私たちのコミュニケーションの基礎になる「概念」が形成されるのは何歳頃からでしょうか?
保育士だからこそ、覚えておきたい保育の基礎知識、「概念の形成」について振り返ってみたいと思います。
共通認識を育てる
普段何気なくしている会話は、実は前提となる共通認識があるからこそ成り立っています。
例えば、季節の春夏秋冬の順番や、ものを数えるには単位があることなど、一般的な概念を身につけることがコミュニケーションの基礎になります。
「一つちょうだい」「10時におやつを食べよう」
私たち大人は当たり前に話していますが、「一つ」や「10時」という共通の概念があるからこそ、会話が成り立ちコミュニケーションが取れるのです。
概念形成の準備段階である1歳過ぎまでは、手が届くものを触ったり口に入れることで、その大きさや形状、感触などを確認します。
言葉の習得が進むと、ものには名前があって、いくつかの種類に分けられることを知ります。
この頃には、実際に目の前にものがなくても、「リンゴ」と言われたら「赤くて丸い果物」を頭の中でイメージできるようになります。
4歳以降には、「大きい・小さい」「重い・軽い」などの区別がつきます。
また、時間の概念も身につきますね。
5歳を過ぎると、野菜の栽培などの科学的な概念を理解できるようになります。
野菜は苗を植えると育つ、大きく育ったらそれを食べられるということがわかるようになるのです。
概念の形成における発達の流れ
1歳 周りのすべてを手に取って確認する
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2歳 絵本の絵が、何を表しているか(「ワンワン」など)を言える
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3歳 目の前にいないものでも、言葉からイメージできる。
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4歳 時間や「大きい・小さい」などの概念が生まれる。
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5~6歳 野菜の栽培などの科学的な概念が身につく
保育をするうえでのポイント
手や口で確認する(10か月から1歳3か月)
何にでも興味を持ち、手が届くものに触ったり、口に入れたりして確認します。
小さくて簡単に口に入ってしまうもの、危険なものを周りにおかず、誤飲に十分注意しましょう。
違いを認識する(1~2歳)
積み木で色や形の違いを認識できるようにしましょう。
また、粘土遊びでも粘土を丸めて団子を作り、「一番大きいのは?」と尋ねてみます。
普段の遊びの中に、色や形、大きさの認識を育てられるような声かけを取り入れてみるといいですよ。
言葉と意味を認識する(3~4歳)
八百屋さんでは何が売っているのか、誕生日はどんな日かなど、よく使う言葉とその意味のつながりを教えます。
八百屋さんには野菜や果物が売ってるね。じゃあ魚屋さんには何が売ってるかな?と、言葉とその意味が繋がるように話してみましょう。
先を見通す力を付ける(3~4歳)
「12時にはご飯を食べる」などの習慣を教えます。
そうすることで、「12時前には片づけをする」と先を見通した行動ができるようにします。
数と数量の概念(4歳)
おままごとで「みかんをみっつください」などとお願いをしてみましょう。
「ひとつ、ふたつ」といった数え方や、単位を教えます。
人は、「ひとり、ふたり」と数えますが、みかんは「ひとつ、ふたつ」と数えるという数え方の違いを伝えます。
時間の意識(5~6歳)
時刻と生活を結び付けて、「3時はおやつの時間」などの時間の概念を教えます。
時計の見方は、短い針は「時」で長い針が「分」というように教えてみるのもいいでしょう。
だんだんと時計がこういう形になっていると、3時でおやつの時間なんだなとわかるようになります。
いかがでしたか?
コミュニケーションの基礎となる、「概念」が作られていく段階を順に見てみました。
保育の中でも、声かけをする際に「そろそろ数がわかるかな」と思い出して、ぜひ取り入れてみてくださいね。
毎日の遊びに取り入れるのがポイントですよ。