリした後に何が入ってきますか?
残念ながら、またストレスがやってきます。
上司の愚痴を言ってスッキリしても、次の日顔を合わせますし、また何か言われるかもしれない。
新人のダメなところを挙げ連ねても、次の日に新人が生まれ変わるわけでもない。
これは負のループです。
前述の新人保育士さんも完全にこの負のループにはまっていると思われます。
ではどうしたらこの負のループが断ち切れるのでしょうか。
新人保育士に告ぐ
まだ発展途上中の皆さん。
愚痴ってせっかく空いた隙間になにを呼び込みましょうか?
遊ぶこと?楽しいこと?
いえいえ。
呼び込んで欲しいのは【知識と自信】です。
つまり色々なことを勉強してさらなる知識を手に入れて自信を持つことです。
「なんだー結局お小言と一緒?」と思ったあなた。
自ら得た知識ほど強いものはないんですよ?
裏付けられた自信ほど眩しいものもありません。
「先輩にこんなこと怒られた・・・悔しい!!よし、次は言い返してやる」くらいの気持ちで物事を学んで欲しいと思います。
保育そのものだけでなく、人として、社会人として何か学べることはありませんか?
ちょっと考えてみてください。
あなたが自分の力で成長していけば、先輩たちがあなたを見る目も必ず変わってきます。
ベテラン保育士に告ぐ
もう十分な経験を積み、世の中の酸いも甘いも味わい尽くしたみなさん。
あなたは心の隙間に何を呼び込みますか?
さらに勉強しましょうか?いいですね。
でも私は違うことを提案します。
それは【優しさ】です。
え?十分優しいですか?
ではもう一つ足しましょう。
【理解と優しさ】です。
私もそうですが、「自分たちの若い頃はこんなに甘くなかった」と思うことありませんか?
いつも先輩の言うことを聞き、飲み会でさえ先輩のグラスの空き具合を常に気にかけ「やって」と言われたことは何がなんでもやり通す。
でもそれってうれしくて楽しいことでしたか?
勉強にはなったけれど苦しさも抱えていませんでしたか?
そんなこと何も繰り返す必要ないと思いませんか?
そのための理解と優しさです。
若い子って何考えてるかわからないわー、と思うなら、自分から歩み寄って理解しようとしましょう。
その時優しさというクッションを必ず持っていってください。
同じ指導の言葉でも、上から投げつけるのと、クッションでバウンドさせるのとでは、相手への届き方が違いますよね?
相手を理解できないと思っても、優しさのクッションで「えーなんでそう思うのかな?」と返してあげてください。
なんで甘やかすの?と思ったあなた。
ベテランのあなたなら「甘やかす」と「甘えさせる」の違い、もう十分わかっていますよね?
私は常に楽しい職場でありたいと願っています。
楽しさから生まれることがたくさんあると思うからです。
あなたはどうですか?
その雰囲気を作るのは誰ですか?
心豊かな保育を
保育士がこのように心豊かにいられたら、誰が嬉しいと思いますか?
もちろん子どもたちですね。
毎日愚痴って愚痴って終わる先生よりも、心が嬉しさや優しさに満ちている先生の方が絶対に魅力的です。
それぞれが違う立場だけれど、それぞれができる努力をすることで同じ保育士として一緒にがんばれるのではないでしょうか。
それが豊かな保育を生み出すと考えています。
さあいっぱい愚痴って心の隙間をうーーーんと開けて!!
またいいもので埋めましょうね。