もうすぐ保育園の実習が始まるけれど、わからないことがいっぱいで不安…
失敗したらどうしよう、子どもたちと仲良くなれるかな、先生が厳しかったらいやだな…
保育園の実習を前にした学生さんたちは、きっとこんな風に思っているのではないでしょうか。
誰でも初めて経験することは緊張しますし、不安にもなりますよね。
この記事では、実習を前にして緊張している学生さんたちのために、保育園の実習に関して注意するべき点を実習前・実習中・実習後に分けてご紹介していきます。
この記事を読んで、実習に対する不安や悩みを解消していきましょう。
目次
1、 保育園の実習とは?
そもそも、保育園の実習とはどういうものなのでしょうか。
保育園実習の履修方法は厚生労働省によって定められています。
厚生労働省によると、各大学で必修科目となっている保育園実習Ⅰでは、20日間の実習が行われます。
保育園と、保育園以外の居住型児童福祉施設(※)での実習がそれぞれ10日間ずつ行われます。
実習では、保育の内容や方法、保育園での保育者の役割、また子どもの様子などを、実際に園で体験しながら学んでいきます。
中でも、子どもとの関わりを通して子どもへの理解を深めること、保育者の職務内容や役割を現場レベルで体験し理解することは、実習でしか得ることのできない経験です。
今回は、原則として保育園での実習についてご紹介していきますが、保育園以外の施設での実習においても役に立つ内容を盛り込みましたので、ぜひ参考にしてみてください。
では、これから実習前・実習中・実習最終日・実習後と、場面ごとに分けて注意するべき点をご紹介していきます。
※居住型児童福祉施設…乳児院、児童養護施設、障害児入所施設など。
乳幼児や児童は自宅から通うのではなく、その施設で生活する。
2、 実習前
実習に行く前にはどんなことを準備していればいいのかな?
そう思う方も多いかと思います。
まずは実習に行く前の不安を一つ一つ解消していきましょう。
2-1、心構えを持つ
まず前提として、実習とは誰のためでもなく、自分のためのものだと心得ておきましょう。
実習の基本は、保育者として子どもとの関わり方や実際の保育技術を学ぶことです。
それと同時に、社会に出る前の準備として、挨拶や人間関係、言葉遣いなどを勉強する場でもあります。
学生の立場だと、実際の保育の現場で働く機会はなかなかありません。
多くのことを学べるよい機会なのでなんでも吸収していく気持ちを持ちましょう。
しかし、保育園では実習生であると同時に“先生”という立場にもなります。
いざ子どもや保護者の前に立つと、実習生であるという甘えは一切通用しなくなります。
保育士の先生と同じ立場に立たされるのです。
実習生にとっては、勉強する立場でもあり、また先生の立場にもなるので、実習中は大変なことも多く出てくるかと思います。
ですが、そんなときこそ、楽しむ気持ちを忘れないでほしいです。
楽しむ気持ちさえあれば、大抵のことは乗り切ることができます。
多くのことを学びつつ、子どもたちと関わるときは思いっきり楽しみましょう。
2-2、 身だしなみに気を付ける
実習では子どもたちと動き回ることが多くあります。
以下に、身だしなみについてポイントをまとめましたので、準備の際の参考にしてみてください。
・トレーニングウェアなどの指定された服装、着脱しやすく走り回るのに適した靴を選ぶこと。
安全面や清潔感、動きやすさに気を付けて選ぶと良い。
・髪の毛が長い人は必ず束ねること。
・過度な化粧やマニキュアは避けること(ネイルアートもダメ)。
・ピアスやイヤリング、ネックレスなどのアクセサリー類は、子どもに危害を加える可能性があるためつけていかないこと。
・タンクトップやミニスカート、ジーンズなどの服装は控えること。
フリルやひものついた洋服も危ないので避けること。
※くわしくはこちらの記事を参考にしてみてください。
【完全解説】保育士服装の基本
2-3、 目標を考える
せっかく実習に行くなら、その分多くのことを学んで成長したいですよね。
目標が具体的にあれば、実習中に意識して行動もできるし、なにより実りの多い実習生活が送れること間違いなしです。
ポイントとしては、今の自分に合った目標を考えていくのがおすすめです。
「年齢別の子どもの発達過程を知る」といった実習でしか得ることのできないものの習得を目指すこと、 「挨拶や返事を忘れない」など実習中での自分の振る舞いに気を付けることなどが例として挙げられます。
2-4、 自己紹介を考える
いざ、実習が始まったときに子どもたちの前で自己紹介をする機会が出てくると思います。
その場で考えるのも良いですが、子どもに親近感を持ってもらえるような自己紹介を前もって考えておくと安心できますね。
子どもたちの目線に立った紹介を考えていきましょう。
