保育士になるために国家資格である「保育士資格」の取得は避けて通れない道です。
でも、国家資格と聞くとハードルが高い気がしてきますよね。
保育士の資格を取得する方法は6つあります。
もちろん、楽して取れることはないですが、自分に合った取得方法で学ぶことが最善の道ではないでしょうか。
この記事では6つの方法をわかりやすくお伝えしますので、皆さんのそれぞれに合った方法を見つけてください。
1.保育士資格の取得方法
6つある保育士資格の取得方法は大きく分けると3つに分類できます。
1つは保育士試験に直接受験する方法です。
こちらは、自分のペースに合わせて勉強を進められるので、現在働かれている方や主婦の方にお勧めの方法です。
そして、保育士試験は8科目ありますが、合格した科目は3年間持ち越すことができます。
ご自身のライフスタイルに合わせた勉強計画を立てられるのが魅力的ですね。
次に保育士養成校を卒業する方法です。
養成校の形態として、4年制大学・短期大学・専門学校・通信制学校と4つあります。
その中でも、厚生労働省が認定する学校を卒業すれば、保育士試験に合格する条件がないため卒業と同時に保育士資格の取得が出来ます。
しかしながら、卒業まで最低2年はかかることや費用が多くかかってしまいます。
最後に特例制度による保育士資格の取得方法があります。
こちらは幼稚園教諭資格の所有者が対象の制度で幼稚園での実務経験により保育士試験の科目が免除されます。
さらに、現在就労していない方でも過去に実務経験がある方は対象になるため、
保育士として働きたい方には試験科目の負担が減る魅力的な制度になります。
次の章では、それぞれの方法をより詳しく説明します。
2.保育士試験の直接受験
直接受験の場合、情報は自分で調べるのが大事です。
でも、厚生労働省のサイトを見ても難しい事ばかりで混乱しますよね。
ここでは、保育士試験の概要と試験までの年間スケジュールをご説明します。
2-1保育士試験の概要とスケジュール
①受験資格
受験資格は主に学歴が関係してきますが、保育と関係がない内容でも問題ありません。
では、実際の条件を見てみましょう。以下の1つを満たしていれば受験資格があります。
学校教育法に基づく学校以外、または、海外の学校を卒業した方は保育士試験事務センターまで、お電話にてお問い合わせください。
保育士試験事務センター 0120-4194-82 |
②費用
保育士試験の受験手数料は12700円です。
ちなみに、受験料は一律になっているので、10科目をすべて受験する方も1科目だけ受験する方も同じ金額になります。
つまり、2年受験すると25400円。
そして、3年越しの受験なら38100円になります。
決して安い金額ではないので、自分が合格するのに何年間の予定で取り組むかは決めましょう。
③試験内容
試験内容は8教科の筆記試験と実習試験があります。
筆記試験は択一式で6割の点数が取れていれば科目が合格となります。
この保育士試験は試験内容がとても広範囲にわたるので、効率的に学習を進めていく必要があります。
まずは保育士試験に慣れていくため、全体の内容を確認し、自分が得意だなと感じた分野から攻略していくのがいいと思います。
徐々に科目のイメージをつかんでいきながら、科目どうしの内容が近い科目をどんどん学んでいく事で合格科目を増やす方法もあります。
ここでは試験の内容を1科目ずつ簡単に解説します。
保育原理 | 出題内容の基本方針としては、保育の意義はもちろんのこと保育の内容や方法について理解できているかを確認する内容になります。 |
教育原理 | 教育に関しての基本的な原理や教育の実践的な原理を理解できているかを確認する内容になります。 |
社会的養護 | 現代社会の社会的な養護の基本的な原理や役割を理解できているかを確認する内容になります。 |
児童家庭福祉 | 現代社会の児童及び家庭環境の課題や児童家庭福祉の意義と役割について理解できているかを確認する内容になります。 |
社会福祉 | 社会福祉全般に関する、その意義と役割について理解できているかを確認する内容になります。 |
保育の心理学 | 保育の実践に関わってくる心理学の知識や発達の基本的な原理について理解できているかを確認する内容になります。 |
