保育園では一日の生活の中で、子供が自分ですることがたくさんあります。
年齢が上がるにつれてそれは増えていき、年長になると、朝の支度から帰りの支度までのほとんどを自分でできるようになるはずです。
でもよーく見ていると、なんでもしてしまう「お母さん」いませんか?
今回は幼児クラスのお話です。
引き出しの中は誰のもの?
朝、補充の衣類を引き出し(あるいはカゴなど)に入れているのは誰ですか?
年長になれば、自分で引き出しを整頓して足りない衣類をいれられるはずです。
年中ならば、親と一緒にできるかな?
年少はお母さんが全部やっているでしょうか。
段階を踏みながら、年長では自分でできるようになって欲しいのですが、なかなかそうは行かないのが現実です。
自分の引き出しなのに「今何が何枚入っているか」が全然わからない子がほとんではないでしょうか。
必要な時に開けて、一番手前のものから出している様子ありませんか?
これでは、引き出しは「お母さんの物」ですね。
お母さんが楽をしたい?
朝の忙しい時に子供に支度をさせる、あるいは一緒にやるということはとても難しいことです。
一分一秒でも早く園を飛び出したいのに、のんびりする子に付き合ってはいられないのは理解できることですね。
でも、朝の支度は子供にとって一日を始める為の大切なステップです。
もし全てお母さんがやっている園があったら、ちょっと考えてみませんか?
まずは服がたためるかな?
これは、乳児の頃から園でも働きかけられる部分ですね。
着替えた時に脱いだ服を畳んでカバンに入れる。
これを繰り返していく中で「たたみ方」を覚えていきます。
忙しいと保育士でも、くるっと丸めてカバンに入れてしまうことがありませんか?
時間はかかりますが「脱いだらたたむ」を繰り返していきましょう。
根気のいる指導ですが大切なことです。
引き出しの中は何がある?
次に紹介するのは、保護者から頂いたアイデアです。
お迎えに来た時に子供に「引き出しの中見て」と声をかけます。
そして「なにが何枚?」と聞いて数えさせます。(小さい時は一緒に数えます)
「ズボンが2枚、Tシャツ1枚、パンツ3枚・・・」のように今あるものを把握します。
「今日暑かったからTシャツ着替えたのね。じゃ明日はTシャツを2枚と・・・」のように明日必要な数を考えます。
この時、引き出しがギュウギュウだと数えるのが難しいので、いつでも必要最低限の枚数にします。
そして次の朝、家から持って来た必要なものを補充するのです。
このやり方だと
- 子供自身が足りないものを考えることができるので、家でも自分で出してくることができる
- きちんと畳んでいないと数えにくいので、引き出しを整理する気持ちが出てくる
- お母さんも足りないものを把握できるので、無駄な荷物が減る
- 次の日に足りないと言う事態を避けられる
利点がたくさんありますね。
また、お迎えの時は朝よりは時間にゆとりがあるので、数えたり必要な枚数を考えたりする余裕があるはず。
落ち着いた中で「身の回りを整理する」ことが教えられるのです。
私も変わってみる
このやり方を目撃した時に、お母さんと話をして早速自分の保育にも取り入れました。
「朝の支度自分でしてね」と言うよりも前に「帰る時、何が足りないかお母さんに教えてね」と声をかけるようにしたのです。
そして朝は「昨日の足りないの持って来た?じゃあ畳んで入れようね」と声をかけます。
自分で(あるいは一緒に)数えて確認したのですから、「これで洋服足りるな」と言う気持ちが持てるはずです。
ただ渡されたものを突っ込んでいた時とは大違いです。
そして段階を踏んだ後に、年長クラスでは朝も帰りもお母さんたちが支度の為に入室するのを禁止にしました。
(小学校入学を見据えてのことです)
朝部屋に入れないのでお母さんたちの声かけも随分変わって来ます。
「何が足りない?」「あら、引き出しから飛び出てない?」「畳んであるかなー」
声をかけられることで子供達も一生懸命自分でやろうとしていました。
保育士も「引き出しの中は大丈夫かな?」と定期的に目を配るようになりました。
今までは「お母さん任せ」だったことにも気がつきました。
これは朝の支度からの話でしたが、見回してみると大人が「やってしまうこと」かなり多いと思いませんか?
自分で自分の身を美しくするために行うのが「しつけ」です。
漢字では「躾」と書く理由がわかりますね。
保育園時代に「自分のことは自分でする力」を与えてあげましよう。
早速自分のクラスを見直してみてくださいね。