基本は「笑顔で、元気に明るく、ゆっくりと」話すことを心がけるといいですよ。
「お外でボール遊びをすることが好き」や「お部屋で積み木やおもちゃで遊ぶことが好き」など、子どもたちにもわかりやすく具体的な遊びを挙げるのもおすすめです。
2-5、 持ち物を準備する
実習先の園からも準備しておくべきものを伝えられるかと思います。
以下では特に持っておくとよいものをピックアップしました。
・メモや筆記用具を入れておけるように、ポケットつきのエプロンがあるとよい。
・筆記用具は、はさみやのりも準備していると制作のお手伝いを任されたときに使えて便利。
・名札は指定される場合もあるが、自分で用意する場合、子どもたちに危険が及ばないよう、安全ピンは避けて。布に縫い付けるとよい。
・タオルやティッシュも多めに用意するといい。
・印鑑は意外と忘れやすいので注意すること。
出勤簿や書類を書くときに必要になる。
3、実習中
実習中にも気を付けなければいけない点はあります。
子どもの様子を見ることが最優先ですが、以下のポイントも忘れずに実習に臨みましょう。
3-1、挨拶を忘れない
挨拶はすべての基本となります。
明るく、元気よく、を心がけてください。
園の先生だけでなく、子どもや保護者の方、お客様が見えたときにも挨拶は忘れないようにしましょう。
3-2、 報、連、相を忘れない
何か困ったことや問題が起きたときに、自分や他の実習生と話をするだけで判断するのはやめましょう。
小さなことでも迷ったらすぐに園の先生に相談することが大切です。
子どもが転んでけがをしたときなどは特に注意が必要です。
どんなに小さなけがだったとしても、「これくらいなら平気だろう」と、自分だけで判断はしないでくださいね。
保護者から連絡が入り、知っている保育者がいなかったという状況になると大変なことになってしまいます。
3-3、 マナーに気を付ける
実習園での決め事やルールは必ず守ることが大事です。
また、無断遅刻・欠席・早退をすると、園だけでなく子どもや保護者にも迷惑がかかります。
言葉遣いや挨拶、服装や生活態度も、子どもは意外とみているものです。
具体的にどのような点に注意すればよいのか以下を参考にしてみてください。
保育園での実習でやってはいけないこと
・日誌など提出期限のあるものを期限内に提出しない ・日誌の文字が雑で読みづらい ・実習先の先生の話を素直に聞かない ・返事をしない ・髪の束ね方がだらしない ・職員だけでなく子どもに対しても言葉遣いが荒い |
子どものお手本となるよう、気を付けましょう。
3-4、 失敗を恐れない
実習には失敗がつきものです。
子どもに対して、ゆっくりした口調で話すべきところを緊張して早口で話してしまったり、子ども同士のけんかにどう対応していいか迷ってしまったり…
特に、初めての実習ならなおさらわからないことだらけだと思います。
保育者側も、実習生は失敗をするものだと心得ているはずです。
失敗を恐れて動けなくなってしまうより、積極的に行動したほうが自分の成長にもつながります。
もちろん、失敗をしてしまったら、その日のうちに日誌に記録して反省し、次へと生かせるよう考えることが大事です。
たとえ失敗が多くて先生から厳しく注意されてしまっても、自分に保育は向いていないと考えないでくださいね。
諦めずに前向きに取り組む気持ちを大切にしていきましょう。
3-5、 体調管理に気を付ける
実習中は、慣れない保育や子どもたちとの遊びで、精神的にも体力的にも疲れやすくなり、また普段の生活リズムとも違ってきます。
もし、実習の途中で体調を崩してしまうと園側にも迷惑をかけることになります。
子どもたちにうつしてしまう危険もあるので、規則正しい生活を意識して、万全の体調で臨めるように気を付けましょう。
3-6、 日誌を付け、課題を考える
実習中は毎日、その日にあった出来事を日誌に記録する作業があります。
活動記録(朝の会、散歩、遊び、食事、午睡など)や環境構成(子どもや保育士の位置、机やいすなどの配置など、図を入れたり簡単な言葉を添えたりして記入)を書いていきます。
その中で子ども・実習生・保育者それぞれの視点からの動きを書いていくとよいでしょう。
そして、一日の実習の中で気付いたことや反省点、疑問点や嬉しかったことなどを具体的に書いていきます。
日誌は、時間を追って書いていくことが多いため、用紙が一枚だけだと書ききれなくなる場合があります。
用紙を貼って書き足すことが認められているときは、実習の前に用紙をコピーしておくとよいでしょう。
また、修正テープを使用していい場合は、下書きは必要ありませんが、修正テープの使用が認められていない場合は下書きが必要になってきます。
もし、日誌の記入中に間違えてしまった場合は、間違えた個所に二重線を引き、訂正印を押します。
その他の注意点としては、ただの感想文にならないようにすることが挙げられます。