子どもの保険 | 子どもの心身の健康と安全に関する基本的な知識と保育の実践に関わる子どもの疾病とその予防や事故防止、安全管理などについて理解できているかを確認する内容になります。 |
子どもの食と栄養 | 子どもの食生活や栄養に関しての基礎知識や保育の実践時に
関わる食育の基本的な内容ついて理解できているかを確認する 内容になります。 |
保育実習 | 保育に対しての教科全体の知識や技術を基礎として、子どもの保育及び保護者への支援に関する総合的な理解、実践する際の応用力か身についているかを確認する内容になります。 |
④試験日程
試験は筆記試験が2日間と実技試験が1日間の計3日間があります。
ここでは平成28年の保育士試験の日程を紹介しますが、年度によって変更がある場合もありますので、最新の情報は全国保育士養成協議会のサイトをご確認ください。
筆記試験日程
試験日 | 試験科目 | 試験時間 | |
4月23日(土) | 1科目目: | 保育の心理学 | 10:30~11:30 |
2科目目: | 保育原理 | 12:00~13:00 | |
3科目目: | 児童家庭福祉 | 14:00~15:00 | |
4科目目: | 社会福祉 | 15:30~16:30 | |
4月24日(日) | 5科目目: | 教育原理 | 10:00~10:30 |
6科目目: | 社会的養護 | 11:00~11:30 | |
7科目目: | 子どもの保健 | 12:00~13:00 | |
8科目目: | 子どもの食と栄養 | 14:00~15:00 | |
9科目目: | 保育実習理論 | 15:30~16:30 |
実技試験日程
幼稚園教諭免許所有者を除く、筆記試験全科目合格者のみ実施します。
7月3日(日) 集合時間等については、 実技試験受験票にて確認してください |
①音楽表現に関する技術 ②造形表現に関する技術 ③言語表現に関する技術 (必ず2分野を選択) |
⑤合格率
保育士試験の合格率は10%~15%です。
この合格率は他の資格と比べても、かなり難易度の高い部類に入ります。
ですが、保育士試験は各教科の6割以上の点数で合格できるものになっていますので勉強すればするほど合格への可能性は高まってくる試験ともいえます。
地道に勉強をすることで合格への道に近づくのではないでしょうか。
⑥スケジュール
合格への道は簡単には開きません。
ですので、計画的にスケジュールを立てて試験に挑むことが重要になってきます。
1年で合格する場合
1年で合格を目指す場合、効率的に学習を進めていく必要があります。
前述したとおり、徐々に科目のイメージをつかんでいく事で、科目どうしの内容が近い科目をどんどん学ぶ作戦を取ります。
2年で合格する場合
勉強時間があまりとれない場合は、1年間で合格を目指していくのは大変ですので、
1年目は保育士試験に慣れていくため、全体の内容を確認し、自分が得意だなと感じた分野から攻略していくのがいいと思います。
2年目は残った科目のみを勉強することで効率よく合格に近づけます。
⑦メリット
メリットとしては自分のペースで勉強することができるので、お仕事をされている方や主婦の方でも試験に臨むことができます。
また、費用が殆どかからないため、保育士資格を取得するために経済的な負担が少ないのが魅力的です。
⑧デメリット
デメリットとしては、試験ですので合格できる保証がない事です。
また、勉強内容を質問できる相手がいない場合には試験対策の情報が少なくなってしまいます。
その他には、年に1度か2度しかない試験までモチベーションを維持しながら勉強していくのが大変です。
3.保育士養成校を卒業
保育士試験の直接受験をして保育士の資格を取得するほかに、厚生労働省が認定する学校を卒業することで保育士の資格を取得することができます。
それぞれの形態によって特徴が変わってきますので、メリットデメリットも含めながら各形態に分けてご説明します。
3-1専門学校
①概要
文科省・厚労省が指定した専門学校で必要な過程を修了し、卒業することで保育士の資格を取得することができます。
