毎年2月に入ると保育園の入園を希望している家庭にはその選考結果が送られてきます。
毎年のことではありますがなぜこれだけ待機児童が多いのか?
専門家は各自治体の待機児童のカウント方法が違うとか、待機児童問題解消についての認識が甘いとかいろいろ言われていますが、実際保育士の私が復帰時に我が子が待機児童としてカウントされてしまった衝撃は今でも忘れられません。
少し前ですが、保育士である私が待機児童問題に直面するという貴重な経験をしましたので、その時の思いをお伝えしたいと思います。
保育園が増えないのは保育士不足が原因。保育士不足は低賃金が原因。
保育士として働いていて、一番の不満は給与の安さです。
求人サイトを見るとここ最近の保育士給与の支給額が平均20万台ですが、私が保育士になった10数年前は支給額が18万円でした。
それも大きな法人の運営で、福利厚生も当時としてはかなり良い方でしたし、他園で働く保育士仲間から恵まれていると羨ましがれたほどでした。
でも保育士資格を持ったパートさんたちの当時時給は900円で地域が定める最低賃金でした。
それに資格を持っているのに無資格パートさんと同じ給与という待遇だったこともあり、パートさんの定着率は低く常にパート募集をしている状態。
園長をはじめ、運営部は人探しに走り回っていました。
10数年保育士をしていていますが最近やっと支給額が20万を超しました。
それもベテラン保育士でも新人保育士でもあまり給与に差はありません。
保育士という仕事は子ども達への愛情と奉仕の精神によって成り立っています。
大昔の日本は、保育は子守りという意識が強く、誰にでもできる仕事だと思われていたそうです。
昔、私が保育士になった頃は保護者から「プロなのに子どもに擦り傷があるってどういうことですか?ちゃんと見てたんですか!!」と怒られたり、「お昼寝している間は休憩し放題で楽ですね」と言われ傷ついたこともありました。
日々早番と遅番をこなし、休憩もほとんど無く、しかも行事前になると家で作り物をし、週末は書類を持って帰って記入するのが当たり前。
保育士はそんな仕事量の多さに見合ってない給与です。
辞めたいと思ってしまうのは正常なことだと思います。
保育士の給与をなんとかしないと保育士は増えませんし、いわゆる潜在保育士も現場には帰って来ないと思います。
保育士の子どもでも待機児童
保育士をしていると、自分の子どもを他の園に預けて自分は他の子を保育していることに矛盾を感じませんか?と質問されることがあります。
確かに、そんな葛藤をした時期もありましたし、その葛藤が原因で退職した保育士仲間もいました。
医師や看護師さんだって我が子を保育園に預けて職場の病院で他の子を診察しているのと同じで保育士だって仕事も家庭も両立したいという思いは同じです。
私も保育士としてキャリアを積みたいという思いと、保育園という仕事と子育てを支援する施設で働いていたこともあり、子どもができても仕事を続けるのは自然の流れでした。
子どもができてからは保育士ではなく母親として保活を頑張りました。
書類作成に園見学。
そんな中、行政から我が子の不承諾通知が来た時は、本当に驚きました。というか、ショックでした。
これで仕事は続けられないと。
まだ保育士になりたての頃、園見学に来たお母さんが「働きたくても子どもの預け先が無くて働けない」と、途方に暮れている表情を思い出しました。
「待機児童問題」いざ自分がその立場になってみると本当にどうしようもできないのです。
近くに頼れる身内はおらず、保育士の給与では高い認可外の保育料を払ったら手元に残るのはわずかです。
そもそも認可外もなかなか入れないのが現状です。
こうやって子どもがいても働きたい女性のキャリアが途絶えてしまうのは残念でなりません。
どんな職業の母親でも、どんな事情がある家庭でも公平に保育園に入れる、保活が大変なものではなくなる、待機児童って昔話だったと言える、早くそんな時代が来てほしいと願っています。