どんな仕事でも最初はすべてが未知の世界で緊張するもの。
特にそれが保育士になって初めて同僚、子ども達、そして保護者の皆さんにクラス担任として自己紹介したことは忘れられないと思います。
私が初めてクラス担任を持ったのは幼児異年齢合同クラスでした。
その幼児クラスの子ども達は0、1歳児クラスからの持ち上がりがほとんどで、保育園では子ども達の方が私より先輩。
初めてお部屋に入った日は私の緊張感が子ども達に伝わっていたのか、皆が一斉に寄ってきて質問攻めにあったことは忘れられません。
今、幼児クラスの担任を任されている先生で保育がうまくいかない、子ども達が言うことを聞いてくれないと悩んでいる先生に、私が新人保育士として初めて担任を持った時のエピソードをご紹介したいと思います。
頼りにしています子ども達!
まだ担任を持って間もない4月のある日の夕方。絵本の取り合いで3歳グループのA君とB君のケンカが始まってしまいました。
まず、私は教科書通りに、なぜケンカになったのかお互いの言い分を聞き、その後解決策はどう取るべきか両方に質問しました。
しかし、教科書通りにいかないのが現場の保育です。
子ども達がお互いにどうしたいか主張するばかりでいっこうに落ち着いて話し合うことができず、それどころか取っ組み合いのケンカになってしまいました。
その様子を見て隣の部屋から先輩保育士が急いで助けに入ってくれてその場はことなきを得ましたが、その夜はなぜケンカの仲裁ができなかったのか落ち込んでしまいました。
翌日、またA君とB君がおもちゃの取り合いでケンカになりそうになった瞬間でした。
私が急いでケンカを止めに走ったその時でした。
2人のすぐ隣でいた5歳児グループのⅭちゃんがA君とB君に対して「どっちが先に使ってたの?」と仲裁に入ってくれたのです。
その幼児クラスでお姉さん的存在のⅭちゃん。
昨日みたいにケンカにならないようにお互いの間に入って話を聞こうとしてくれたのです。
さすが5歳児。
私が最初に子どもに助けられたと感じた出来事でした。
配置基準では幼児クラスだと20人を保育士1人で保育をしなければなりません。
1人でうまくクラスを回せずうまく活動ができなくても子ども達同士で解決できるよう信じて見守ることが大切だと気づかされたように思います。
幼児クラスに子ども会議ってどう?
幼児クラスになると朝の会や帰りの会をして一日を終えるという保育園も多いのではないでしょうか。
朝の会で「今日のお天気は晴れです。お散歩先は○○公園です!」と先生が発言します。
子ども達の中には「えー!△△公園が良かったのに!!」と言う子もいてまだ新人保育士だった頃は「来週△△公園へ行こうね」と返していたのですが、子ども達もきちんと覚えていて、翌週、「先生、いつ△△公園へ行くの?」と逆に質問されたこともありました。
そんな時、先輩保育士のアドバイスで金曜日の帰りの会で来週の散歩先と遊びの内容を子ども達で話し合って決めることをはじめました。
保育士が決めたのは子ども達が順番に日替わりで司会をし、その司会者に決定権があるということだけでした。
最初は個々が好きなことを言って時間がかかってうまくいかず、結果的に保育士が決めた散歩先と遊びをいくつか言って子どもたちが選ぶという会議内容だったのですが、最終的にはお友達が意見を言っている間は聞くことができ、「滑り台がある公園に行ったから次はどんぐりがいっぱいある公園に行きたい!」などと子ども達自身が最初はこう、次はこうと見通しを持った発言をしてくれるようになりました。
まるで子ども達が週案を決めているような感覚を持ちました。
子どもの成長がどれだけ保育士として学ぶきっかけを作ってくれたか、今となっては感謝しかありません。