専門学校には「文科省・厚労省指定校」と「併修校」の2種類があるという注意点 があります。
「併修校」は文科省・厚労省の認可を得ていない学校で、通信制短大を併修し、保育士の資格取得を目指します。
専門学校の専門的な授業科目を学ぶだけでなく、短大等での通信課程の授業科目の受講が必要となります。
やや面倒に思う併修校ですが、卒業と同時に短大卒と同等の扱いになります。
専門学校では保育の現場で働く方による実践的な授業が受けられます。
入学後すぐに実習を行う専門学校があるなど卒業後に即戦力となるための知識や技術を学べるのが魅力です。
専門学校ごとにカリキュラムの内容が変わります。
ピアノやお遊戯・製作の多い学校や卒業後に保育園に就職を支援する体制がしっかりしているなど、
自分がどの分野を中心に学んでいきたいかを決めたうえで専門学校を選びましょう。
②費用
専門学校によって差はありますが、費用の目安は年間85万~95万円前後です。
内訳としては、入学金が25万円前後、施設使用料は10万円前後、そして毎年かかる授業料は40万円前後になります。
③スケジュール
1年次から実習を設定しているため、1年次から本実習へのトレーニングを学ぶ機会があります。
2年次に本実習として、2~4週間程度の実習を行い、実習の単位を修得します。
きちんと必修科目を修めることで、本実習に臨むことができます。
④メリット
保育士養成校の中でも特に実践的な内容を学ぶことがメリットです。
また、短期大学と同様に卒業と同時に資格を取得できるので授業に集中することができるのがいいですね。
費用も4年制大学や短期大学に比べて学費が安いのも魅力です。
⑤デメリット
短期大学と同じく2年という短期間にカリキュラムが凝縮されているためとても忙しいのがデメリットです。
また、通学する必要があるので社会人や主婦の方は難しいですね。
3-2短期大学
①概要
厚生労働省が認定する学校で保育士養成課程を履修し、卒業することで保育士の資格を取得することができます。
短期大学では保育科や幼児教育科などの学科で、保育の勉強が出来ます。
短大の在籍期間は2年間なので、4年制の大学よりも短い期間で資格の取得が可能です。
4年制大学と同様に、短期大学によってカリキュラムが変わってきます。
学習内容としては知識がメインになる4年制大学よりも保育の実践的な知識と技術をバランスよく学ぶことが多いです。
2年間で学ぶことが凝縮しているので時間的な余裕はほとんどありません。
②費用
費用は4年制大学と変わりなく年間で100万円前後かかります。
内訳は入学金30万円前後、施設使用料は40万円前後、そして毎年かかる授業料は60万円前後になります。
もちろん、短期大学によって内訳は変わってきますので、どんな費用が必要になるか必ず調べましょう。
③スケジュール
1年次は、保育士に必要な科目だけでなく子供の理解の基礎を中心に学んでいきます。
2年次では保育園の現場で先生と子供たちとの触れ合いを学びながら、実際に触れ合うことによって、授業で学んだ知識を実践していきます。
④メリット
メリットとしては2年の期間で保育の知識と技術をバランスよく学べることです。
また、卒業と同時に資格を取得できるので授業に集中することができるのがいいですね。
費用も4年制大学に比べて学費が安いのも魅力です。
⑤デメリット
2年という短期間にカリキュラムが凝縮されているためとても忙しいのがデメリットです。
また、通学する必要があるので社会人や主婦の方は難しいですね。
3-3 4年制大学
①概要
厚生労働省が認定する学校で保育士養成課程を履修し、卒業することで保育士の資格を取得することができます。
大学では高度な児童心理学や幼児教育を4年かけてじっくり学んでいきます。
また、保育や子供に関する知識だけでなく日本語の表現や法律などもしっかり身につける事が出来ます。
どの大学でも同じことを学ぶわけではないため、保育の実習を設けているかきちんと情報収集しておく必要があります。
もし、他のカリキュラムが魅力的などの理由で保育の実習がない大学を選ぶ場合には、
ボランティアなどで子供に触れる機会を作り保育技術を独学で学ぶ必要も出てくるかもしれません。
