人生の転び方

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突然ですが、皆さんはスキーをしたことがありますか?
私は雪国育ちなので、冬の体育の授業は必ずスキーでした。

そして年に一度「スキー教室」でスキー場に全員で足を運びます。
パウダースノーの中雪煙を上げてシュプールを描く・・・のはごく一部の人。

私は毎年「初心者クラス」で楽しく過ごします。
初心者クラスが何をするかというと【転び方の練習】です。

コーチが「右に転べー」と言うと、右にどさっと倒れる。
「うまいぞー、力抜けよー」「自分で起きてみろー」「おっいいぞー」

結構な時間を、転ぶことに費やします。
すると、この初心者軍団はこの後、転ぶことが怖くなくなります。

「危ないと思ったら、転べ」「さあ転べ」と言われるのであっちでもこっちでもゴロンゴロンしていました。
その度に「よし、ゼッケン3番。今の転び方いいぞー」と声をかけられて喜んでいました。

うまい人たちから見たら、何をしてるんだよと笑われるかもしれません。
でも初心者の私たちにとっては、怪我をしないで一日を終えることも大切なことです。
もし転び方を知らなかったら、雪の上に立つことすら恐怖になると思います。
うまく転んで怪我なく過ごすから、お昼の豚汁(とんじる)がものすごく美味しいわけであります。

では、私たちの保育に当てはめてみるとどうでしょうか。

 

転ぶことはダメなこと?

転ぶことを失敗ととらえてみましょう。
あれ?
スキーで転ぶのはいいけれど、失敗と置き換えてみるとなんだか急に「ダメダメ、失敗なんて」って思いませんか?

私たちのいるこの社会は「失敗」を悪としそれを極端に恐れる傾向があると思います。
言い換えると「失敗しないこと」を最善としているわけです。

あれ、でも「失敗しない」なんてありえることですかね?

 

世の中は失敗であふれている

私が今この文章を打っているパソコン。
大好きなりんごちゃんがついていますが、パソコンとして完成するまでに一度も失敗しなかったでしょうか?

いいえ。開発の段階から考えたら、いくつもの失敗のつみ重ねだったでしょうね。
たくさんの人がたくさんの失敗をしてそれを乗り越えてくれたから、私は今快適に文字を打っているわけです。

美味しいペットボトルのお茶は?
一発でこの味が出たわけじゃないですよね?

じゃあどうして私たちは「失敗」が嫌なのでしょうか。

 

褒める・叱る・認める

私たちは子供の頃から「できた」ことを「褒めて」もらって育ってきました。
保育士の”スゴイ”は禁断の言葉?』を合わせて読んでいただきたいのですが
私自身が子供を「すごいね」と褒めることしかできない保育士でした。

「すごいね」と言われると嬉しいですが、では「すごくない」時は子供には必要のない時間なのでしょうか?
いいえ、むしろ、「すごいね」と言われるまでの過程の方が大事だと思うのです。

積み木を天井近くまで積もうと思っていた男の子。
保育士も高い台を作ってあげて応援します。
グラグラ揺れる積み木を慎重に重ね続けて・・・

「成功」した場合
みんなから「すごい」「頑張った」「さすが」と褒められてとってもいい気分。
笑顔がこぼれるとても素敵な時間ですね。

「失敗」した場合
ガラガラと崩れる積み木
保育士も周りの子も「あーー」っと声をあげます。
呆然とする男の子。

「やっぱり高いのは無理だったね」
「低いのに変えてみれば?」
失敗で落ち込む男の子を思ってか、保育士はそんな声をかけてしまうかもしれません。

でも、この瞬間が大切なんです。
「失敗した。もうやりたくない」
「失敗した。なんで?」
「失敗した。やだ。もう一回やって成功させたい」

男の子の心のなかの声こそが、次へのステップだと思うのです。
「褒められたい」からではなく、「自分がどうしたいか」の気持ちから出てくる言葉や行動に大人が寄り添う事こそが、成長を促します。

「もうやりたくない」でもいいんです。
次にまた挑戦してみたくなるまでの時間はそれぞれ違うからです。

「なんでだ?」考えること素敵ですね。
自分のやり方を振り返って次への成功につなげるなんて、大人でもなかなかできませんよ。

「もう一回やりたい」
誰かに言われるからではなく、自分から再挑戦を決める。次の成功を応援したくなりますよね。

この様々に考える時間を与えるのが私たちの役目だと思います。
そしてその時の気持ちを受容してあげるのです。

これが「認める」ですね。

何かを成し遂げるなどの時はわかりやすいですが、これが「牛乳をこぼした」となると難しくなりますよね。
こぼしたのを認める?そんなのできない・・・と思いますか?

いえいえ。認めるのは「あっ、こぼしちゃった」と考えているその頭の中のことです。
「だからちゃんと座ってなさいって言ったでしょーー」と叱るのは簡単なんですが
できれば、「あーふざけてたからこぼしちゃったーー」と自分で気づいて欲しいわけです。

「なんでこぼれちゃった?」などと、やはり考える時間を与えてあげましょう。
そして出てきた答えを「認める」のですね。

まあ、2回目すぐにやっちゃったら私も叱ります(><)

 

いっぱい転びましょう

転ぶを失敗に置き換えましたが、また転ぶに戻します。
人生いっぱい転んで、正しい転び方を、体で心で覚えていきましょう。

私たち大人だって同じです。
今日先輩に叱られましたか?嫌味言われちゃった?

大丈夫。
一つ転び方を覚えましたね。

次は、もっと上手に転べるはず!!
その先輩だっていっぱい転んでいるんですから(^0^)

さあ、初心者スキーヤーになってコロンコロンしましょうね。

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