みなさんの園では「卒園式」のことをなんと呼んでいますか?
私はずっと「就学祝い会」と呼んでいました。
小学校に就学することをみんなでお祝いしましょうと言う意味の言葉です。
今回は「就学祝い会」の思い出を振り返ります。
アルバム
毎年卒園児に贈るものに、「アルバム」がありました。
年長クラスになってから撮りためた写真を使い、一人ずつにそれぞれのアルバムを作ります。
もちろん写真は一人ずつ違います。
裏話しをすると、4月から全員がもれなく映るように写真を撮影していくのは至難の技であります。
桜が咲くと、散ってしまうその前に全員の写真を慌てて撮った記憶があります。
撮影の日に休みの子がいると散ってしまう前にまた撮影に出かけたりしていました。
また、行事の写真、当番の写真など日々の姿をカメラに収めていきました。
撮っている時は、「全員撮った?」や、「どの場面撮る?」など大変なことが多かったのですが、年度末出来上がった写真を並べていく時は、「あーもう一年経ったんだなー」と感慨深くなるものです。
アルバムには子供達の将来の夢を絵にして差し込みました。
大きくなってからこのアルバムを開いて、どんな顔をするのかな~と想像しながら作ったものです。
本当は苦手なのです
保育園活動の集大成と言っても過言ではない「就学祝い会」。
私、実は苦手なのです。
嫌いとか、やりたくないのではありません。
どうしても泣くのが我慢できないのです。
ところが担任は、一人ひとりの名前を読みあげなければならず、時には「○○が得意でした」などと思い出を盛り込むこともあります。
名前を呼びながら、頭の中には色々な思い出が走馬灯のように走ります。
「あー泣いちゃダメ。ちゃんと最後まで読まなくちゃ」と思っても堪えれば堪えるほど溢れ出るのが涙です。
泣いても、言葉だけは詰まらずに言い切ろうと、頑張るのでありました。
会の後、お母さんたちがハンカチで目頭を押さえながら
「もう!先生が先に泣いたから、みんな我慢できなくなった~」と言いにきました。
「お母さんが先だよ~」なんて言いながら、またみんな涙が溢れます。
子供達にとっては未来へのスタートですが、私たち大人にとっては思い出が溢れて止まらないそんな会なんですよね。
「オムツをして毎日泣いてたあの子が、今日はスーツを着て立派に未来の夢を話している」
もう泣かない方がおかしいですよね。
忘れてもいいよ
ボロボロ泣いちゃうほど、別れが辛くて、でも成長が嬉しくてとっても深いところで気持ちが揺れる「就学祝い会」。
私はいつも口には出さないけれど「保育園のこと忘れたっていいよ」と思っています。
正しくは、保育園を忘れるくらいに、新しい生活に夢中になってほしいと思います。
保育士はもちろん、送り出した子供達をいつまででも覚えています。
でも子供達にとって、保育士や保育園は心の根っこであればいいのです。
泣いたこと、笑ったこと、喧嘩したこと、叱られたこと、友達と遊んだこと、頑張ったこと・・・
数え切れないほどの「○○したこと」が全部子供達の土台になっているんですから。
私も成長します
子供達を小学校に送り出すと、達成感と一緒に小さな後悔も感じます。
「あれもしてあげたかった、これは足りなかったのでは?」と思うことがたくさんあるからです。
その度に、人間っていつまで経っても完璧にはなれないんだなーということを知ります。
だから、毎年毎年、悩んで勉強して、何かに追われながらも私自身が成長しなくちゃならないんだと思えるわけです。
私にとって「就学祝い会」は、子供の成長を祝い、そして私自身のさらなる前進を誓う会なんです。
保育士の仕事から離れた今でも、この季節は私が私を振り返る時期になっています。
なんとなくですけどね。
みなさんの園はどんな会で、どんな思いに溢れているのでしょうね。
もし私がそこにいたら絶対言われちゃいます。
「先生が先に泣いたから」って。