②費用
大学によって差はありますが費用の目安としては卒業までに300万円以上かかる場合が多いです。
内訳は入学金40万円前後、施設使用料は45万円前後、そして毎年かかる授業料は60万円前後になります。
なお、大学によって内訳は変わってきますので、どんな費用が必要になるか必ず調べましょう。
③スケジュール
1年次と2年次では保育士に必要な科目だけでなく子供の理解の基礎を中心に学んでいきます。
3年次以降はそれぞれの興味にしたがい、より高度な授業を受講し、さらに学びを深めます。
④メリット
在学中の4年間をじっくり保育や子供に関して学ぶことが出来る点がメリットです。
また、卒業と同時に資格を取得できるため、試験勉強に必要な時間をより専門的な分野の学習に充てることができます。
⑤デメリット
1番のデメリットは費用が多くかかる点です。
また、卒業まで4年かかってしまうため、すぐに保育士として働きたい方には向きません。
通学する必要があるので社会人や主婦の方は難しいですね。
3-4通信制学校
①概要
通信制学校で保育士資格の取得を目指すには、『自宅学習+スクーリング+実習』が主な学習スタイルになります。
通学制でないにもかかわらず、保育士試験なしで保育士資格が取得できます。
自宅学習なので、自分の生活ペースに合わせて学習できるため社会人や主婦の方におすすめです。
また、スクリーニングの日程は週末型や短期集中型などに設定されているので仕事に影響が出にくくなっています。
勉強はテキストだけでなくDVD、CDなどを使った方法が主流になってきます。
さらに、添削の指導などがあるため、科目の学習段階ごとに知識をしっかり身につけることができます。
テキストは、ポイントが分かりやすく解説されているため、1人でも取り組みやすい内容になっています。
なお、メールや電話で学習中に出てきた疑問を質問することができます。
②費用
通信制学校によって差はありますが、費用の目安は年間30万~40万円前後です。
また、スクーリング費用が別の場合もありますので、通信制学校を選ぶ際に必ず確認をしてください。
③スケジュール
通信制学校では、自宅で必修科目を受講するほかに定期的に実施されるスクーリングがあります。
また、学校によっては一部の科目で、地方会場で行われるスクーリングを開講しているため、負担がなく学習を進めることができます。
④メリット
前述しましたが、通学制でないにもかかわらず、保育士試験なしで保育士資格が取得できます。
また、通学する必要がないので仕事と両立しながら保育士資格の取得を目指せるのも魅力的ですね。
そして、学費が安い事はメリットです。
⑤デメリット
自宅での勉強がメインになってくるので、モチベーションの維持が重要になってきます。
仕事と勉強のバランスを自分で組み立てながら、スケジュールを立てていく必要があります。
また、疑問点を質問することができますが、電話やメールですので不明点をしっかり明確にして伝える必要は出てきます。
4.特例制度
特例制度とは既に幼稚園教諭免許をお持ちで4,320時間かつ3年間以上の実務経験のある方が、保育士資格を取得しやすくする期間限定の制度です。
こちらは、保育士試験の免除申請をすることにより、「保育の心理学」、「教育原理」、「実技試験」が受験免除となります。
また、上記以外の科目についても厚生労働省が指定する保育士養成施設で4科目8単位を修得することで、保育士試験を受験する必要がなく保育士資格の取得ができます。
幼稚園教諭免許をお持ちの方には便利な制度ですが、平成31年度末までの期間限定の制度になりますので、保育士資格の取得をお考えの方はお早めに行動するべきかもしれません。
5.まとめ
いかがだったでしょうか。
それぞれご説明した保育士資格を取得する方法は、皆さんそれぞれ向き不向きがあると思います。
皆さんが自分に向いていると思う方法を選ぶことで、試験取得までのモチベーションが違ってきます、
また、保育士資格を取得するまでのスケジュールもそれぞれ変わってきますので、何年後に自分がどうなっていたいかを思い描きながら考えてみてください。
皆さんが素敵な保育士になる一歩を踏み出せるよう、応援しています。