あせらない、あせらない

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そろそろ運動会の練習も佳境に入ったところでしょうか?

まだ暑い陽射しが降り注いだり、かとおもうと雨続きだったりと、保育士はハラハラする日々を過ごしていると思います。

そんな中で、皆さんは穏やかな保育、できていますか?

 

そんなことを聞くのは、私に苦い思い出があるからです。

 

保育士になって5年目。初めての年長の担任の私は、とても張り切っていました。
年長としての初めての運動会。どこか肩に力が入って
「さあ。頑張るぞ」
という気持ちになっていたのだと思います。

そのせいで、私はどんどん周りが見えなくなっていました。

 

子供を急かさないで

練習を見ていた園長に言われました。

 

「先生。子供の頭を押さないで」

 

言われても意味がわからなかったのですが、私は、並ばせる時や場所移動を促す時にこどもたちの頭を指で押していたようなのです。
全くの無自覚でした……。

「大事な頭を小突くなんて」

とお叱りを受けました。

 

早く並んで、早く動いて。という気持ちが子供を押して急かすという行動になってしまいました。
無自覚であったこともですが、子供の頭を押していたということはもっと恐ろしい行動だったと思います。

私の恥ずべき思い出です。

 

それからはもちろん「押す」という行為をやめました。何か促す時は背中をそっと触るようにしています。

 

練習練習練習

同じ年の話です。

年長だから完璧な形で当日を迎えなければ!
そう思い込んでいた私は、毎日毎日練習に明け暮れました。

ですが、どれだけやっても、私の満足する形にはなりません。
ますます「練習」に力を入れるようになりました。

 

ある日幼児のリーダーに言われました。

「先生たまには練習を忘れてみんなで散歩に行こうよ」

私は、
「練習があるのに無理です」
というような返事をしました。
リーダーは、
「みんな疲れちゃってるみたいだよ? 気晴らし、気晴らし」
と言って私たちを連れ出してくれました。

 

公園で元気に走り回る子供たち。
なんだかそれを見ていて涙目の私。

 

その時の気持ちは今でも、自分でも複雑でよくわかりません。
「練習しなきゃ」という気持ちと、
「こんなに明るい顔久しぶりかも」という気づきと、
「自分が練習させすぎているんだ」という恥ずかしさが入り混じっていたのだと思います。

 

そっと教えてくれたリーダーには感謝の言葉しかないのですが、その時は上手く言えなかったかもしれません。

変なプライドでもあったのかなーと、思ってしまいます。

 

運動会は誰のため? なんのため?

5年目にして初の年長担任ということで、心も体もガッチガチになっていた私。
保育の内容や考え方が少しづつずれていってしまったのだと思います。

保育士の緊張や焦りが子供達に伝わっても、何一ついいことはありません。

 

今の私ならあの時の私になんて声をかけるかな?

「運動会は子供達のためにあるんだよ。あなたの評価のためじゃないよ」

「運動会の当日だけが大事じゃないよ。日々子供達は何を感じて練習しているの?」

「詰め込むだけじゃ上手くなんか行かないよ? 一日の活動にメリハリはあるの?」

きっともっともっと言えることがあると思います。

 

今もどこかの園に、この時の私がいるのではないかなと思います。

あなたのそばにもしも「昔の私」がいたら、どうぞ

「肩の力を抜いて」

と言ってあげてください。

 

どうしても「当日の成功」に目が向けられてしまう運動会。
それも大事ですが、子供と同じ目線で、同じ気持ちで頑張って行かないと、当日までが「地獄の日々」になってしまいます。

 

子供達が練習から得られるたくさんのことを、保育士のエゴで無くしてしまわないように、楽しさも忘れずにいたいですね。

 

運動は楽しいものです。

みんなで協力することも楽しいことです。

できないことを練習するのも、その先には必ず喜びがあります。

絶対に忘れてはいけませんね。

 

25年前の幼すぎた私の、苦い思い出でした。

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