自分なりに課題を見つけて反省し、次の日への目標として設定できると良いですよ。
また、子どもの個人名について書いてはいけないという施設もあるため、実習先の先生に確認しておきましょう。
提出する際も、いつ・どこで・何時に・誰に提出するか、を前もって確認しておくと当日慌てずに済みますね。
4、 実習最終日・実習後
長かった実習もいよいよ終わりが近づいてきました。
最後まで気を抜くことなく実習に励みましょう。
こちらでは、実習最終日・実習後に行うとよいことをご紹介します。
4-1、実習先の先生方へ挨拶する
実習最終日、大抵の園ではその日のうちに全職員への挨拶の場を設けてくれています。
忙しい中、実習を受け入れてくれたことに対する感謝の念を忘れずに伝えましょう。
また、特にお世話になった先生には、実習で学んだことや得たことと一緒に、改めて感謝の言葉を伝えましょう。
4-2、子どもたちへ挨拶し、プレゼントを送る
実習最終日には、子どもたちへ挨拶する機会もあるかと思います。
挨拶すると同時に手作りのプレゼントを配ると、子どもたちにも良い思い出として記憶に残るのではないでしょうか。
もちろん、子どもたちにプレゼントを渡す前に、園に確認をとることが必要です。
園の方針でプレゼントを渡してはいけない、という園も中にはあるようなので、必ず事前に確認を取りましょう。
その際に、渡すプレゼントの内容(折り紙で作ったメダルやコマ、お別れカードなど)や渡す時間をいただけるかも聞いておくとよいですよ。
4-3、実習園へお礼状を書く
実習が終わったあと、実習を受け入れてくれた園に対して、感謝の気持ちを込めてお礼状を出しましょう。
最近では、実習先の保育士さんと年齢が近いと、気軽にメールアドレスを教えてもらえる機会もあるようです。
特にお世話になった方にはお礼メールを送るのもよいかと思います。
ですが、基本的には封書で保育園宛に出しましょう。 送るタイミングとしては、実習終了直後に送ります。
なるべく実習終了翌日には出したいですね。
遅くても実習終了後の一週間以内には実習先の保育園に届いているようにしましょう。
内容は、忙しいなか時間を割いて実習を受け入れてくれたお礼と、実習を通して学んだことや感じたことを具体的に書いていくとよいです。
基本的な事ではありますが、誤字や脱字には十分注意しましょう。
特に施設名や先生の名前などの固有名詞は間違えて書くと非常に失礼になります。
もし、書き間違えてしまったときには、修正テープなどは使わずに新しく書き直しましょう。
基本は便せんに手書きで書いていきます。
文具は、鉛筆は使わずに黒インクの万年筆かボールペンで書きます。
縦書きが基本ですが、横書きでも問題はありません。
また、どんなに短くても手書きで書いたほうが温かみや丁寧な印象が伝わりますよ。
4-4、実習後も定期的に連絡する
実習が終わったからといって、実習園との関係もそこで切れてしまうものではありません。
実習生を受け入れた側も、実習生のその後の様子は気になるものですので、暑中見舞いや年賀状など、機会を見て実習園に近況報告をしましょう。
特に、採用試験の結果は忘れずに連絡したいですね。
今後についてのアドバイスもいただけるかもしれません。
5、実習体験談
ここでは、実際に保育園へ実習に行ってきた方々の体験談をご紹介します。
実習に行く前にこちらを読んで、想像を膨らませてみるのもよいのではないでしょうか。
○実習中は、子どもたちとのコミュニケーションをしっかりとることに一番気を付けていました。 毎日、思いっきり子どもたちと遊んで、自分から積極的に言葉掛けをしていくことで、徐々に子どもたちとの間に信頼関係を築くことができ、また距離も縮められました。 ご指導いただいた先生からも「積極的に子どもと関わっている」などの言葉をいただくことができ、嬉しかったです。 ○11日間の実習を行いましたが、最初は緊張してなかなか自分から動けませんでした。 |
●部分実習で絵本の読み聞かせをやることになった際、読み聞かせの経験がなかったこともあって、途中で詰まってしまったり、子どもたちからも「読むの早い!」と言われたりしてしまいました。 登場人物になりきって読み進めることや、子どもたちの様子を見ながら語り掛けることも意識していけばよかったと思います。 |
6、 まとめ
いかがでしたか?
保育園へ実習に行く際の注意点と体験談をご紹介してきました。
この記事を読んだあとに、実習に対する不安や悩みが少しでも小さくなっていたら嬉しいです。
保育園の実習には準備することが多く、また実習中も気が抜けない毎日が続くと思います。
ですが、子どもたちとの触れ合いの中から、学校の勉強だけでは学べないことを多く習得できるのも実習の魅力の一つです。
将来、素敵な保育士になるために、頑張ってくださいね。