果たして保育士のスキルアップとは?
保育士のスキルアップには2つの意味があると思います。
1つ目は、保育士としての質を高めるため、パソコン、料理、ピアノなどの技術を趣味として楽しみつつ、保育に活用するというスキルアップ。
そして、2つ目が保育士を退職して違う場所で保育士という仕事の経験を活かすというスキルアップです。
保育士を辞める理由には、給料が安い、時間が不規則、家族を大切にしたいとか、思ったような保育ができない、体力的に子どもとあそぶ自信がないなど様々な理由があると思います。
しかし、保育士を辞めても子どもたちのこと、保育士や保育所のことを温かく見守りながら保育を支援することはできると私は思います
ケロポンズ
ケロポンズは子ども向けの音楽やあそびを提案する2人組です。
保育セミナーというと、このお2人の名前が浮かんできます。
私は、パネルシアターを日常の保育に普通に取り入れていました。
朝のおやつ前、季節の行事、昼寝前、誕生会、長時間など…。
作ったパネルシアターの数は300作品以上です。
そして、増田裕子さんのミュージックパネルもいくつか作りました。
『すてきな帽子屋さん』、 『ねこのお医者さん』、『カラフル温泉』などは子どもたちに好評で、何度もやってほしいとせがまれたものの1つです。
増田裕子さんは、4年間の幼稚園勤務。
平田朋子さん増田裕子さんのミュージックパネルのセミナーの伴奏をしながら5年間、「りんごの木子どもクラブ」という保育施設に5年間勤務されていました。
中川ひろたかさん
絵本作家、シンガーソングライターの中川さん。
以前、私の勤務していた保育所の発表会で3歳児クラスが中川さんの絵本『さつまのおいも』をもとにした劇ごっこをしていました。
おいも対畑にやってきたこどもたち戦い(?)があり、勝った方が最後にいうセリフがあります。
その場面では、大真面目ながらも、とても楽しそうにセリフを言う3歳児の姿がありました。中川さんは、5年間の保育士経験があります。
新沢としひこさん
絵本作家であり、シンガーソングライターの新沢さん。
『さよならぼくたちのようちえん(ほいくえん)』という曲は、卒園式では必ず5歳児が歌う歌の代表でもあります。
また、『世界中のこどもたちが』という歌は、発表会でのオープニングに手話をしながら全員で楽しんだことがあります。
新沢さんのプロフィールには保育士経験ありと書かれています。
他にも…
元保育士の粘土作家やビーズ作家など小物づくりの分野での活動。
そして、市場とのタイアップで、親子で食育を学ぶセミナーや、子どものヘアカット教室での裏方役。
また、親子参加型のセミナーの講師役としてあそびを提案し、指導するなど。
私の周りでも保育士だけではとどまらず地域で活躍する元保育士の方々の姿が見えるようになってきました。
ムリな注文をする保護者もいる
保育士は自分たちのことをプロであるという意識を持つことが下手な職業です。
何十年も経験を持つ保育士であってもプロであると名乗るのは、おこがましいと考えている人が多くいました。
しかし、保育士を離れてみるとよくわかります。
“保育士とは保育や子育てのプロ”です。
ですから“保育士は、必ず子どもが好きで子どもや保護者への理解が100%あると思われがちです。
しかし、100%受け入れるというのは神様でない限り無理なことです。
保育士にも子育て中の子どもがいたり、予定があったりするものです。
私が勤務していた時、先輩保育士がいつも必ず20分遅れる看護師のお母さんに、
「いつも決まった時間にお迎えができないのは、職場から遠いからではないですか?もう少し近くに保育所があって、そこではあと1時間長く預かってくれますよ。そこなら、お迎えも間に合いますよ」
そう助言しました。
すると「私は仕事やのに、文句を言われた」、「けしからん保育士や」と役所に直接クレームをつけてしまいました。
この保育士の対応は間違っていたのでしょうか?こうなる前にできることは?
今となっては、1人の保育士が全面的に悪いのではないということがわかります。
その保護者への対応の仕方を全員が考え、保育士全員が一丸となってその保護者と話し合いをすればよかったということがわかります。
元保育士にできること
例えばそのクレームをきいてくれる元保育士の友達がいたら…。
直接、自分の子とは関わっていないけど、元保育士の知り合いや仲間が言うことなら素直に聞けるという人は、たくさんいます。
私はフラメンコを習っていた時に、子育て中のフラメンコの先生から
「どう思います。うちの保育所ひどいでしょ!!あなたならどうする?」
とよく聞かれました。
うちの子をみてない赤の他人の保育士や、元保育士なら保育や子育てについて、素直に相談できる人がたくさんいます。
保育所や保育士のクレームを聞いてあげるだけで、
「やっぱり、私も悪かったかな?もう少し考えて見るわ」
という答えが返ってくることが度々ありました。
元保育士が話を聞くだけでも、現役保育士へのクレームを解消する役割を果たすことがあるのです。
そのためには
保育士という仕事に日々追われていると気付かないことがたくさんあります。
それは保育士として過ごすことで自然とスキルアップができているということです。
毎日の保育所での生活、誕生会の計画を立てる、こどもと共に楽しむという経験、子どもとの会話、保護者との連絡ノート。
そして、延長保育、保育士同士のなにげない会話など…。
保育士の仕事は、なんでも屋です。
その場その場で仕事を考える、常に誰かとコミュニケーションをとるといった力を自然に身につけることができる仕事なのです。
ですから、どの仕事についても大丈夫‼
社会人としてのスキルアップがなされているのです。
近年、保護者や保育所でも守ってられなかったという理由から心理的に追い詰められたり、体調を崩すなどして保育士という仕事を辞める人もいます。
そして、たった1度の失敗から保育士として自信がないとか、保育の仕事が好きでなくなった、と自分を追い込む人がいます。
ですが、本当に終わりなのでしょうか?
いいえ、決してそんなことはありません。
元保育士として活かせる場は、どこにでも転がっています。
保育士は社会で活かせるスキルをたくさん学べる職業なのです。