【マイノリティー】という言葉を聞いたことがありますか?
マイノリティーとは「少数派」を意味し、社会的にその立場が弱く、その考え方や意見が通らない、あるいは差別されている人たちに使われます。
単純な数の問題ではなく、その扱われ方に問題があることを指します。
対義語は「マジョリティー・多数派」となります。
「マイノリティー」の話は、直接保育に関わる話ではないかもしれません。
でも、未来ある子供を育てている私たちにとって、とても大切な話であります。
ぜひ読んでくださいね。
マイノリティーの種類
「少数派」という言葉では分かりづらいかもしれませんね。
このマイノリティーは様々な分野で使われます。
例を挙げると、民族・政治的思想、性的嗜好、性同一性障害などがあります。
この場合、単純にその数が問題なのではなく、その考え方が受け入れられず、差別的に捉えられていることが問題になります。
「やっぱり保育園には関係ないわ」と思いましたか?
ピンクのスカート
私がまだ新人の頃、双子の男の子を担任していました。
一人は活発で走り回るのが大好きなTくん。
もう一人は大人しめでままごと遊びが大好きなKくんでした。
Kくんは、ままごとでピンクのスカートを履いてエプロンをつけて、お母さん役をするのがお気に入りでした。
ある日お母さんが言いました。
「どうしてKはピンクの、しかもスカートばかりなのかしら? もしかしてそっちの気があるのかしら……」
その時は何気ない立ち話で終わりました。
その後、Kくんも何事もなく卒園して行きました。
でも、今になり、「マイノリティー」という言葉を聞くたびに、私はこのKくんを思い出すのです。
彼は実は「性同一性障害」のような状況になっていたのだろうか? いや、違うのだろうか? と考えてしまいます。
男の子は「青」女の子は「ピンク」と考える傾向は、今でもあるかと思います。
もちろん男の子は「青」を女の子は「ピンク」を好むからという理由もあります。
でもKくんは「ピンク」の「スカート」が好きで、それでお母さんは悩んでいました。
実はその時点で、Kくんはお母さんにとってマイノリティーだったのですね。
運動会衣装など、もしかしたらKくんはピンクが良かったかもしれません。
でも、私も何も考えず「青」を着せていたのかもしれません。それが正しかったのか、間違っていたのか……。
それすら今の私には分かりません。
でも、考えることが大切だと思うのです。
決めつけられる苦しさ
性的マイノリティーに話を絞ると、本当の苦しみは思春期に始まるのかもしれません。
でも、そのずっと前から、何かを決めつけられる苦しさを感じているのではないでしょうか。
そもそも、なぜピンクは女の子、青は男の子のようなイメージがあるのでしょうか。
研究によると、元々持って生まれた性差での好みがあるという結果と、後天的に周りがその色を好むようにしているという結果が出ていました。
また、人間が2歳くらいまでに、自分の性差が属するグループを強く意識し守ることは、心理的成長にとても重要であるという研究結果もあります。
男の子らしく女の子らしくは、元々あるものでもあり、後から植え付けられるものでもあるわけです。
身体の性と心の性が一致している子にとってはなんでもないことですし、むしろ大切なことかもしれません。
しかし、身体と心の性が異なる子たちは、心の中ではピンクを求めていても「男の子だから青ね」と言われ続けます。
そんな子どもの苦悩は私たちが推し測ることすら難しいのです。
私たちがすべきこと
保育園の時代に、性的マイノリティを見つけ出すことは困難ですし、する必要もないと思います。
手段もありません。
でも、やはり私たち保育士は勉強をするべきだと思います。
今回は「性的マイノリティ」を主に取り上げましたが、社会にはまだまだ様々なマイノリティーが溢れています。
(人種の違いなどは外国の方を受け入れる機会があれば直面する問題かもしれません)
まずは、様々な出来事に関心を持ちましょう。
テレビや社会で「性的マイノリティを嘲笑するような表現」に出会った時にあなたがどう感じるのか。
「人種差別のニュース」を見た時にどう思うのか。
あなた自身がどこかでマイノリティーを作り出してしまっていないか……。
最後に大切なことをもう一度。
マイノリティーは少数派を意味しますが、単純に数が少ないということではなく、その意見が認められなかったり差別されている時に使われる言葉です。
この意味を噛み締めながら、秋の夜長を過ごして見ませんか?